最初はここにくることを考えていなかった。三百名山にも入ってないし、大雪旭岳とトムラウシに行ったからいいかなと思っていた。突然の心変わりは「駒草平」という地名だ。ここ2日間、阿寒富士と石狩岳でコマクサを見た。どうやら今が見頃らしいのだ。そんなタイミングで大雪山系の地図を見てたら「駒草平」だ。これは行くしかあるまい。とは言え、ここだけを目的にすると往復で2時間半。これはいくら何でもへなちょこ過ぎるだろうと、このコースの一番奥にある白雲岳を目的に設定した。

 7月16日夜は層雲峡駐車場で車中泊。ここは立体駐車場になっていて、暑ければ下、気候が穏やかなら屋上を選べば良いから条件は良い。近所にセイコーマートがあることも嬉しい。日頃はあまりアルコールを飲まないのだが、今日は公衆浴場の帰りに缶ビールを酎ハイを買ってきた。一人でささやかな石狩岳到達記念パーティーを決行して就寝。

 翌17日は早朝に銀泉台駐車場に移動。土曜日ということもあって既に多くの車が来ていたが、比較的良い位置に駐車できた。

 5時30分、登山口スタート。このコースは平地と緩やかな登りが交互にやってくる。大きな雪渓も残っているから、花の季節はずいぶん長いのだろう。(雪解けで土が出たところから順に春がやってくるのだ) 青空が広がり、今日も天気の心配はなさそうだ。今日で4日連続晴れが続き、登山の効率が良い。

傾斜のあるところ
平らなところ (この繰り返し)

 地図に載っていた第一花園は、コースの中でも傾斜のある場所で、まだ雪に覆われているから花は咲いていない。ここは気にしないで駒草平を目指す。第一花園から少し登り、平坦地をしばらく歩いたら再び登り、そして駒草平についた。時計は6時40分、ここまで1時間。コマクサは綺麗に咲いていて、ああ来て良かったなあと思う。反面、数年前に見た岩手さんのコマクサ群落に比べるとやや物足りない感もある。それでもきちんと保護されているので、きっと少しずつ増えていくだろう。

コマクサが点在している(写真下手でごめんなさい)

 駒草平を過ぎると再び登りがやってきて、また平坦地、そしてまだ登る。この階段上の地形はどうやってできたのだろう。資料によれば溶岩流と火砕流が繰り返されてこうなったようだ。するとこの傾斜部分は溶岩流の末端部だろうか。それはともかく、広大な階段上の地形が珍しいことには間違いない。

まだ登り
赤岳(山と呼んで良いのだろうか)

 登山口から平坦地と傾斜地を4回繰り返して赤岳に着いた。ここまでくれば溶岩大地の最上部で、あとは山とは呼べないなだらかな登り下りだけだ。そのまま小泉岳(といっても東京ドームのようなひらたい丘)を通過し、北海岳への分岐まできて休憩。ここでコーヒーを飲みパンを食う。登山客は旭岳の時同様に多い。その一部は北海岳から黒岳経由で層雲峡に戻るようだ。また、層雲峡から逆回りで銀泉台に降りる人もかなりいるという話。そういえば銀泉台バス停の時刻、早と夕方だけだったな。朝のバスに乗る人って、避難小屋で一泊する人だろうか。

 時刻は8時半。再び白雲岳に向かって歩き始める。白雲岳もそれほど大きな山ではなく、巨大な溶岩のかたまりと言った方が正しいかもしれない、噴火口であったはずの穴は塞がり丸い平地となり、その奥にカルデラの縁が少し残っているのが白雲岳だ。実を言うと山としてはあまり魅力を感じていなかった。

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もうすぐ白雲岳
角度によっては豪快な山容とも言える
白雲岳から見た大雪旭岳

 ところが、登ってみて驚いた。山の向こう側の旭岳がきれいなセブラ模様になっている。これくらい綺麗な白と黒の縞は初めてかもしれない。他の登山者も歓声を上げて写真を撮っている。白雲岳自体がそれほど魅力的でなくても、この風景を見るためだけに来る価値のある山と言える。これを知っているからみなさんやってくるのだろう。(知らないのは自分だけ?)

 9時、下山開始。下山というには平らすぎるが、とりあえず登山口に戻る。途中、ルートからちょっとだけ外れ小泉岳にも立ち寄り、再び平坦地と斜面を繰り返しながら銀泉台に向かった。

 12時すぎ、登山口到着。急遽予定に入れたコースだったが思いの外良かった。機会があれば黒岳からの周遊コースを試してみたい。

小泉岳山頂?
花をいくつか載せておきます
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