前日、二岐温泉から砂利道の林道を登り、かなり早い時間帯に登山口に到着。早めのごはん(パックご飯にレトルトカレー)を食べてまったりしていたら、突然○○○がしたくなり、20キロ離れた道の駅に移動。ここで寝ることにした。(登山口にトイレがあるって大切。)

 翌朝、気を取り直して6時に登山口に到着。ラーメンを食べてコーヒーを飲み、お湯を沸かして準備をしてたらあっという間に時間が過ぎ、結局6時40分に出発。

 登山口には「熊が出てます。」という大きな看板があり、ちょっと緊張する。木の鳥居を抜け、スタートは緩やかな尾根をまっすぐ登る。道も広く、草もまばらな新緑の季節でもあり、木々の間ごしに視界は良い。熊がいればすぐにわかるだろうと、鈴をリュックのポケットに収めた。鈴の音ってほんとは邪魔だもんね。朝早いので空気は涼しく、歩くのに丁度良い。斜面もそれほどキツくないし、爽やかな林間のハイキングという雰囲気で少しずつ登っていく。

熊注意の看板はどこにでもあるからね。
神の領域に入り込む感覚
深緑がきれいで道も良い

 20分くらい登ったあたりから斜度が増し、道も狭くなっきた。それまでなかった笹藪が出てきて、少し山らしくなってきた。そう思った時に20mくらい前方の笹がガサガサと音を立てた。びっくりして音の方向を凝視するが1mほどに伸びた笹が邪魔でよく見えない。「おーい、おいっ!!」と声を出してみると、またガサガサと音を立てた。熊、鹿、兎、鳥、、、いろいろ考えられるが、熊を前提にして少しずつ後退。しかし「背中を見せると追ってくる。」という記事が頭によぎり、後ろ向きに斜面を下るのも緊張する。近くにあった木の後ろに回り、今度はリュックのストラップについている笛を鳴らす。「ピーーーーーッ!!」と甲高い音が響く。でも、笹の方から何のリアクションもない。
「音がしない=もういない?  音がしない=じっと潜んでいる?」
今度は鈴を手に持ちシャンシャンと激しく鳴らす。でも返事はない。

この先でガサガサ音と対峙する

 これは、下山すべきだろうか。北海道に行く準備のため購入した熊スプレーが車にある。あれを取ってこようか。いや、熊じゃない可能性が高いぞ。だって、うさぎが跳ねたってあれくらいの笹の音はするはずだ。それに、獣臭がしないぞ。(匂いわかるんか!お前も獣かっ!)

 笹藪と対峙すること10分少々、いい加減もういないだろうと判断し、両手に持ったストックを前に突き出した格好で、少しずつ、少しずつ間合いを詰めていく。幸いなことに笹藪から何かが飛び出すこともなく、無事通過できた。(ふう、こんな時は一人でいることが恨めしい。)

女岳坂?そうだよね。女岳に行くんだもんね。

 熊?の恐怖が一段落すると、斜面はかなりの急登になった。東北の山らしい普通の三角山だが、まっすぐに登るのだからかなり急な坂になる。途中、何本かロープも出てきた。いつの間にか背中に汗が滲んでいる。時々這いつくばるようにしながら登っていくと、だんだん空が近くなり、急登の終わりが見えてきた。ようやく最後の登りを終えてなだらかな道にでると、そこには「地獄坂」という看板が出ていた。そうか、地獄坂というのか。しかし、坂の下に表示がなければわからんじゃないか。それとも下りが地獄ということか?

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坂が急になってきた。
だいぶ登ったぞ。尾根が細くなってきた。
そういう名前なら登る前に教えてちょうだい!

 地獄坂を登り切ったら大きな雪渓(でも、ほぼ平ら)を越え、数分で女岳に着いた。ここは看板があるだけで眺望はないので、休まず男岳に向かう。一度急斜面を下り、また急な坂を登り、女岳から30分で男岳に到着した。時計を見ると8時40分。ちょうど2時間で登ったことになる。
 山頂に着いて驚いた。それほど高い山ではないが、独立峰であるため周囲の景色が抜群だ。近くは那須連山から、猪苗代湖、磐梯・吾妻、そして遠くに白い雪に覆われた飯豊連峰まで見える。西の新潟方面にも名前はわからないが白い山並みが美しい。この眺望を見るために登る価値のある山だと実感する。インスタントのカフェオーレを飲み、チョコビスケットを食べながら、自分にしては珍しく30分ほど滞在した。

女岳山頂、ここは通過。
 山頂はまだ遠い。
雪渓も急じゃないので楽しい。
山頂は眺望かなり良し。

 下山は一度下り女岳に登り返し、あとは地獄坂を下るだけ。かなりの急登だったけど下りはそれほど斜度を感じない。これは、下りに強いということなのか、目の前に斜面がない下り特有の感覚なのかはわからない。でも、少なくとも「登りより下りが大変だよね。」という、よく聞く言葉を実感することは今のところない。途中でシニアの3人組とすれ違い「ここ、地獄坂って言うんですね。」と声をかけたら、「そうだよ。知らないでここに来たの?」というお言葉。事前調査は必要です。

言われるがままに縁を願ってみる。いったいどんな縁が来るか楽しみ。

 登りで熊?の恐怖と対峙した笹藪も無事通過し、無事に下山したのが10時30分。下りは1時間20分くらい。なかなか良い山であった。

 さて、まだ時間はたっぷりあるし、とりあえず八溝山に向かってみる。八溝山も小さな山なので、行けそうだったら今日の午後に登ってしまおう。天気の良い日は有効活用しなくっちゃ。

本日のコース
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