早いもので、ピースボートの旅が終了した日(2018年12月17日)から、2ヶ月が経ちました。
つい先日までは、このサイトに日記をアップしていたこともあって、まだ船の旅が生々しくイメージできました。でも、日々の生活からは少しずつ旅の匂いが薄れ、以前と変わらぬ日常が繰り返される、そんな寂しさも覚えます。
船で知り合った何人かとはメールやラインの交換をし、フェイスブックで友達になり、細々とですが繋がって状態。そんな友達が時々思い出を発信している文章や写真を見ながら、「そうそう、そうだった。懐かしい。」と感じます。

記憶が薄れないうちに、ピースボートの旅を終えた総合評価をしてみようと思います。

1 船の旅のコスパ(基本的な料金と内容の関係)は、80点

世界一周を企画している日本の企業・団体は数社ありますが、ピースボートは群を抜いて安い料金を設定しています。
料金が安いだけに、他の船に比べて室内やパブリックスペース、食事の充実度はかなり下がるようです。(このあたりは、残念ながら他の船の経験がないので、パンフレットや今回同船した皆様の話からの判断です。)
しかし、3食つきの船内生活が1日およそ1万2000円程度ですので、このコスパの高さは群を抜くものがあります。食事も豪華ではありませんが、必要十分という感じ。それに野菜もたくさん取れるから健康にも良さそうです。

部屋は・・狭い・・けど、寝るとき以外ほとんど部屋にいなかったし・・・

2 船内生活の充実度は、75点

およそ70日間という長い期間をどう過ごすか。それを考えると、船内生活の企画や催し物、講座の充実度は不可欠です。
その点でも、ピースボートは企画や講座が充実しています。それは、「乗客自らが企画し、活動を運営することを奨励している」からです。
毎日配られる船内新聞には、まるで新聞のテレビ欄さながらに様々な企画が目白押しです。ピースボートの公式企画の隙間を「自主企画」と呼ぶ乗客の企画が埋めつくしています。

では、その企画の充実度はというと、それは玉石混合。素晴らしく充実していて新しい学びを実感できる企画から、「○○好きな人集まれ」という仲間作り企画やら、「私は○○ですけど、質問ありますか。」という超個人的な企画が船内の小さな部屋で行われたりもします。(私自身、そんな超個人的な企画は結構好きで、ほいほい参加していましたが。)

また、語学を頑張りたい人やダンス・楽器などを習得したい人にとっても、悪くない環境です。有料の講座(英語、スペイン語)もありますが、無料の語学の企画も多く、英語、スペイン語、中国語は定期的に講座がありました。
公式企画としては社交ダンスやサルサなどが毎日行われており、また、楽器を持ち込んだ人たちが自主的にサークルを作って練習し、時々発表の場も作ってもらえます。

さらに、船内には将棋、囲碁、麻雀スペースがあり、特に麻雀スペースは連日大盛況。

このように、求めればいろいろな活動の場が与えられる。それがこの船の良さです。

船内で話をした「豪華客船経験者のみなさま」によれば、あちらのショーはレベルが高いという話。でも、私はピースボートのお手軽な感じの企画、好きでした。

3 寄港地のオプショナルツアーは、65点

寄港地のオプショナルツアーは、別料金です。正直言うと、ここがピースボートの一番弱いところかもしれません。

①一般の観光ツアーは、ちょっと割高感あり

いわゆる市内名所の1日観光は、正直どんな会社が企画しても大して変わりはないような気がします。ですから、ピースボートのツアーが取り立てて悪いわけではありません。逆に言うと、「ピースボートのオプショナルツアーだから」という他にはない良さを見つけることも難しい。まあまあ普通のツアーと言えるでしょう。
普通のツアーの割には料金が若干高いのが難点といえば難点です。
もともとピースボートの乗客は、ツアーに参加しないで個人行動(グループ行動)で市内を回る人が多く、バスのツアーで行った先々で自由行動の人と出会うことになります。自由行動のみなさんはツアー参加者のほぼ3分の1の料金で同じ場所を周り、しかも気に入った所には長く滞在してと、ツアー客よりも多くのアドバンテージがあります。このあたりを考慮しても、もう少し安い料金を設定してくれるといいのですが・・・。

善意に捉えると、船の基本料金が安いので、その分オプションが高く感じるのかもしれません。他の船のツアーだってきっとこれくらいの料金はしますよ。

それに、現地の企業(バス会社やレストランなど)を支援するために、必要以上に値切らないで、それなりのお金を落としてくる。」ということも大切なことです。ここは判断が難しいところではあります。

②交流支援のツアーは、新たな体験ができる

ピースボートのツアーには、普通の観光ではない「交流・支援」を目的としたツアーも多く企画されています。
こちらは、ツアーの目的が根本的に違いますから、コスパだけで判断するものではありません。「支援物資を抱え、現地の人と交流して帰ってくる。」という目的と並行して「だから、こちらの料金が割高だったとしても、それも含めて支援だと思えば納得します。
その交流ツアーの内容ですが、普通の旅行ではなかなか経験できない「現地の学校訪問」や「スポーツ交流」など、思い出に残る良いものでした。

