ここに車を置くことに
明日、晴れてちょうだい

 4月30日、少々岩の露出した未舗装道を進み登山口に到着。しかし河原のすぐ手前に怖い場所があり、作次小屋まで100mほどバックして戻った。(幌尻岳の時のパンク以来、ダート恐怖症になっている。)小屋でコーヒーを注文して少し話を聞きながら過ごす。普通は河原まで行っちゃうけどうちの駐車場も有料だけど置けますよ、とうことで2日分1000円を払ってここで車中泊に決定。1000円かけるなら頑張って河原まで行けよとも思うが、ここで1000円をケチってパンクしたら出費と労力は数倍に膨れ上がる。無理はしないのだ。(繰り返すが、パンク恐怖症)

 5月1日、午前4時45分出発。前日に作次小屋の主人から頂いた食塩を靴下の中に入れ、その上から水で軽く湿らせていく。どうかヤマビルにロックオンされませんように。(ちなみに、屋久島でも鈴鹿山系でも一度も出会ってない)

 登山道は橋を渡るといきなり天神尾根という急斜面になる。この斜面を登りメインルートに合流するまでがヤマビル危険地帯であろう。ここでは絶対にザックを下さない、給水も石か何かの上に立って行うと決めている。(どこまで臆病なんでしょう自分)結局のところ給水は一度だけで、6時にはメインルートに合流した。

ヒル、出るなよ
足はこうやって防御体制(靴下の中には食塩)
6時、メインルートに合流 ほっ

 ここまでくれば登山道はかなり広いので、真ん中を歩けばなんとなく大丈夫に思える。でもリュックは極力下さずに進もう。道は時々木道が現れるが、ほとんどが緩やかな登り階段で登り返しという場所がない。体力が削られるという見方もあるが、せっかく獲得した高度が無駄にならないから嫌いじゃない。

 6時30分、花立山荘に到着。ここはちょっとした食堂と店もあるが、まだ早朝なので開いていない。少し休憩して先に進む。だらだらと登りは続くが急登はないので苦しいという感じではない。7時過ぎに塔ノ岳まで来た。ここから初めての小さな登り返しがある。その鞍部から富士山が顔を出したので写真を一枚。反対側からやってきた夫婦と「こういうのは撮れる時に写しておかないと隠れちゃいますからね」と笑い合ったが、結局その言葉の通りこの後富士山は見えなかった。

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まずまず良い天気
これが本日最初で最後の富士山
8時、丹沢山到着

 8時少し前に丹沢山に到着。ここが今日の目的地、の筈だった。おそらくこのまま下山したら10時半くらいだろうか。これはこれで良いのだが、この先には最高峰の蛭ヶ岳がある。山頂で休んでいた人に「蛭ヶ岳に行こうか迷ってますけど、どうでしょうかねぇ」と聞いてみる。道はやや険しくなるものの「8時に丹沢山頂にいて、このまま下山というのもねえ」という話になり、先に進むことにした。予定外の行動だが人も多い山域でもあるし問題はないだろう。

 8時10分に丹沢山を出発。ここから蛭ヶ岳までは2つの登り返しがあり、けっこう急な崖にような場所もある。全体としては木道と階段が整備されているものの、初心者の自分には少し難易度は上がる。それでも特にへたばることもなく蛭ヶ岳に着いた。時刻は9時40分。丹沢山から1時間半かかったことになる。山頂からは富士山もきれいに見えるという話だが、残念ながらこの時は雲に隠れて何も見えず。頂上の山荘ではカレーも出されるようだが10時半からとなっている。ちょっと残念な気もするが、これは縁がなかったと諦める。

こういうの苦手だぞ
無事着いたが視界はゼロ

 帰りもおおむね1時間半かかり丹沢山に戻る。今日は予定よりも頑張ったので、ご褒美に山荘でコーラを買って飲む。(コーラって何故か元気になるけど、麻薬入ってないだろうね)そして下山開始。途中、塔ノ岳で少し休んだくらいであとはまっすぐ下る。天神尾根では「足が攣りました」という若い人がびっこ引きながら下っていたが、「大丈夫です」というのでそのまま見捨てて急ぐ。特に門限があるわけではないが、ここだけは薄暗くていかにもヤマビルがいそうなのでつい足も早まる。

 午後2時、作次小屋に到着。終わってみれば9時間を超える行程になった。作次小屋のお兄さんに挨拶し、蛭ヶ岳まで行ってきたと話すと「かなり早いですね」と褒められた。(でも小屋のお兄さんが本気を出すと異次元の凄さに違いない)

 今回のメインルートは、塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳と、コンデションや時間に応じて目的地を選択できる柔軟性がある。しかも丹沢山までは険しい登りはない。さらにたくさんのルートがあるようで、どんな力量の人でもしっかり楽しめる山域だ。丹沢に惚れ込んでホームフィールドにする人の気持ちもわかるような気がする。(でも自分はいろんな所に行きたい派)

 小屋の話になるが、前日にこういう小屋は遭難救助などの依頼もあったりするでしょうけど、行政などから援助はあるのですか?」と聞いたら何もないとのこと。半分ボランティアみたいなもんですとも話していた。山登りを安全に快適にできるのも小屋の存在(宿泊休憩だけでなく登山道の管理整備等も含め)が大きい。自分にできるのは可能な範囲でそんな小屋にお金を落としていくことだろう。もちろん、山小屋の中には好立地に甘えて既得権益を享受するだけのところもあるという。そんな小屋は淘汰されてほしいのもでもある。

 「家に帰るまでが遠足です」の言葉ではないが、自分にとっては「未舗装道を脱出するまでが登山です」となる。作次小屋からの砂利道(時々岩)を無事抜けて、本日の行程全て終了。

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