御正体山には少し前に来ているのだが、その時はなかなか登山口を見つけられずに断念した。南北両側の峠から尾根伝いに道がある筈なのだが、どちらも車を停めることができない。役場に電話して聞いてみてもよくわからないみたい。それならば一番近くの登山口からとも思ったが、こちらも駐車スペースがよくわからない。役場では「登山口付近の道路端に停めてるようですよ。」という話だが、いまひとつわからない。仕方ないから登山口に駐車するのは諦めて、道の駅から歩くことにした。全行程の半分近くが舗装道路というのも気持ちのよいものではないが、背に腹は代えられぬ。

 前日は道の駅で車中泊。(実はここで寝るのは3回目)道の駅には昨年度キャンプ場で行方不明になった女の子の写真が貼ってあった。全国的に話題になり、根拠もなく母親が批判の的にされたりもした、あの事故だ。まだ発見されていない女の子はどこで何をしているのだろうか。ここまで時間が経ってしまうと、逆に人さらいであって欲しいと願う。

 24日朝、5時すぎに出発。普通の道路をとぼとぼ歩く。およそ4キロあるので普通にあるけば1時間の筈。早朝だから車があまり通らないのが幸いではある。
 50分で登山口の入り口に到着したが、ここからさらにホントの登山口まで道路が続く。道の駅から通算5キロになる。(往復10キロか・・)

道路歩くよー
ようやく登山口前、ここ右折
まだ道は続く
やっと登山口 行方不明の看板がある

 6時40分、ほんとの登山スタート。スタート地点にも行方不明の子の写真が貼ってあって悲しくなるが、ここから先はあまり考えないようにして進む。道は普通の林道からやや細い山道へと続き、所々荒れている場所も通過する。傾斜はそれほどでもない。前半は谷を進むが、一度大きく折り返して後半は尾根道になる。まっすぐの道で気持ちが良い。

まあ歩きやすいけど、やや荒れた雰囲気
沢を越えたりもする
尾根道はまっすぐ
主稜線と合流
山頂まで一気に行くぞ

 7時45分、御正体山へと続く尾根に合流。ここから若干傾斜は上がるが問題はない。でも先は長いのでゆっくりと足を進める。他に人の姿はなく、結構深いところに一人で来た感がある。変に怪我したくないので、とにかく焦らずゆっくりだ。
 8時30分、山頂に着いた。比較的広い山頂でベンチもあり、休憩して何か食べるには良い場所だ。しかし、この日はなぜか虫がぶんぶん飛んでいて休む気になれない。そこで、すぐに展望台の方に向かう。峰宮跡展望台という名前のその場所は、一度山頂から下っていくそれこけっこうな距離である。コースタームで往復1時間。でも天気も良いし行かない手はない。

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山頂広し 虫多し

 途中でかなり大きな岩のそばをすり抜ける所があって、そこだけは慎重になるが、他は大丈夫。歩いているうちに木立の間から富士山がちらちら見えて期待が高まる。
 9時丁度に展望台に到着。曇り空だが富士山は山頂までしっかり見えた。かなり嬉しい。とはいうものの、実は私は富士山があまり好きではない。いや、好きでないというよりも恐怖を感じると言った方がいいかもしれない。日本らしい里山風景のその先に異様にでかい、しかも稜線がすっきりと美しい山がそびえているのだ。この違和感というか恐怖感が心の奥底からふつふつと湧き上がる時がある。今回も「富士山きれいだなあ。」と思いながら早く逃れたい気持ちも混在している。

展望台へ向かう ここ少し危険
展望台来た
富士山が怪しく美しい

 何はともあれ富士山を堪能した。ここは天皇も昔皇太子だった頃においでになった山らしい。年齢がひとつ違いの天皇の人生をちょっとだけ想像しながら再び御正体山に登り返す。
 御正体山頂では人の姿を見かけたが、稜線を歩いていってしまった。挨拶もしなかった(たぶん)おじさんが、今回の山行で会った唯一の人間であった。

春です

 下りは特に問題もなく、11時には登山口に戻って来た。しかし今回はここからさらに5キロの舗装道が待っている。帰りは下り基調ではあるもののいい加減疲れもでているので足取りは重く、しかも途中でジュースを買って一服したりしたものだから、道の駅に着いたのは12半を過ぎていた。うーむ、山よりも道路のイメージが鮮烈に残っている。まあ、これも良い経験としておこう。

がぶ飲みした
バス停のデザインがかわいい
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