3月26日

 今日はいつもより早く5時に行動開始。九州上陸の2日目に一夜を明かした「道の駅 筑前みなみの里」に、ほぼ九州を一周した後に再びやってくるのも、感慨がある。そうそう、前回は東京から来たという自転車青年がいたっけ。彼は今どこでペダルを漕いでいるだろうか。

 さて、本日の目的は「宝満山」という三百名山にも入っていない山。太宰府天満宮のさらに上にある竈門神社から登る、どうやらこの界隈の市民に愛される山のようである。3日前、久住連山の法華院温泉山荘に泊まった時、風呂で一緒だったテン泊の青年が、「宝満山もいいですよ。いろんなルートがあって、どのレベルの人でも楽しめる山です。」と紹介してくれた。すでに九州一回りの登山旅も最終盤である。予定外の山を入れても大丈夫だろう。

 道の駅を5時に出発し、途中のファミリーマートでパンを3つ購入。(店員のお兄さんが、余っているというクーポンで割引してくれた。60円安く買えたこと以上に、その配慮が嬉しい。)ひとつを車中で食べながら竈門神社に向かう。

 竈門神社の駐車場は400円。いやいや、毎日登る人もいるであろう市民の山である。連日400円を支払っているとは思えない。ちょうど駐車場のトイレにいた男性に声をかけてきいてみた。

「神社わきの林道を上に進めば、無料で停める場所はあります。でも、あまりきれいな場所じゃないし、初めてなら400円払ってしまって竈門神社を参拝してから登られてはどうでしょう。」

 その教えに従い、竈門神社駐車場をスタート地点と決定する。付け加えておくが、400円がもったいないのではなく(いや、少しはそうも思う)、市民の方はどうしているのだろうという素朴な疑問である。そういう地元の人が利用するおそらく小さなスペースに部外者が割り込むと、毎日の習慣を断念せざるを得ない年配の方もいるかもしれない。400円くらい地元の神社に落としてあげよう。(本音は、もったいない・・・)

 スタートは5時55分。(ゴーゴーゴー!)満開の桜の中、山道の石段を登ること数分で竈門神社の本殿にたどり着く。まだ薄暗い中、本殿だけが神々しく光を放つ。これは美しい。アドバイスに従って良かったと思う。本殿の左から一旦下り、車道を少し登ったところで第一の鳥居が出現する。ここが実質的な登山開始となる。ヘッドライトを出そうかどうか迷うほど暗いが、薄闇を楽しむことにする。(これが熊の潜む東北の山なら、絶対にライトをビカビカ照らして歩く!)微かに水の音がする石段を登ると、一旦車道に出る。そしてまた山道、そして車道と進み、30分くらい経過したところで、車道の行き止まり地点に来た。ここまで数カ所、駐車スペースがあった。無理に上がってくれば無料で停められたが、そのような悔しさや怒りは皆無である。きっと竈門神社の神の御威光がそうさせているのだろう。

夜の竈門神社は妖しいほどに美しい。
山道スタート。
途中で何度か林道と交差する。ここが林道の最終地点。
また鳥居があった。

 本格的な山道に入ってからも、基本的には石段がどこまでも続く。「石段、キツいんだよな。」と思いながらも、かつてこの石段を造った時代と人を想像して慄く。人里に近い山だが、神が宿る修験の山という雰囲気があり、厳かな気持ちになる山だ。

 途中、若いカップルに追い越されたが、あまり焦らずゆっくり登る。途中かなりの水量の水場もあり、夏場は格別だろう。途中で追いついた年配の男性に「どちらからおいでなされた?」と聞かれ、「山形です。」「やまがたあ~?!それはそれは遠いところから・・」と驚かれた。早々と下りてきた別の男性に「この人、山形から来たんだって。」と声をかけ、今度はそっちの男性とひと喋り。時間を取られたが気にすることはない。はるか遠方の市街地を見ながら「あれが飛行場だ、それからドーム、、、小さくてわからんかなあ。」と説明を受ける。

おいしい水です。(2リットル背負ってきた自分が笑える。)
石段がどこまでも続く。これ作った人、偉い!
若干険しい場所もあるが、うまくステップを刻んでいる。

 山道の石段はさらに続き、「熊本の日本一の石段に匹敵するのではなかろうか。」と思ったが、段の数なんて数えてないし、帰りもそんなことをする気もない。でも、体感としてはいい勝負ではなかろうか。(後日確認したら、日本一の石段も宝満山も、標高差600mくらいだから、良い勝負という印象は間違っていないようだ。)

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最後の階段。
山頂に着きました。
素敵な社。
チョココッペ!!

 一瞬「ここが山頂?」と錯覚する小ピークを超え、最後にちょっと急な岩場を2カ所越えると、山頂に到着する。麓の駐車場で教えてくれた人が「宝満山の先のなんとか山まで行くといいですよ。」と仰っていたが、それは却下する。山頂の神社としめ縄をつけた巨大な石、それから海まで望む眺望で十分満足なのと、早く下って「太宰府天満宮」「九州国立博物館」を見たいという欲求が勝ったためである。山頂でパンを一個、下山途中の水場でもう一個を食し、9時ちょうどに駐車場に戻ってきた。

きれいに整っている救急箱。
竈門神社の戻りました。雰囲気は夜の方がいいな。

 山道の途中に救急箱があり、中もきちんと整備されていたので、駐車場のお兄さんに「あの救急箱は誰が管理してるのですか?少し寄付したいのですが、どこに出せばいいのでしょうか。」と聞いてみた。救急箱は神社が管理しているわけでなく、はじめに設置した方は既に亡くなり、その後は有志が自主的に管理と補充をしているようだという。救急箱にお金を入れてくれば良かったか。

本日の行程。

 駐車場で400円を支払い、九州国立博物館に直行。博物館と天満宮を観光して午前中のうちに大宰府を後にした。去り際に「日本一たい焼き 太宰府本店」の看板を目にして、「あんこ、白あん、クリーム、安納芋」の4種を全て購入。美味この上なし。

九州国立博物館。
太宰府天満宮。しかし、実在の人物を神様にして祈るって・・・。
「あんこ」「白あん」「クリーム」「安納芋あん」の4種を全部購入。

九州シリーズはここまで

 午後から背振山に向かう。ナビに載っていない細い林道をくねくねと走り、車谷登山口の駐車スペースを確認。翌日はここから登る気満々で天気をチェックすると、あまり良くない。1日遅らせようかとも思ったが、3日ほど回復しない。少し思い悩んだが、今回は背振山登山を断念することにした。まあ良い。九州の300名山の中で登らなかった山が他にもある。来年の、花の季節にでもまた来ればいい。その時にはしっかり登ってやろう。

 実は背振山、車で山頂まで行けてしまうのだ。単に「山頂に行ったもんね。」というだけならそれも有りだが、登山したとは言えない。でも、天気の良い今日のうちに山頂を見てこよう。
 車谷登山口からは逆側なので自動車で1時間、背振山頂の駐車場に着いた。自衛隊の敷地わきを15分歩くとすぐに山頂。一応写真だけ撮っていく。でも、ここは「登山した場所」には含まないことにする。

とりあえず、車で山頂に来てみました。
せっかくなので、吉野ヶ里も見てきました。

 これで九州登山の旅はひとます終了。節約のため高速を使わないので、4日かけて車を走らせ、3月30日に山形に戻った。

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