3月14日 前日

 うちのカーナビ、かなりのおバカさんです。油断してると同じ場所を一周させたり、必要もないの高速に乗せようとします。まるでタチの悪いタクシーに乗ってしまったような気分になります。みなさんのところのカーナビはいかがですか?

「一周していけ」と、突然ムダな行動を強いるカーナビ。

 3月14日午後、尾鈴山登山を終えて市房山に移動する。カーナビに地点を登録し、コースを見ると一般道を使った最短ルートを提案している。よしよしそれで良い。案内スタート。現地到着予想時刻は17時くらいね。明るいうちに着いて登山口の確認もできそうだ。
 おバカさんのカーナビは時々「こっちをひと回りして行こうよ。」と観光地でもないところで奇妙な指示を出す。ナビの画面をかなり拡大しないと「ムダな動き」を察知できないので、いつものように狭い範囲を拡大表示して運転していた。よしよし、今日は余計なことしないで普通に案内してるぞ。やればできるじゃないか。到着予想時刻は・・・18時35分ね・・なにい?さっきまで17時頃に着くって言ったじゃないか。どうして1時間半も延長するんだよ!
 ナビ画面を縮小かけて全体を見て仰け反った。いつの間にか高速に乗り込み、宮崎から都城を通る凄まじい迂回コースになってる。いったい何が悲しくて高速料金を払い、ガソリンを余計に消費して1時間半も遅れて行かなくちゃならんのだ。
 すぐにナビを取り消し。そして「一般道優先」で再設定。(さっきは初めから一般道を出してきたのでそのままOKにしてしまった。)
 ここまで性格の悪いカーナビって、他にあるのだろうか。

 なんとか17時に登山口のあるキャンプ場に到着。まだ明るいので登山口を見に行くと。平成2年7月の豪雨災害で登山口の端が流失し、復旧工事が続いている。基本的には通行止めだが登山者は自己責任で通って良いと書いてある。本当はもう少し上にも駐車場があるはずだが、明日はキャンプ場駐車場からのスタートになる。駐車場には「ここはキャンプ場の駐車場です。車中泊にも料金がかかります。」と書いてある。一方「当面の間キャンプ場を閉鎖します。」ともある。スタッフもいないので、駐車場で寝ることにする。もしも誰かがやってきて料金の請求をされたら、その時に対応しよう。(車中泊の具体的な料金表示がどこにもないので、おそらく何もないだろう。)

 今日も駐車場にぽつんと一人、赤飯と味噌汁の夕食をとり、眠りにつく。

登山口のあるキャンプ場。トイレも使えました。
特にお祝いの日ではありません。
ぽつん・・・もう慣れっこ。

3月15日 登山当日

 朝6時前に起床。ご飯を食べてお湯を沸かし、準備ができたら出すものを出して出発する。キャンプ場は閉鎖中だが野外のトイレはしっかり電気もきていて使える。これは大変有り難い。
 スタート時、早朝にやってきた年配のおじさんに「登山口はどこですか?」と聞かれ、通行止めを横切って行くことや上の駐車場には行けないことを説明する。一旦工事現場を通り登り始めたものの、おじさんが気になりしばらく待つ。(通行禁止になっている超上級者コースは工事現場を通らずに入れるので、間違ったら大変なことになる。)遅れてやってきたおじさんに「こっちでえーす!」と声をかけ、7時にスタート。(結局、全行程をご一緒することに。)

土砂災害で通行止め。(登山者は自己責任で通過してよし。)
橋が完全に流されてます。
登山口、第一の鳥居。

 登山口の小さな鳥居をくぐり、最初は杉の巨木が点在する林を歩く。「市房杉」と名付けられた巨木には名前やランキング番号があり、そこそこ楽しめる。この市房杉は日本遺産に選定されていて、樹齢1000年のものもあるという。確かに素晴らしい杉である。つい先日見てきた屋久島の杉に比べると、市房杉は「そうそう、杉ってこうだよね。」と思える正統派の佇まいがある。

