前日は大弛峠から「道の駅みとみ」まで移動して車中泊。そして翌日4時少し前に西沢渓谷駐車場に移動し、4時ちょうどに出発。かなり早いスタートなのは、コースタイムが10時間を超えているから。危険な場所はないようだが距離の関係か、上級コースになっている。
 歩き始めは真っ暗で写真を撮っても意味がないのでとにかく歩く。最初の30分は舗装道なので、ヘッドライトも使わずに歩く。かなり早い出発なので、どうやら前方には誰もいないようだ。それに、最近は山に慣れてきたためか登るスピードもそこそこある(個人内評価)ので、誰にも会わない山行になりそうだ。

徳ちゃん新道を進む
なかなか激しい雰囲気の場所もある

 4時30分、徳ちゃん新道入口からスタート。尾根伝いの道は特に見るべきものもなく、時間を稼ぐために急ぐ。前にも後ろにも人影はない。ようやく明るくなりかけた道を一人で進む。急登ではないが、同じ傾斜の登りが果てしなく続き、かなりきつい。
 どうせ誰もいないし、と思い「けっこうきついなーこりゃ。でも大丈夫大丈夫。」と喋りながら進む。そのうちに「行け行け自分! ファイトだ自分! ゴーゴーレッツゴーレッツゴー自分!」と唱えていた。その時、後ろに何かの気配がして振り向くと、女の子がすぐ後ろにいた。

 「うわぁ、びっくりしたあ!」
 「ごめんなさい。脅かすつもりなかったんですけど。」
 「速いですね、何時に出発ですか?」
 「4時半です。」

 きっとこの女の子、前方でへらへら喋りながら進む怪しいおじさん(私)をどうやって抜こうか思案していたに違いない。もしかしたら独り言をずーっと聞かれていたかもしれない。これは、恥ずかし過ぎる。
 大学生風の女の子は、あっという間に見えなくなった。速い!

通行止めロープが切れてたからつないでやったぜ

 気を取り直して先を急ぐ。途中からシャクナゲがきれいに咲いていて、かなり素敵だ。しかも数が多い。(後に、今年がシャクナゲの当たり年だと聞くことになる)
 6時10分、近丸新道との分岐点を通過。さらに登りは続く。途中、シャクナゲの大群落の中を通過する場所もあり、最高の季節に来たようだ。
 7時50分、ようやく木賊山に到着。ここから一度下る。甲武信小屋までの下りは砂地のようになっていて滑り易いので注意が必要だが、前方に目的地がはっきり見えて気分が高揚する。甲武信小屋を通過すると、あとあとは甲武信ヶ岳に向かう最後の登りだけだ。
 8時25分、登頂。ここまで4時間半かかっている。今日はさすがにきつかった。

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木賊山への登り
木賊山から下る 正面に甲武信ヶ岳
もう少し
到着!

 山頂には既に3泊しているというカメラマングループや、信濃川源流の方から登って来た人とお喋りして1時間過ごした。山頂で1時間滞在するのは珍しい。雲海の彼方に富士山も顔を出し、なかなか良い山である。天気もなんとか持ちそうだ。

甲武信小屋

 帰りは甲武信小屋で400円のコーラを買って一人乾杯。コロナで苦労しているだろう山小屋へのささやかな寄付のつもり。
 下りは途中までは同じコース。雁坂峠経由で戻る大回りのコースもあるが、無理はしない。11時半、新道分岐まで降りたところで、どちらの道を行くかしばし迷う。すると、幸運なことに近丸新道から夫婦のペアが登って来た。道の様子を聞くと「楽しいですよ」という返事がきたので、そちらを選択。今度は沢沿いの道になる。
 沢まで下る途中、長石だろうか、白い露頭から崩れた石が斜面を白く染めている場所もあった。地質学的にどんな場所なのか少し興味が湧く。(でも、きっと調べたりしないな。)
 沢に下りてからは、なぜか埋もれかけた線路跡の道を進み、所々崩れてかなり危険な場所を超えたりして、そこそこ緊張感のある道だった。「楽しいですよ」とはこのことだったか。安全面を考えると、徳ちゃん新道の方が良いように思われる。

近丸新道を下る
けっこう怖い
かなり怖い
線路が崩れてる
無事到着

 13時15分、新道から舗装道に出た。あとは普通の道路を歩いて駐車場に戻るだけだ。なんとか無事終わりそうだ。13時40分、駐車場到着。全行程9時間40分。早く出発して良かった。

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