山形には百名山が6つある。純粋に県の山は月山ただひとつだが、県境に飯豊、吾妻、大朝日、蔵王、そして鳥海と、山形県をぐるりと名峰が取り囲んでいる。その陰にかくれて目立たないが、二百、三百名山まで広げてみるとさらに多くの山がある。他県に遠征しなくてもそこそこ楽しめてしまう県と言える。

 今日は祝瓶山。山形市の家から車で向かう。長井側と小国側のどちらのコースでも大差はないが、長井側の登山道が通行止めという情報があり小国側から登ることにする。(2024年の時点で改善している模様)

 午前5時に家を出発し、登山口に着いたのが7時少し前。まだ車は一台もない。これが百名山なら県外ナンバーが前夜から車中泊していたりするのだが、ここはひっそりとしたものだ。百名山の神通力恐るべしといったところか。

登山口到着(7時少し前)

 すぐに登山靴に履き替えて出発すると最初の難所がすぐに現れた。吊り橋だ。高所恐怖のある自分にとって吊り橋はキツい。しかもこれは観光客向けではなく、「関係者がとりあえず川に浸からず渡れればよい」と割り切った板一枚だけの構造体である。しかも捻れるように揺れる。これでもう少し高い位置だったら自分は山を諦めて引き返しただろう。慎重に吊り橋を渡ると、しばらくは川沿いの平坦地を進む。7時15分、祝瓶登山道の分岐が現れた。ここをまっすぐ進めば遠く大朝日岳まで8時弱のルート。でも今日は右に進路を取り尾根を進む。鈴振尾根という可愛い名前だがコースタイム4時間、左町まで上りっぱなしになる。鈴振の名の由来は知らないが、とりあえず鈴を振ってクマに知らせろと解釈して時々チリンチリン鳴らしてやる。

ここ一番怖い
15分ほどで分岐に出る

 この山は「東北のマッターホルン」などと呼ばれいて、遠くから見ると美しい三角形の山である。この形の山は登り返しがなく一気に高度を稼げるから効率が良い。でも効率が良いということは単位時間の運動量が大きいことを意味する。実際かなりの急斜面で、しかも尾根だからジグザグに刻んで登りやすくするといった配慮もない。高い山ではないし危険も少ないが、キツい山だ。

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どんどん登る
山頂はまだ先
9時半 一の塔 残り1時間
もう少し

 1時間に1度はしっかり休憩と給水を取りながら、9時半にようやく森を抜けて一の塔まできた。ここからは山頂がよく見える。ここまでくると疲れも出てくるが、今日は天気が良いので気持ちがいい。最後の登りを一気に進み、10時30分山頂到着。コースタイムより30分くらい早いくらい。

 山頂からはすぐそこに朝日の山々、振り返ると遠くに飯豊の山々がそれぞれ屏風のように連なっている。若干空気が霞んでいるのがちょっと残念だ。きっと8時くらいに登頂するように登ってくれば、さらに美しかったに違いない。

山頂からの朝日の山々

 30分ほど山頂でゆっくり過ごして下山開始。下りはちょうど2時間かかり、午後1時に駐車場に戻った。疲れる山ではあったが山頂からの眺めは抜群で、良い山だった。今回の1番の難所は、結局登山口そばの吊り橋。

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