走っちゃダメって、初めて見た

 ヒグマと言ったら道東の知床が有名だけど実際には北海道全域にいるわけで、しかも西のクマは人を怖がらない個体が多いような話も聞く。特に暑寒別岳はクマがいるようなので、利尻島では外していたクマスプレーも再装備して行く。今回は増毛町から入り、暑寒荘からスタート。

 午前5時、暑寒荘スタート。「熊注意」のでかい看板が緊張感を高めてくれる。さらにこのルートは「トレラン禁止」。走り去る人間を目撃するとクマは本能的に追っかけてきてしまうんだとか。おお怖。

草刈り、ありがとうございます

 暑寒別岳は1500m程度の山だが、スタート地点が300m弱なので、そこそこの標高差がある。おまけに往復20キロ。コンパスのコースタイムは9時間を超えているので、その通りなら下山は午後4時ということになる。でも最近は体力や疲れない歩き方、ペースも向上したようで、そこまではかからないで下山できるだろう。何事もなければ・・・

 実際に歩いてみると、前半は緩やかな登りで特に苦しい場所はない。つい最近草刈りをしてくれたようで、すこぶる歩き易い。(こういう作業は地元の愛好会あたりがボランティアでやってくれてるんだよね)あとは左右の笹藪からデカいのが飛び出さなければ問題はない。

 6時30分、3合目を過ぎたあたりで、前方を歩いていたカップルが突然足を止めた。二人はじりじりと後退りし、男性はクマスプレーをスタンバイさせた。生唾をごくりと呑んで自分もクマスプレーの安全ピンを外す。

この付近でクマスプレースタンバイ

「クマですか?」

「いや、わかりませんけど、薮の中で何かガサガサと動いてます」

「人ってことは・・ないですよね・・」

「わかんないです」

念の為「おーーーい、誰かいますかあああああ」と叫んでみるが反応はない。3人で数分待機したが、その後何の動きも音も感じないので、登山を再開することにした。そして登り始めて100mも行かないうちに、薮の中にリュックとラジオを発見。どうやらタケノコ取りをしていた人間だったようだ。(それなら返事しろよなっ!)

 今日は始めてクマスプレー発射の準備をした記念日(「発射した記念日」が訪れないことを願う)

だいぶ開けてきた
5合目から急になる

 7時少し前に5合目に到着。ここまで厳しい場所はなかったが、少しずつ斜度も上がりちょっと汗ばんできた。ぼちぼち森林から低木帯に変わり、青空が大きく見える。暑いけど天気が良いと気分も上がる。途中、小さな雪渓を越え、ロープつきの長い急斜面を登り、少しずつ見えてくる暑寒別本体の残雪に見惚れながら歩く。雪山は寒くて好きではないが、残雪の山は一番好きかも。

7合目の手前
8合目の屏風岩

 8時、8合目の屏風岩に到着。斜面に残る雪渓は所々で滝を作っている。しばしその風景を堪能したら、いよいよ最後の登りだ。急登となだらかな斜面を2度繰り返すと、あっという間に山頂部の肩にたどり着いた。そして9時、山頂に到着。特に急いだわけではないが、4時間でここまできた。

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山頂部来てからも長い
山頂
今日は最高の景色

 山頂からは南暑寒別岳と雨竜沼湿原が遠くに見える。あっちのルートもなかなか良さそうだな。湿原を抜けて歩くのも気持ちよさそうだし。

 天気が良いので珍しく山頂で40分ほど過ごし、下山開始。帰りも特に問題はなく、13時に駐車場に到着した。

 予報では明日も天気は良さそうだ。よしっ、車で反対側の雨竜町に回り、逆ルートで暑寒別岳を連チャンしよう。そう決めて2時間ほど車を走らせ雨竜町に入った。

 しかし、道の駅うりゅうで登山道の様子を聞いたら、途中の橋が工事中で登山口まで行けないとのこと。今回は諦めよう。次回というものが来るのかどうかは怪しいが、再びここを訪れる日が来ることを信じて、次の山に移動する。

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