摩耶山と言えばどこを思い浮かべるだろうか。どうやら六甲山地にも摩耶山があり、こちらはロープウエイもある観光地らしい。でも、今回登るのは山形県鶴岡市にある摩耶山である。きっと神戸に比べると知名度は低いのだろうけど、こちらは日本三百名山のひとつ。山の愛好家によってはこちらの方が有名に違いない。

 6月7日、山形市の自宅を朝出発し、登山口に向かう。実は今日登る気はなく、登山口の様子を下見したら道の駅あたりで車中泊しちゃおうと思っていた。だから特別早く出発したわけではない。

 10時少し前、越沢口駐車場に到着。天気は良い。今から登っちゃおうか。コースタイム6時間弱なので、4時前には戻ってこれるだろう。いや待て、「11時を過ぎたら先に進まない」という自分ルールを破るのか?こういう時に限って何かが起こるのではないのか?しかも駐車場に車はなく、他の登山者はいないようだ。誰か今から来ないかなとしばらく待ってみたがその気配はない。かなり迷ったが、とりあえず行けるところまで行ってみよう。何なら引き返して明日の早朝また来ればいい。そう思って念の為買っておいたパンをリュックに押し込んで10時半にスタート。

 最初は沢沿いの道を歩くので傾斜は緩い。水のそばなので空気も冷たく気持ちがいい。所々に雪(ほとんど落ち葉に埋もれてる)も残っている。人がいない登山道でしかも水の音が邪魔をして熊がいても発見が遅れるだろう。ここは慎重に様子を伺いながら進もう。

最初は沢沿いの道
初心者用迂回コースをチョイス

 11時、分岐点に到着。当初はまっすぐ登るつもりだったが、「ベテランコース」と書いてある。ベテランの基準が曖昧だがここは無理をせず左の「初心者コース」を行くことにする。時間は少し余計にかかるが仕方がない。こちらのコースは崖があるわけでもなく、森林の中の路を少しずつ高度を上げていく。既に11時を過ぎたわけだが、どう考えても日暮れまでに戻れないという事態は考えにくいので、このまま登ってしまおうとこのあたりで決意。

11:40 関川コースに合流

 11時40分、関川登山口からのルートに合流。これなら最初から関川口(越沢口より250m高い)を選べば良かったかなと少し後悔する。ここからは尾根伝いの比較的緩やかな道が少し続き、避難小屋に出る。このあたりでようやく山頂が見えてきた。思ったより高くて遠いなあ。でもコースタイムより少し早く来てるし、あと1時間で行けるはず。

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非難小屋
ちょっとだけ急なところあります
ぜひ煩悩の方もよろしく なむなむ

 12時少し過ぎて八合目。ここから1番の難所「鼻くくり坂」を登る。正確には「西側1番の難所」とあるので、東側の上級コースにはもっと凄いところがあるのだろう。(でも、基本的に普通に登って頂上に着けばそれで幸せな登山者なので、敢えて辛い場所を選ぶ理由がない。)途中の六地蔵の今日の安全と煩悩成就のお祈りをして先に進むと小さな社があり、そしてすぐに山頂に出た。時計は12時25分。結局2時間弱で登ってきた。登山を始めた当初はコースタイム通りに歩いていたが、最近は8割程度の時間が標準になってきている。この歳で体力がついてきた自分がちょっとだけ誇らしい。もちろんこれは個人内評価であり、自分より高齢のすごい人を今までたくさん見てきたから「すごいだろ」と自慢するほどのものではない。

 山頂の東側はかなり切り立っていて、こちら側から登らなくて良かったと安堵する。天気も良く順調に登れたので、結果的に思い切って登って正解だった。(でも、これをデフォルトにするのは控えよう)

 30分ほど山頂で休憩して下山。せっかくだから越沢口にまっすぐ降りる道をとも思ったが、山頂から先の道もちょっと怖く見えて、上級コースを下ることになるのかと考えたら嫌な予感がしてやめた。掟を破り11時を過ぎても先に進んだのだから、これ以上の冒険は控えて確実に下るとしよう。

 下りの途中で風が強くなり、森の木々が音を立てて揺れた。山頂でこの強風なら怖かっただろうなと思うと、幸運だったようだ。14時30分、登山口に到着。やはり車は自分の一台だけで、今日も終日貸切りだった。

 さて、このまま山形の家に帰宅しても良いのだが、せっかく車中泊するつもりで来たので、海沿いの道の駅で寝ていく。

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