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個人的な感想としては、
「一般的な市内観光は、船内の仲間と自由行動して節約する。」
「交流ツアーには、積極的に参加してみる。」
という使い分けをお勧めしたいところです。

4 見聞を広める経験としては、90点

けっこう良かったアンティグアの市街。船に乗らなかったら、知ることもなかったでしょう。

①これだけの世界遺産に行きました

・コロンス島(中国)
・ボタニカルガーデン(シンガポール)
・アクロポリスの丘(ギリシャ)
・コルフ島旧市街(ギリシャ)
・ドブロブニク(クロアチア)
・コトル旧市街(モンテネグロ)
・モンサンミッシェル(フランス)※
・セーヌ川中流(フランス)※
・ベルサイユ宮殿(フランス)※
・サヴォア邸(フランス)※
・ストーンヘンジ(イギリス)※
・ロンドン塔(イギリス)※
・カンタブリー大聖堂(イギリス)※
・リバプール旧市街(イギリス)
・自由の女神(アメリカ)
・ハバナ旧市街(キューバ)
・パナマシテイ旧市街(パナマ)
・リマ旧市街(ペルー)
・クスコ旧市街(ペルー)
・パチュピチュ(ペルー)
・アンティグア旧市街(グァテマラ)

なんと21カ所の世界遺産を見たことになります。
これらをもし飛行機で全て行ったら、ピースボートの料金を超えてしまうでしょう。(その意味でも、コスパは良い。)

ちなみに、※マークのフランスとイギリスは、自分で一時離脱して行ったところなので、他のみなさんは行けません。
でも、大人しく船に乗っていれば、次の5カ所に行けました。
・シチリア島(イタリア)
・アルハンブラ宮殿(スペイン)
・モロッコでどこか1カ所
・ポルト(ポルトガル)
・サンチアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)
また、今回は参加しませんでしたが、アイスランドの「ゴールデンサークルツアー」に参加すればさらに世界遺産が1カ所あります。

1回のクルーズで20箇所の世界遺産は、お得感があります。

②船内の各種講座で、いろいろな勉強ができました。

SDGsのことも、船に乗ってはじめて知りました。

もともとピースボートは観光船ではありません。あくまでも若者が世界に出て、世界の人々と交流しながら平和について学び考える場。それがピースボートでした。
その理念は今でも受け継がれており、平和や平等に関わる講座は、おそらく他の船に比べて充実している筈です。(というより、比べること自体が無意味。)
いろいろなネットの評価に目を通すと、「若者を洗脳している。」などのネガティブな発言もありますが、実際に乗ってみると(当たり前ですが)普通の感覚の人々が普通に平和について現状を学び、考えています。
もちろん、基本的に戦争反対ですから全体としては憲法9条を守る立場だし、原発にも批判的です。ですから、どうしても自民党が政権を握る今の政府とは距離を置く立場になってしまいます。(例えば、ピースボートはICANのメンバーですが、日本政府は核兵器禁止条約に不支持を表明しています。)
そんな現状も踏まえつつ、新しい視点で世界の今を見つめ直すたくさんの機会がありました。

③世界の人々と知り合いになれる

・クルーズのお客さんは、大多数が東南アジアの人。
・乗組員は、スペイン語圏の人もたくさん。
・語学講座の先生は、アメリカ、オランダ、スペイン、イタリア、オーストラリアと、いろんな国の人が集まってる。
・寄港地で知り合いになることだってある。

自分は、意識して知り合いを増やそうとはしていませんが、それでも船を降りてからFacebookの友達申請がたくさんありました。
船の中で関わりのあった日本人が大部分ではあるものの、語学の先生方や、サッカー交流した現地の高校生からも連絡がありました。
Facebookで友達になったからといって、又会えるかどうかわかりませんが、世界のあちこちに知り合いがいるということは、これからも世界を知ろうとするモチベーションにもなるし、将来またどこかで繋がる可能性に備えて、語学を勉強する気にもなります。

まとめ 一度は乗ってみて損はない

ピースボートに乗って得られるものは、ピースボートに乗らなくても得られないわけではありません。
実際、自分の力で世界のあちこちを飛び回り、言葉を覚え、現地の人と関わる中で深く学び、視野を拡げていくエネルギッシュな人もいます。
でも、それは想像以上にストレスのかかる旅です。(特に語学音痴にとっては。)確かにそんなストレスも含めて旅はおもしろいものですが、全ての人がそれを実行できるわけではありません。

ピースボートは、比較的手頃な値段で世界と関わり、世界から学ぶ体験ができる数少ない場所のひとつ。少々体力に不安があっても、一人じゃ怖くて飛び出せそうにない人も、外国語が苦手な人も、一緒に体験できる、そんな場所です。
特に、「これから自分の力で世界を見てこよう。」という野望を持っている人は、はじめの一歩として参加するのもいいでしょう。「定年になって時間はあるけど、自分で海外に出るのはちょっと不安。」という人にとっても、かなり良い体験になるでしょう。
そんな若者とシニア層が一緒に行動できるのも、この船の魅力でしょうか。

長い人生のどこかで、一度はピースボートに乗ってみませんか。

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