恵那山は中央アルプスの南端にあるが、今回登る熊伏山は南アルプスに属する。山系が変われば当然山頂からの眺望も変わるわけで、そこそこ楽しみである。もっとも、違う山系といっても恵那山と熊伏山の距離はそれほどでもなく、恵那山下山後すぐに移動したらその日の夕方には登山口周辺まで来た。さて、道の駅はないかとスマホで検索すると、少し下った水窪という街にマークがある。今夜はそちらに泊まるとしよう。でも、実際にそこにあったのは「道の駅」ではなく「星の駅」という小さな施設と駐車場だった。駐車場自体は一泊できそうだがトイレがない。これなら登山口まで行っても同じだったなあと思いつつ再びスマホで「公衆トイレ」検索すると、100メートル先の消防団施設の前にあった。しかもウォシュレット式で有難い。(あまり美しい余談ではないが、ウォシュレットのないトイレで用を足した時に限ってペーパー大量消費系のパターンが多い。)駐車場にはもう1組、若い夫婦と思われる2人のワゴン車も泊まる気満々だったが、わざわざ「すみませーん、お気づきかもしれませんが、あっちにトイレありまーす。」と声をかけるのもどうかと思ってそのままにしておいた。きっと若者なら自分よりも効率よく情報収集している筈だ。

 4月23日、5時に起きて朝食、トイレ、お湯沸かしを行い登山口に移動する。そして6時に登山開始。熊伏山という山にもこの地域にも思い入れはないのだが、どうやらここは歴史のあるルートらしい。登山口から青崩峠までは塩の道という交易の重要な道だったようだ。いかにも歴史ある古道らしく、石が敷き詰められた道は風情がある。

駐車スペースはまずまず広い
登山口はこんな感じ(写真は下山時のもの)
なんだとぉ?
武田信玄も通った道か
峠まで来ました

 6時25分、青崩峠に到着。立派なベンチがあるが、登山口で「ヒルに注意」の看板を見てしまって腰掛けられない。立ったまま水を飲み、すぐに出発。塩の道はここから反対方向に下るが、自分は左に折れて山を登る。最初は痩せた尾根の階段を登る。途中で少し尾根を外れるが、ほtんどが崩壊した崖の縁を登っていく形で、しかもかなり急だ。木の根の間に穴があって、覗くと崖だったという場所もあった。ガイドブックには「初級 体力2 技術2」とあったが、高所恐怖症の自分にしたら「ビビリ度5」を加えて欲しいくらいだ。基本的に滑落の恐れはないようだが、1ヶ所だけ「下りでここでズルッといったら崖から飛び出すよなあ」と思える場所があった。(写真も撮ったが、後で見てもあの緊張感は伝わらないなあ)

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十分怖いです
ここまで来るとあとは大丈夫

 「青崩ノ頭」と呼ばれる崩落崖の上端まで登り切ると一息つける。ここからは安全な尾根道を登っていく。そしておよそ8時に前熊伏山に着いた。ここから熊伏山まではそれほど距離もなく、しかも標高差も40m程度。多少の登り下りはあるが苦痛にならない尾根を行く。そして15分後には山頂に着いた。それにしてもこの山、写真で見た姿は「クマが伏せている状態」で、どっしりとしている印象だったが、いざ登ってみると結構なやせ尾根で、「栄養不良のクマだなこりゃ」と思ってしまった。

後半は緩やかな尾根道
山頂

 パンとコーヒーで一休みして8時40分下山開始。登った道をそのまま引き返す。10時ちょうどに青崩峠、10時15分には駐車場に着いた。登りが2時間、下りが1時間半なので確かに初級かもしれないが、けっこう緊張した山であった。ちなみに、ヒルは見ていない。

 車を走らせてしばらくすると、水を汲んでいる人がいた。慌てて車を停めて聞いてみると、かなり有名な湧水とのこと。そろそろ水も無くなってきたから好都合だ。たくさん頂いて次の山に向かう。

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