4月9日に比叡山を下りて、次の目的地である蓬莱山に向かう。アプリ「Compass」でルートを見ると、琵琶湖からのルートが良さそうだ。距離も短いし琵琶湖を望みながらの登山も素敵だろう。早速「びわ湖バレイ」という観光施設の駐車場に下見に向かう。

 駐車場にはそこそこの人がいて、駐車場には登山帰りの人も見られる。その1人に声をかけ、登山口にまちがいことも確認した。しかし、入口のゲートには「開場は9時から」と書いてある。ちょっと遅いなあ。でも、裏側からの登山は距離もありそうだし、何より琵琶湖が見えた方が気持ちが良い筈だ。実際に自分よりも弱そうな年配のご婦人グループも下りてきているし、9時からのスタートで問題ないのだろう。

 4月10日朝、「道の駅  妹子の郷」を7時半に出発し、8時前には「びわ湖バレイ」のゲートに来た。ここで9時まで本を読んで過ごす。しかし、9時になってもゲートは開かず、他に待ってる人もいない。念の為「びわ湖バレイHP」で確認すると、「さくらの見頃が終わったので駐車場の無料開放を9日で終了します。春のシーズンスタートは15日からです。」なにいっ!昨日までだったのかっ!急いで反対側の登山口に移動したものの、時刻は10時に近づいている。無理して行けばきっと大丈夫なのだろうが、ここで無理をすると酷い目に遭いそうな予感しかなく、今日は登山を断念した。うーん、雲ひとつない良い天気だ。そして翌日から天気が崩れるという。

9時過ぎても開かないゲート(臨時オープンは昨日までだった)
雲ないよ山頂見えてるよ。(こんな日に登れず)

4月11日(登山当日)

 車中泊した葛川市民センター駐車場を5時出発。午前は快晴で午後から雲が出てくる予報なので、なるべく早く登ることにする。コースタイムはアプリで7時間50分だが、ここまではかからないだろう。(最近はこのアプリの8割くらいで登っている)

 はじめは薄暗い林道を上る。林道といっても入り口に鎖があって車は入れない。それに土砂崩れが激しく、とても車が通過できる状態でもない。あちこちから水が滲みでていて「これはかなり危険ではないのか」と思わせる道だ。これは別の意味で一番恐怖だった。

林道荒れてるんですけど
すごく荒れてるんですけど

 50分ほどで林道から細い登山道になる。ここからは沢沿いの道を進む。ここからがまた大変だ。沢から10mほどの高まきの道がほとんどなのだが、ただでさえ30センチくらいの狭い道が落ち葉で隠れていて滑る。全行程の半分が滑落しそうな道と言える状態で、かなり時間がかかった。どうやらこのコースは体力ではなく慎重さを要求されるので時間がかかるようだ。しかも途中何箇所か「ヘリによるレスキューポイント」もあったりする。渡渉は6箇所あったが、水につかることなく通過できた。でも、ちょっと厳しい場所もあったのでストックを使った方が安全だろう。

どこが道じゃ
水量も多いな
かなり不安定

 7時40分、突然小さな堰き止め池と小屋が出てきた。どこまで網羅しているかは知らないが「水源地」とある。それにしても山頂も近い筈なのにかなりの水量だ。水源にできる水質なら歩いてきた沢の水もそのまま飲めるのかもしれない。(推奨はしません)

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 ここからはスキー場のゲレンデを登ることになる。緑の斜面の一部に作られたコンクリートの道を歩く。もはや滑落の心配もなく速度を上げられる筈だが、かなりしんどい。きっとここまでで疲労がでているのだろう。8時すぎに打見山との分岐に到着。蓬莱山頂は霧で見えないが、ここからわずかに琵琶湖が見える。とりあえず「山頂付近から琵琶湖が見えた」ということで満足しよう。

意外に疲れるゲレンデ
山頂は強風で飛べそう

 最後はゲレンデをの草地を登って山頂に到着。風下側から登ってきたので気づかなかったが、山頂は凄まじい風で体が飛ばされそうだ。あまりの寒さに雨具を着用して山頂の写真だけ撮ってすぐに下山する。「山頂でコーヒーを飲みながら晴れ間を待とう」などという気持ちはブリザードのような強風に吹き飛ばされていった。ここに長居したら遭難する。(少し大袈裟です)

 再び打見山との鞍部に戻ると風は弱まった。というより風の弱い場所に避難したということだ。ここで温かいコーヒーを飲んで一息つく。このあたりには15日の開業に向けて準備をしている作業員もいるが、数人がリフトで山頂に登って行った。あの強風の中でテラスの床板設置をするのだろう。大変な作業だ。

 少し休んでから打見山の山頂にも行ってみる。いわゆる「映えるポイント」であるびわ湖テラスも今は開業前。ここでも数人の作業員が準備している中、テラスで写真だけ撮ってきた。風は強いが蓬莱山頂ほどでないのは、きっと蓬莱山の風下だからなのだろう。

打見山のテラス

 さて、時計はまだ9時を少し回ったところ。このまま比良山地を縦走し、武奈ヶ岳から下れば登山口に戻れる。少々悩むところだが尾根伝いの道は強風に晒されるだろうということと、やや水が足りないような気もして真っ直ぐ降りることにした。帰りも滑落しそうな沢沿いの高巻きをおそるおそる下り、後半は途中で拾った落とし物のライフジャケット(登る時に見つけていたが、下ったときもそのままだった)を手に、ますます不安定になりながら、それでもなんとか無事に林道に戻ってきた。12時40分下山。ほぼコースタイム通りの時間だった。

地味に恐怖の巻き道
魚影あり

 今回のコースは、かなり荒れているという印象がある。足がすくむような高度感があるわけではないが、地味だが滑落すれば骨折では済まない場所が多い。渡渉もそこそこ長身の自分がなんとか石を伝って(一部ジャンプして)渡れるくらいで、では川のなかにじゃぶじゃぶ入れば良いかというと、水量があってそれも大変そうだ。人によっては予想外に時間のかかるコースかもしれない。

 駐車場で、武奈ヶ岳から降りてきたという登山者に声をかけた。武奈ヶ岳の登山道はふつうの道なので問題ないとのこと。「蓬莱山のルート、けっこう大変でした」というと「そうでしょう、こっちは荒れてるから」という返事。そういえば下山中に会った3人組(唯一山で出会った登山者)に「山頂まで3時間半かかりました」と言ったら「そりゃすごいですね」とも言われた。蓬莱山はびわ湖バレイから登るのが正解だろう。

下山してから晴れる(いつものパターン)

 駐車場のすぐわきに駐在所があったが不在で、直通電話をしたら「今別の業務で出かけています。お待ちいただくと時間がかかりますが、よろしければ大津北署までお持ちいただけますか?」という返事。どうせそっちの方向に行くので了解し、大津北署に落とし物のライフジャケットを手渡した。昔は落とし物を届けるのにもいろんな手続きがあって時間がかかったものだが、「所有権」「謝礼」「相手からお礼の連絡を受ける」「相手に自分の連絡先を知らせる」「警察署からその後の処理の連絡を受ける」の全てを「不要」にすると、意外にあっさり終わった。警察者からの連絡は少々迷ったが、不要にすれば彼らの手間を省けるわけだからできるだけ協力すべきだろう。それにしても、昔は所有権が発生するまで6ヶ月だった筈だが、今は3ヶ月らしい。(調べたら、平成18年の民法改正で3ヶ月に短縮されていた)

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