本当は奥三界岳(三百名山)に登る予定だった。20日昼頃にその登山口まで車を走らせ、案内所(キャンプ事務所)で「奥三界岳に明日登ろうと思うのですが、何か情報ありますか?」と聞いたら「現在、山道は閉鎖中です。昨年の台風で荒れた場所があって復旧ができていないので。それでも登っちゃう人はいるんですけど。」という返事。ここは判断の分かれるところだし自己責任の名の下に入っちゃう人が少なからずいるのも理解できる。でも自分は「立ち入り禁止」と言われたら入らない。ほとんどの山には地権者がいて、その方々に「入るな」と言われたら不法侵入であり、最悪捕まっても文句が言えない筈だ。だから今回は潔く撤退して次の山である「南木曽岳」に向かうとする。(このあたりが、8割登れば合格というコンプを目指さない立ち位置の持つゆとりである。)そしてこの日は「道の駅きらり坂下」で一泊。

 4月21日朝、道の駅を5時すこし過ぎに出発し、30分ほど車を走らせて登山口の駐車場に着いた。駐車場は100mくらい離れて2ヶ所あるが、下の駐車場に停める。この場所では一番乗りだ。午後になっても日陰になりそうな隅っこを選ぶ。そしてすぐに準備をはじめて6時ちょうどにスタート。地図のルートはスタートから山道なのだが、途中で合流するので林道を進む。そもそもカウンター(光か電波出して通過するとカウントするタイプのアレ)が林道側に設置されているのでこちらがデフォルトなのだろうか。(数に入らないと心配なのでこっちを選んだというのが本音)

1番乗り!
林道を進む
登山口きた(写真が下手でごめんなさい)

 林道は何てこともない普通の林道で特に面白いこともなく20分でホントの登山口に着いた。ここからしばらく沢沿いに進む。こちらも何て事もない沢で、やはり20分ほどで分岐点に着いた。ここからは左が登りで一周して右から下るというルートになる。事前の情報では下りのコースが半端ない急斜面らしい。

 登りコースを進むとすぐに「金時ノ洞窟」という大岩が出てくる。そういえば林道の終点、登山口の手前に「金時の産湯の池」というのもあったから、その世界では有名な場所なのかもしれない。(この手のお話は各地に点在するから信憑性は不明)

 金時ノ洞窟あたりから斜面は急になってくる。木の階段も多く設置されているがかなり古いものもあってやや信頼性に欠ける場所もある。加えてちょっとした岩を越えたり木の根をつかみながら登る場所もあり、大変だが楽しめる道でもある。

 8時20分、南木曽岳山頂。ほぼコースタイム通りに来た。山頂で少し休んでみたものの、まるで眺望もないので少し進んでみる。少し平らな山頂部を歩くと小さな社と展望スペースが出てきた。ここで昼食にしよう。(まだ9時前だが、山頂に着いて摂取する炭水化物は昼食である)その下は断崖になっている大岩の上でパンとコーヒーをいただく。一昨日の小秀山からは少し離れたものの、御嶽山もきれいに見えて嬉しい。今日も良い天気だ。

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眺望なし
ここで食事

 8時50分、十分に休んだので下山開始。まだ続くなだらかな山頂部を少し下ってまた少し登ると避難小屋が見えてきた。おやおや、ここにはトイレもあるのか。これは便利であろう。(ちなみに自分は、登山の最中にその関係の用をたすことをしない。キャパが大きいのか鈍感なのか、汗で水分が吹き飛んでるのかは定かではないが、トイレを見て「便利だなあ」というのは一般的にはそうだろうという話)そして避難小屋からほんの30mも歩いたところに展望スペースがあった。さっき昼食を取った場所よりこっちの方が断然素敵だ。失敗した。ここで昼食だった。こちらは中央アルプスの山並みがきれいに見えるし、何より広くて雰囲気が明るい。さっき休んだばかりだが、ここでも少し時間をかけて写真をパシパシ撮った。(これから南木曽岳に登る人は、休憩場所を「山頂」でも「最初に出てくる展望場所」でもなく、避難小屋まで行って欲しい)

休憩は避難小屋の先が良い
今日も御嶽山がきれい
こっちは中央アルプスだな

 9時10分、ほんとの下山開始。さてどんな急勾配なのだろうと身構えてると、いきなり登り返しがある。そこをクリアするといよいよ下りが始まった。確かにこれは急だ。慎重に歩かないと膝にくる。しかも2月にマラソン大会で痛めた左膝がまだ本調子でないのだ。中途半端に曲げた状態で体を支えるとかなり痛い。ゆっくりゆっくり。

 一般的に、下りの急勾配は危険なため「登り専用」になることが多いような気がするが、南木曽岳はそうではない。下りの方が悪条件の急登に思える。所々に木の階段もあるが、「あなたは階段ですか?はしごですか?どちらを向いて降りるべきですか?」と尋ねたくなる場所もある。しかも古い。実際、ほんの3段の梯子だが真ん中がポッキリ折れているところもあった。(あの折れた横木の最後のユーザーは大丈夫だっただろうか)

ぐいぐい下る
最後のユーザーが運動神経の良い若者でありますように

 恐る恐るとはいえ下りはやはり登りよりは早い。10時30分には分岐点まで戻ってきた。あとは急な場所もなく、沢沿いの道と林道を歩けばゴールだ。11時、駐車場着。車は7台ある。南木曽岳は大部分が周回コースなので、実際に何人か登っていることをここで初めて知った。

到着

 距離は短いが、それなりに負荷のかかる道で、しかも山頂の展望も良い。これは地元の人に愛される山に違いない。

 時間が早いので次の「恵那山」へはゆとりで移動できる。途中で阿智村(日本一の星空らしい)を通り、温泉に入り、花桃のピークにぶつかり、そこそこ楽しく遊びながら登山口に着いた。明日は久々の百名山だ。

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