石狩岳に行く前に、ぬかびら温泉郷にある「東たいせつ自然館」で情報収集。石狩岳シュナイダーコースの登山口は、最短の林道が水害で不通だが、やや遠回りのルートで行けることがわかった。案内に従って糠平湖を通り過ぎ、小さな看板を目標に林道に入った。あとは林道の分岐点ごとに表示があるから迷うことはない。しかし、あまりきれいな林道ではない。もしかしてまたパンクしたら嫌だなあとビビって低速で進む。幸いトラブルなく駐車場に行き着いた。時計は午後3時。今日は川沿いの駐車場で寝る。車は他に1台。誰もいないということは今日登っているのだろう。そのうち降りてくるだろうなと待ちながら早めの夕食にする。

 登山者は4時過ぎに無事下山し、完全に一人ぼっち状態になった。うん、これは天塩岳以来だなと、ちょっとだけ嬉しくなる。

 真っ暗になって随分と時間が過ぎた夜中の11時過ぎ、なんともう一台車がやってきた。しばらく駐車場所を選んでいたようだが、結局自分の車の横に1台分空けて停まった。今夜は2人(又は2組)だな。

7月16日

 早朝にもう一台やってきて、車は3台になった。昨夜にやってきた車からは、びっくりするくらい美しいお姉さんが出てきた。どうやら若いカップルのようだ。もう一台は男性の2人組。今日は(いや今日もなのか)人が少ないようだ。

今日は人が少ない

 2人組は5時前に出発。5時にもう一台と自分が出発。驚いたことにお姉さん一人だった。それにしても自分の先入観というかバイアスのかかった感覚のひどいことよ。美しいお姉さんがワゴン車から出てくれば、きっと彼氏が一緒なのだろうと反射的に思ってしまう。ある意味現代のジェンダーフリーやLGBTsやら諸々の意識改革から程遠い場所にいるのかもしれない。(偏見はない方だとは思っているのだが・・)

 美しいお姉さんに「一日よろしくお願いします」と挨拶し、レディーファーストで出発。とはいえ、あまり後ろをぴったりつくのもストーカーっぽいので、ここは敢えてお姉さんが見え隠れするくらいの距離を保って進もう。いったいお前は何を考えてるのだと批判を受けそうだが、若いお姉さんと一緒になると「失礼があってはならない、不安や恐怖を与えてはならない。さりとて完全に無視するような行為も許されない、どうする自分、うぎゃー」となってしまう。普通の男性はどうなんだろうか。(そもそも不通とは何ぞや)幸い美しいお姉さんはかなりの猛者のようで、距離を保とうというこちらの配慮を完全無効化する勢いで、あっという間に見えなくなった。

緩いのは最初だけ
写真でわかるかな? かなり急です
急登は続く

 それにしても、ここはかなりの急登だ。大抵の山は急登と緩斜面が交互に現れるものだが、ずーっと急登が続き、ロープ付きの岩場も所々に現れる。今日は暑いし体力を消耗しそうだ。水を十分に持ってきて良かった。(3.5リットル持ってきた)先行していた男性二人組もペースが落ちてきたようで、7時半ごろに一人に追いついた。一緒に来たからといって一緒に登るわけでもないのね。このあたりの感覚、不思議。

 8時を過ぎるとようやく石狩岳の本体が見えてきた。しかしまだ遠い。かなり大変だとは意識していたが、予想以上に大変な山だ。8時15分、稜線に出た。先に到着していた美しいお姉さんと2人組の一人はまだ休憩していた。ここで早めにパンを半分食べる。

振り返ると、こわ
稜線でた 奥に大雪山系の山々
美しいお姉さん唯一の写真(たぶん肖像権は大丈夫)

 ここから山頂までは700mと表示がある。しかしまだまだけっこうな登りが続く。しっかり休んで8時30分登山再開。ここからはお花畑が広がり、良い登山道だ。最初の急登がなく、この稜線だけだったらすごい人気スポットだったろう。でも、苦しい思いをして登ってきた人だけが堪能できる場があることも素敵だ。パチパチと写真を撮りながら、9時30分登頂。結局700mを1時間かけたことになる。最後の最後まで厳しい山だった。

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最後の登り1
最後の登り2
まだまだ続く最後の登り
山頂
最後の登りを振り返る

 15分ほど山頂で休んで下山開始、稜線の分岐点には30分で戻ってきた。ここで美しいお姉さんと少し話をする。金曜休みが取れたので勤務終了後に札幌から車を飛ばして来たそうな。詳しくは聞かなかったが大きな怪我でもしたのだろうか、リハビリ中で身体を戻すためのトレーニング中というお話。(えっ、あのペースがリハビリ途中なの!?)「それにしても、ここ、厳しい山でしたね」と言うと「ここは北海道の三大急登のひとつですからね」という返事。(そんなこと聞いてないっ)

さあ、降りよう(というより落ちようという感覚)

 下りもお姉さんを先に出して自分は少し遅れてスタート。でも下りはお姉さんバテてきた模様で、早い時期に追いついてしまった。「ゆっくり行きますからお先にどうぞ」と言われて初めて先行して歩く。だんだんお姉さんの鈴の音が遠くなっていくが、自分より随分ベテランのようだし心配ないだろう。自分は自分のペースで下るだけ。

 ところが、半分過ぎたあたりから鈴の音が近づいてきた。急登が終わり河原に出たあたりで追いつかれた。「歩いてるうちにだんだん元気になってきた」というお姉さん。あなたの本当の実力はいったいどれくらいなんですか。

 お別れに「ずーっと一緒に歩いていただいて安心でした。」と挨拶され、お世辞半分でも邪魔にはならんかったのだろうと安堵するじいさんであった。彼女のリハビリが成就し、フルパワーで動き回る日が早く訪れますように。林道はもちろんお姉さんを先に出し、万が一パンクをしてたらタイヤ交換をする気満々だが、その能力を発揮することもなく国道に出たので、次の山に向かう。

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