法華院温泉山荘特別室(500円増し)の朝、目を覚ましてストーブの温度計を見ると4℃。かなり寒いのでストーブをつける。朝食は7時半からなので、すぐ出発できるようパッキングを完了する。山荘の朝食としては遅いなあとも感じるが、日程にゆとりがあるので大丈夫。頼めば弁当に換えてもらうこともできるけど、しっかり食堂で頂いていく。(それに、食堂で食べるとおかわりができる。)

朝食、このおかずで3杯はいける!

 朝食後、すぐにチェックアウトを済ませて8時ちょうどに出発。山荘の裏から谷に沿って登る。見るからに急な谷で、いくつかの砂防ダムが埋もれていることからも土砂の流量が想像できる。いや、土砂というより巨礫がゴロゴロと落ちてくる感覚だろう。
 朝一番にその巨礫の斜面を登るのは、体が温まっていないから大変だ。ここで頑張り過ぎないように、意識してゆっくり歩く。岩のあちこちに黄色のマークがついているので、ルートは分かりやすい。(でも、マークが多過ぎて逆にわかりにくい場所もあって笑える。)

山荘の裏から登り始めます。
岩ごろごろ。
さらば坊ガツル。
岩はさらに大きくなる。

 30分ほど登ったところで、突然平な場所に出た。「あれ?こんな場所あるんだっけ?」と、地図を見直すと、確かに等高線がまばらで白っぽい部分がある。かなり登った場所に、こんな広い場所があることに驚いた。でも、よく考えたら「タデ原」「坊ガツル」と平坦地があり、その延長でここがあると思えばこれも有りだなあと納得してしまう。きっとここはカルデラの中。その端の一部が法華院側で削られてカルデラ湖の水が流れていったに違いない。(すみません、確認してません。)

あれっ、平らになった。
しばらく平坦地を歩く。

 広い平坦地を横切ると、久住分かれに向かって登りが始まる。岩が大きく、一歩も広くなるので苦しい登りである。救いはゴールが見えること。あそこまでいったらパンを食べようと決めて頑張る。9時30分、久住わかれに着いた。ここまで来たら、突然登山者が増えた。牧ノ戸峠から登ってきた人たちだ。ここまで2時間ほどのルートなので、7時過ぎに出発したのだろう。
 ひと息ついて久住山へ登る。少し登って分岐点に来たところで、若い男女4人組が写真を撮っていた。岩にカメラを置いてセルフタイマーで頑張っていたので、カメラマンになって何枚か写真を撮ってあげた。その若者たちは「景色良かったねー。」「来て良かったねー。」と喜んで、そして下山していった。久住分かれでパンを食べている時に通り過ぎて行った若者である。明らかに山頂には行ってない。あれ?久住山頂はすぐそこだよ。登っていかないの?と思った。でも、もしかしたらメンバーの一人に疲労が見えたのかもしれない。誰かが足を痛めたのかもしれない。そもそも九重の山々を間近に見る場所を目指したのかもしれない。近頃の百名山ブームで「とにかく山頂に行く。」ということを目的にしている人も多いと聞くし、自分もその一人である。そんなタイプの登山者にとって「山頂に到達する=成功」「途中でやめる=失敗」という式が成り立つ。それに比べ、4人でわいわいと楽しんで写真を撮り、山頂目前でも笑って下山していく若者達のなんと豊かな登山だろう。純粋に山を楽しむってこういう事だよなあと、感動してしまった。彼らの実情を確かめる術はないが、自分にとって山への意識を変える出来事になるかもしれない。

久住わかれに到着。阿蘇がきれいに見える。
久住山に向かってGO!
写真を撮って下っていった若者たち。
われは登る。
山頂着いた。昨日の大船山より20センチ高い。

 10時5分、久住山頂に到着。ここが九重連山の代表で「百名山」になっている山。実際は中岳の方が高いのだが、深田久弥さんがこっちを選んだのは理由があるのだろう。ここで下山しても良いのだが、天気も良いし、中岳にも行くことにする。中岳に行くにもいくつかのルートがあるが、どうせならくるりと一周しようと、まずは「稲星山」に向かう。たまたま一緒になり「今日の目標は白口岳」というご婦人に付いて行く。(かなり速いぞ。)

下りは直進。(久住分かれから登ってきた人が左に見える。)
一旦下り、
稲星山に登り返す。
稲星山。

 11時5分、稲星山。ここでご婦人とはお別れして中岳に向かう。稲星山を下り、中岳に登り返すのだが、山頂下の岩場が見るからに急だ。こんなところ登れるだろうかと迷いながら、先に登っている人の様子を下から見学させてもらう。赤い服を着たその人は、時々立ち止まっては目の前の岩場を観察し、それを越えるとまた立ち止まり再び思案している。大変そうだ。自信がないし、どちらのコースでも時間に違いはないので、迂回コースに決めた。迂回コースは緩斜面で、苦労もなく登れる。山頂付近がやや急なのはこちらも同じだが、危険を感じることもなく中岳山頂に着いた。時計を見ると11時45分。ここで昼食にする。

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中岳に向かって一度下る。
急なところがあるので、ビビってやめる。
楽勝の迂回路を爆進中。
それでも山頂付近は大変。
ここが最高峰。
直登でも迂回路でも所要時間はほぼ同じ。
法華院温泉山荘のお弁当(1000円)

 今回は、山荘の売り上げに少しでも貢献しようと、弁当を注文したのだ。お値段は1000円である。ホッともっとの弁当を考えれば高級品だが、駅弁を基準にすればお手頃ともいえる。その弁当を受け取った時、正直言うと「失敗したかなあ。」と思った。なんだかパッケージが小さくて、「おにぎり2個と卵焼きウインナーくらい?」と想像したからだ。そんなイメージで背負ってきた弁当を広げると、予想よりも充実していた。まあこれなら十分だろう。おこわもおかずも美味かった。

天狗ヶ城もなかなか急だな。
山頂は意外に平ら。
御池がきれいだ。
午前中の行程。

 ご飯で幸せになって元気が出た。中岳から天狗ヶ城を経て、久住分かれまで軽快に戻ってきた。時計は12時50分。いいペースだ。これで核心部をくるりと回ってきたことになる。ここからは下山なのだが、時間もまだ早いし、長者原の駐車場まで直接戻ることにした。しかし、ここからが長かった。久住分かれから下り、長い平坦地を歩き、諏蛾守越まで登り返し、ここまでは良かった。しかし、長者原へのルートは通行止めになっている。そこで、「大曲」という地点まで下りて、そこから車道を3キロ歩かなければならない。それは事前にわかっていたのだが、いざ歩くとなると遠い。特に車道の3キロはきつかった。

朝9時前に通過したところ。
すがもり避難小屋。
あとは下るだけ。しかし長い。
どんどん下る。
谷の反対側に移動。
砂利道を進む。
長者原行きの山道は通れない。
こっちね、はいはい。
やっと大曲に着いた。ここから車道を3キロ。
長者原に着いたのは午後3時。

 午後3時、やっと長者原に戻った。ここは自分へのご褒美にソフトクリームを食べようと思ったが、店が閉まっている。まあいいか。これから由布岳の登山口に行く。途中、湯布院の街を通るから、食料調達の時にぜったいアイスも買う。

本日の全行程。(核心部にくらべて下山ルートが長い。)
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