7月の山行ツアー(といっても一人だが)は、東北の未踏の三百名山を巡りながら北上し、そのまま北海道に向かう。北海道の三百名山は2021年の夏、一気にに22座登り、残すところ4座になっている。その4つの山を今回登ってしまおうという作戦だ。先週は東北の太平洋側の山を中心に登ったので、今回は秋田経由で青森に向かい、フェリーで函館に上陸する。そのツアーの第1弾が和賀岳だ。(神室岳は家から近いので今回はパス)

 ガイドブックの写真を見ると、どうやらニッコウキスゲの大群落があるようだ。季節も丁度7月。まだ初旬だから少し早いことになっているが、最近の温暖化を考えると少し早めでもいいのかなと解釈して行ってみることにした。

 登山口は秋田側と岩手側にあるのだが、秋田側の方がコースタイムが短く、しかも途中の薬師岳にもニッコウキスゲの群落があるので秋田側をチョイス。それでもコースタイムは9時間半という長い行程になる。当然のように前日の夕方には登山口に到着して翌朝を待つ。若干天気が心配ではあるが、天気予報では早朝に雨のマークがあるだけであとは曇りである。てんくらも午後は良くなると言ってるのできっと大丈夫だろう。7月2日の3時過ぎに登山口に到着。車が数台あるが、今日の登山者だろう。避難小屋でトイレを借りたりしながらなんとなく過ごしていると、7~8人のグループが降りてきた。その後、なかなか現れない車の持ち主にヤキモキしながら早めの夕食を食べているうちに、すべての登山者が無事下山し、駐車場は一人ぼっちになった。(この表現を書くの、何十回めだろう。へへっ)

毎度お馴染みのひとりぼっち
今日は往復15キロ

 7月3日、午前5時30分出発。駐車場には他の車はなく、1人でスタートする。天気は曇り。深夜に降っていた雨も止んでいる。あとは雨になることはないだろう。(この判断に根拠がなかったことが後に判明する)

 林道を15分歩くと甘露水という水場に出る。ここで水分をしっかり取って、ここから登山道が始まる。そこそこの斜面なのだろうがジグザグに進むので比較的楽な道が続く。森の中なのでまだ薄暗い。

 6時45分、350m標高を稼ぎ滝倉に到着。ここにはかつて避難小屋があり、最後の水場があるはずだが、付近を行ったり来たりして探したがみつからない。うーむ、最初の水場で予備のボトルを満たしておくべきだった。(でも結局水は足りた)仕方がないのでそのまま進み、7時30分には倉方という稜線のとりつきに到着。ここからじゃまっすぐ薬師岳を目指すことになる。しばらくするとようやく森林限界を越え、眺望がよくなると思われる。(実際には霧で周りが見えないので、なんとも形容し難い。)

8:15 薬師岳

 8時15分、薬師岳に到着。霧で視界は悪く、しかも強風が吹き荒れている。ここから先に進むべきか判断がつかず30分ほど待機し、やや風が弱まったのでとりあえず進んでみることにした。結果はともかく「先に進もう」という判断は悪くなかったようで、少し下った先の薬師平にはニッコウキスゲの群生が見えた。時期はぴったりだったようだ。これで晴れてくれれば言うことはないのだが。

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雨でぐちょぐちょ

 薬師岳から先は急な斜面はなく、比較的すんなり小杉山まで来た。しかし、ここからが大変だった。斜面は楽なものだが藪漕ぎが続くのだ。腰くらいの藪の下は昨夜の雨でぐちゃぐちゃであり、時々躓きそうになる。カッパは着ているが、登山靴は完全に浸水して気持ちが悪い。藪は場所によっては胸の高さまで伸びていて登山道が判別できないほどだ。空は相変わらず真っ白で視界は100mくらいしか見えず、風もそこそこ吹いている。これは失敗したかなと思い始めたが山頂までの距離も残りわずかなのでとりあえず行ってみる。

 10時20分、和賀岳山頂に到着。結局最後まで霧は晴れず、強風で昼食を取るのも苦しいくらい。しかもパラパラと雨まで降ってきた。これが晴れていれば黄色い花の群落が美しいのだろうが、あたりは真っ白で全体の10分の1も見えてないようだ。コーヒーとパンを急いで流し込み、すぐに下山開始する。

 下りは和賀岳から薬師岳までずっと雨。薬師岳から下って樹林帯に入ったあたりから雨は止んだ。(いや、もしかしたら木が雨よけになっただけかもしれない。)

 13時45分、登山口到着。登山口には他に車はなく、どうやら今日は貸切だったようだ。車で移動し里で山を振り返ると、相変わらず山頂付近は厚い雲に覆われている。基本的に天気の悪い日は登らないことにしているのだが、今日みたいに予報そのものが外れることもあるよね。まあこれは仕方がない。無事下山したことを喜ぼう。

 今回、登山靴の浸水が致命的であることを痛感した。靴を水洗いすると、布地(ゴアテックス)を通して水が染みてくる。8年も使ったしそろそろ限界であろう。というわけで、下山した美郷町にあるモンベルですぐに新調。既に同じ品物はなく、後継品を求めた。遠征の途中で靴を替えるというのも勇気がいるが、明日から少しずつ慣らしていこう。

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