山登りを始めた頃、雲取山は日帰りで行くことができない山だと思っていた。コースタイムが10時間を超えると苦しいなあと思っていた。ところが、最近は10時間くらいは歩けるようになり、おまけに時にはコースタイムの8割くらいで歩けるようになり、日帰りの選択肢は格段に広がった。(それでも初心者のソロなので、11時を過ぎたら先に進まないという個人ルールは維持しようと思う)

 前日、三頭山を降りて途中の温泉で汗を流し、小袖の駐車場に午後2時過ぎに到着。この駐車場は激混みという話だが、前日の午後に行って入れないということはない。午後になると早い登山者が車を移動させ、でも翌日の人はまだ来ない時間帯だ。今回もすんなりと駐車できた。

前日の午後なら大抵の駐車場は空いてる

 駐車場からはほんの100mくらい舗装道を進むと登山口がある。明日の下見というほどでもないが時間はたっぷりあるので行ってみる。早い人(含む山頂で泊まった人?)は次々を下山してくる。その中に、昨日に丹沢で一緒だったお兄さんを見つけた。彼は丹沢、雲取山と連続で登り、明日は甲武信岳に行くという。なんとも体力のある人だ。そしてこの選択肢はきっと「百名山やってますグループ」の一員だろう。

 ちなみに自分は「三百名山やってます」グループの一員であるが、「その8割の240をゴールにしています」という人間。設定がややこしいので同じゴール設定の人に会ったことがない。

 一夜明けて午前4時にアラームで起床し、食事と準備を済ませて5時少し前に出発。この時点で昨夕は半分も埋まっていなかった車は満車である。既に駐車禁止のロープやコーンを移動させて隙間に停めている車もある。個人的にあれをやる勇気もふてぶてしさも自分にはなく、できるならそういう車はレッカー移動されて費用も請求されれば良いと強く願う。満車だと諦めて別の遠い駐車場に移動する人の後にやって来て無理やり良い思いをする人間にはきっと天罰が下るだろう。いや、下れ!スマホ落としてディスプレィ割れろ。昼食のおにぎり落として砂だらけになれ。帰りにパンクしろ。楽しみにしてた食堂閉店してて悲しめ。でも周りが迷惑するから山では事故るな。

天罰が下りますように

 それはともかく登山スタート。登山道は狭いが緩やかで歩きやすい。それにこの時間帯だから前方から人が来ることもないのですいすい歩ける。1時間ほどで最初の水場に来た。まだ朝の涼しい時間帯で道も楽だからまだ給水していない。ここでボトルの水を多量に飲み、減った分を補充する。

水の量は少ないけど、きちんと出てます
こういう案内読みながら歩くの、好き

 その後も道は緩やかで歩き易い。途中に「平将門逃走ルート」という看板がいくつもあり、「逃げた将門がここであーしたこーした」という説明があって、きちんと読むと楽しい。

 6時半、富士見ターンという場所でその名の通り道はターンする。これは、まっすぐ尾根にとりつくのが大変だから一回スイッチバックして高度を稼ぐ場所だ。富士見ターンと呼ばれる理由は単純で。ターンしたらしっかり富士山が見えた。

富士見ターン
見えた

 6時47分、七ツ石山への分岐に出る。とりあえず往路は七ツ石小屋も見たいのでそちらを選択。多少上りは急になるが10分足らずで小屋に到着した。ここで小休止して小屋の値段表をチェック、なるほどこういうお値段なのね。まあ、山ですからこんなものでしょう。

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グリューワインて、ここドイツか?
七ツ石山に向かう

 七ツ石山までは小屋から30分くらいで着く。全体として急斜面がほとんどないコースの中で、ちょっとだけ苦しい場所と言えるのかな?(でも、そんなに大変ではない)一度山を下ると、あとはだらだらと登るだけ。道はきれいに整備されているし、左手に富士山を見ながらのハイキングは気持ちがいい。そう、まさにハイキングだ。コースが長いだけで、道そのものはハイキングだ。時間もまだ早いし体も元気。ここまで来れば急ぐ必要もないのでゆっくり歩く。それでも8時40分、山頂に辿り着いた。結局4時間かからずに山頂に来たことになる。自分の登山能力が少し向上したと感じる。もちろん「どんな山でもコースタイムの○割で登れる」とは思わない。平地での歩行速度が結構早い方の自分は、今日のような緩斜面のロングコースにフィットするというだけの話だ。

歩き易し
ちょっと急なところもある(けど、大したことない)
もうすぐ

 30分ほど持参したコーラやパンを味わいながら休憩し、下山開始。帰りは七ツ石山を経由せずに迂回コースを回る。こちらのコースはかなり狭く、すれ違うのも大変だしひょっとすると滑落の恐れもある。(高所恐怖症でビビリ屋の私の見解)自分としては唯一緊張した場所だった。

迂回路、怖い

 あとは特に問題もなく快調に足を進め、12時20分下山完了。山頂の休憩を引くと往復7時間で、当初の予想よりもかなり早く、自分が一番驚いている。

 雲取山では、裸足で登って来て周りから「うわー凄~い」と歓声の上がった年配の男性がいた。それから、なんとなくふら~ふら~という感じで大きく揺れながら登っていったお爺さんが印象に残っている。左卜全(古い!)のような雰囲気で、小さなナップザックを背負い黄色い野球帽を斜めにかぶり、私に「ごくろぉさまぁ~」と甲高い声で挨拶してくれた彼は、実は仙人ではなかったのかと思う。山にはいろんな人がいる。

 今回の遠征もいよいよ大詰めになった。時間も早いので途中の道の駅で風呂に入り、和名倉山の登山口に向かう。

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