市房杉。
この杉は31位なのね。
第二の鳥居。

 同行するおじさんは普通の運動靴に小さなリュックという軽装で、「おいおい、大丈夫か?」と思ってしまうが、フルマラソンに何度も出たランナーだそうで、体力も十分なのだろう。比べて半日の日帰り登山ごときで多くのリスク対応用品を詰め込む自分は、確かに小心者ではある。でも、山を舐めてはいけない。実際、昨年の8月には29歳の男性が遭難し亡くなっている。web上で登山届けを出す「コンパス」でも、安全なルートは宮崎県側からのようで、熊本側の登山道は破線になっている。しかもキャンプ場からの標高差は1150m。決して楽に登れる山ではないのだ。
 4合目には「市房山神宮 本宮」がある、少し休憩。ここから先は、かなりの急登になる。はしごやロープが次々と現れ、かなり体力を奪われる。後ろのおじさんも息が上がってきているのがわかる。6合目付近で長めの休憩をとり栄養補給。そして再びロープにくらいついて登る。
 7合目を過ぎると尾根に出て、ようやく道は緩やかになり、まばらな木々の間から山頂が見え始める。昨夜も良い天気だったので道には霜柱があり、ざくざく音をたてて愉快だ。でも、戻る時にはこれが溶けてぐちゃぐちゃだろう。10時5分、登頂。山頂は広く、見晴らしもまずまず。今日も青空の中で山を楽しめたことがうれしい。

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4合目の市房神社
だんだん険しくなる。
写真の見た目より、かなり急で大変。
このあたりから、少し楽になる。
山頂見えてきた。
景色も良くなる。
最後の登り。
よし、山頂きた!

 山頂から少し上級者コースを下ると「心見の橋」というのがある。(上級コースは通行禁止だが、橋まではOKとなっている。)心が清らかでない人間が渡ると落ちてしまう橋らしい。行ってみると、岩の隙間に巨石が怪しく挟まっていた。巨石の橋の下は垂直な断崖があり、落ちたら地面にぶつかるまで「お別れの一句」くらい詠めそうである。高所恐怖の自分は当然ながら写真だけにしておいた。(よく考えると、この巨石が落ちたことは一度もないのだから、根性の悪い人間はひとりもいなかったということになる。)

心見の橋。怖くて歩く勇気なし。
さあ、下山開始。

 一緒のおじさんは、山を降りたら市房ダム周辺の桜を見物してから鹿児島に戻るという。気がつけばそこそこスピードで登ってきたのに、元気な方だ。
 10時30分、下山スタート。下りとはいえ、ロープやはしごのある急登はそれなりに時間もかかり体力も消耗する。1時間ほど歩いた6合目付近でしっかり休憩。4合目の神社に着いた時には12時を回っていた。最後は再び「市房杉」の林を抜け、午後1時に無事下山できた。

本日の行程(アプリ コンパス より)

次の山へ移動

 駐車場に戻ると、おじさんサッと後始末をして桜を見に車を走らせる。さて自分も出発するとしよう。次の目的地は国見岳だが、明日の予報は午後から雨。かなり微妙な天気なので、できれば午前中に終わらせたい。幸いコースは5時間ほど。朝早く出発すれな午前中に戻れるだろう。とりあえず登山口に行こう。
 しかし、「ほんとにここは国道ですか?」と言いたくなる445号線の山道を通り、さらに細い県道を15キロもくねくねと走った挙句に、道は土砂崩れで流出して通行止めになっていた。おーい、それなら県道に入るところで何か書いててよ!(それとも自分が見落としたか?)
 反対側からの登山道もあるようだが、そんなことは想定外で事前調査もできていない。こういう時は無理をしないで諦める。そんな潔さも大切だ。国見岳はパスして阿蘇に向かう。おバカなナビによれば一旦熊本市に出てから阿蘇に行くのが良いらしい。熊本市に向かって車を走らせ、暗くなった頃に目にとまった「道の駅 美里 佐俣の湯」で寝ることにした。

五木の子守唄発祥の地に感動する。
おいっ!!!(国見岳登山口2キロ手前で)
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