2016年12月29日(木)

 山小屋生活も3泊もすれば、体が自然に慣れてきます。朝のお茶にもびっくりしなくなりました。給仕係のスネイクが作る紅茶は相変わらず甘く、血糖値が一気に上昇しそう。その甘さにはっきりと目が覚め、次に運ばれる「マジモト(お湯)」で顔を洗う。3泊したということは3日風呂に入っていないということだけど、不思議と臭くないものです。(そう感じてるのが自分だけでないことを祈る)
 朝の血中酸素は83まで上昇しています。多少は高度順応できたと前向きに考えることにします。多くのメンバーも似たような数値で、お互いに「大丈夫だよね。がんばろうね。」と声を掛け合います。一人、ここにきてもなお95を叩き出すお姉さまがいらっしゃいまして、どうやら彼女だけ違う生き物のようです。「あれえ、95だ。」とさらっと言ってのける彼女がどんな人生を歩んできたのか気になるところですが、出会ってまだ6日の女性に根掘り葉掘り聞くと警戒されそうなのでやめます。
 朝食は「おかゆ」と「パン」が中心の偉大なるワンパターンメニュー。特に文句も感動もありません。燃料補給です。でも、まずまずおいしいです。

 本日のコースは「ホロンボハット(3720m)」から「キボハット(4720m)」まで、約1000m高度を上げます。高度順応したといっても既に富士山頂と同じ高度。あまり頑張るとすぐ息が上がるので、とにかくゆっくり、小股で進みます。添乗員さんも「急がないで、ゆっくり。」と声をかけてくれます。
 スタートしてすぐに緩やかな登りがあり、4000mまで高度が上がります。そこからやや下ると、ほとんど傾斜を感じないくらいの平坦な道が続きます。ここからの風景はパンフレットで何度も見るお馴染みの場所ですが、今日は残念ながら曇り空で、山頂のあるキボ峰は全く見えません。おまけに小雨も降ってきてコンデションはあまりよくありません。

最初の丘を越えれば、しばらく平坦地。
キボ峰が・・・雲で見えない。
例によってタッパーのランチ。

 「ラストウォーターポイント」という場所で最初の休憩。その名の通りここが最後の水汲み場所ですが、見れば水の量はあまり多くなく、今はひとつ手前の水場で最後の給水を行うのだそうです。もしかしたら、これも山頂の氷河の消失と関連があるのでしょうか。
 それにしても、ポーターの皆さんは大変です。我々お客のために飲み水や調理用の水だけでなく、朝の洗顔用のお湯まで準備するのですから。正直いうと山なのですから、洗顔の水までは無くても良いかと思ってしまいます。

15キロを頭に載せて抜いていくポーターたち。

 今日は、歩いている途中に指先が少し痺れてきて、「いよいよ高山病の症状が出たのか。」とビビります。でも、しばらくしてハッと気づきました。これはダイアモックスの副作用?です。「指先がチリチリする。」というのは、このことだったのですね。つまりダイアモックスが体に効いてるということですね。集団はゆっくりながらも順調に進み、小雨の中でランチを食べ、2時過ぎには「キボハット(4703m)」に到着しました。さすがに息は少し苦しいのですが、高度順応とダイアモックスの効果で、まずまず元気です。

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キボ峰の麓に小屋が見えてきた。

 キボハットに到着したものの、山頂に行ったパーティーがまだ戻っていないということで部屋には入れず、しばらく近所の探検や看板の前で記念撮影をしたりして過ごします。
キボハットのシステムは
1 ベッドに不要な荷物を置いて、夜中に山頂へ出発
2 山頂から戻り、ベッドで少し休んでからホロンボハットに降りる
3 次の客が部屋に入る
という流れになります。

明日は山頂まで6キロ、6時間か・・・。
あっ、山頂部が少し見えた。(ほんとの頂上は見えてません。)
外のトイレはとてもシンプルです。

 しばらくして、無事部屋に入ることができました。今日は10人部屋で、男性は全員同室です。すぐに明日の準備を開始。ところが、準備がなかなか進みません。登山前に添乗員さんから「空気が薄くなると頭が働かなくなり、ものの名前が出てこなかったり、荷物がいつまでもまとめられなかったりします。」と言われた通りになってます。
「うおー、荷物まとめられなーい!」と叫んだら、「俺もだ。」という声があちこちから聞こえました。笑えます。

いくら頑張っても片付けられない人々。

 今日は少し早めの夕食。いつものように血中酸素を測ると75まで下がっています。こりゃやばいと、一旦深呼吸をして再度計測。なんとか82まで上がったので、これを記録して出しました。ちなみに、血中酸素を上げる呼吸は、口をすぼめて息をピューと強く出すことだそうです。しっかり息を出さないと新しい空気が入っていかないのだそうです。

 明日は夜の11時には起床なので、とにかく早く寝ます。(明日というより、今日の夜ですね。)寝る前に外のトイレに行って大きいのを出して軽量化を図りました。キボハットのトイレは小屋から50mくらい歩かなければならないので、夜中に起きるのは嫌ですからね。

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