現在、コロナウイルスによる自主的自粛措置継続中で、あまり遠くにお出かけできません。この期間を利用して、過去に行った世界遺産について書いてみようと思います。この旅は、かつてドイツに勤務していた2004年6月に行ったものです。

世界遺産の街ゴスラー 2004,6,10

 ゴスラー、ヴェロニゲローデ、グヴェトリンブルグは、ハルツ山地の麓の町です。ゴスラーは西ドイツ、ヴェロニゲローデとグヴェトリンブルグは旧東ドイツ領。これらの町を2泊3日で回ります。

 6月10日、8時出発。いつもより遅いスタートなのは父が前の日に「飲み会」で夜遅かったから。いつもと同じに炊き込みご飯のおにぎりを作ってスタート。家を出たところで、いつも遊びに来る猫がねずみを取っているのを見た娘2は、少しショックを受けています。「猫はねずみを取るものだよ。」となぐさめながら、まずは300キロ離れたゴスラーに向かいます。高速を北に進み、朝食は車の中でサンドイッチをほおばりながら、11時半にゴスラー到着。ちょっと道を間違えたけれど何とか無事にランメルスベルク鉱山跡に着きました。

ランメルスベルク鉱山(世界遺産)

 銀や銅が取れたという鉱山は、今はもう操業していません。1000年の歴史をもつ鉱山は世界遺産に登録され、大切に保存されています。この鉱山には4つの案内コースがあるけれど、選んだのはトロッコ列車で行くコース。でも、実際に乗ったトロッコは、外が何も見えない作業員用のものでした。(ちょっと残念)窓のない小さなトロッコに6人で乗り込み(2人はドイツ人夫婦)、地下深いところで説明を聞きます。子供会?の集団と一緒だったので、案内のおじさんもサービス満点で機械を動かします。(大音量でグワングワン動かしてもらった。)もちろん言葉はわからないけれど、まずまず楽しめるツアーでした。外の見えないトロッコも、よく考えてみれば鉱夫の雰囲気が出ていて良い体験といえましょう。博物館の方は、鉱石を砕いたり、金属を取り出す機械が残っていました。よくわからない機械だけど、その大きさから、当時の繁栄が伺えます。とにかく規模が大きな鉱山でした。

鉱山前で記念撮影。
こちらも鉱山の作業所。
子ども会と一緒に説明を聞きます。
これに乗って鉱山内へ。

歴史都市ゴスラー(世界遺産その2)

 ゴスラーの町ではまず城を見学。ハインリッヒ3世が作った城です。城としてはそれほど大きくはないけれど、2階にあったとても大きな壁画は見事でした。残念ながら日本語の説明はなく、英語の文章とにらめっこしながら絵を見ます。(かなりの重労働です。)

城は、割と地味な外観。
内部は豪華。

 城を出て、しばらく町を散策。さっそくおみやげ物屋で魔女の人形を買い、マルクト広場へ。そこでは野外コンサートをやっていて、身動きがとれないほどすごい人です。コンサートそのものには興味がなく、おまけに見えないので、そそくさとマルクト広場を後にして帰りました。帰りに、「おなかがすいた。」という声で「カルトッフェルハウス」というじゃがいも料理屋さんで食事。あまりお客がいなかったのは、まだ早かったからでしょうか。それともそれなりの店だからでしょうか。いずれにしても、料理はまずまずでした。

魔女あり〼。
何かやってる。4チャンネルで中継してる。
ドイツの市庁舎は、どこも美しい。

今日の泊まりはゴスラーのユースホステル。木組みの立派な建物で、部屋も今までのユースの中でもベスト1と言えるすばらしさです。(6時に到着したのに、受付が7時半まで閉まっていたのにはちょっと閉口。でも、ユースではよくあることです。)それに、ユースは遊び道具もあるからいいですね。たくさんの子ども会?集団とは部屋も離れていて静かです。今日は特に父が寝不足なので、ゆっくりします。10時前には就寝、7時までしっかり眠りました。

ゴスラーのユースホステル。
ユースの部屋はとってもきれい。

ブロッケン山に登る 2004,6,11

 6月11日、朝7時に起床。ユースの部屋は静かで快適でした。みんなぐっすり眠って元気いっぱい!すぐに荷物をまとめて車へ。そして朝食。ドイツの宿泊施設は、ユースホステルでもホテルでもそんなに変わりはありません。パンにハム、チーズという簡単な食事です。(これにジュースやヨーグルト、ゆで卵、野菜が少々つくころもある。)

 車はゴスラーのとなりにあるヴェロニゲローデへ。駅前の駐車場に車を停めると、ブロッケン山へ登る汽車に乗ります。幸運にも時間はぴったり。すぐに切符を買って乗りこみました。日本ではめずらしい蒸気機関車ですが、ここハルツ地方ではまだまだ現役です。懐かしい汽笛の音を響かせ、汽車は進みます。(懐かしいと感じるのは、父と母だけ。)車両と車両の間のデッキは昔ながらの柵だけ状態。今の日本なら「危険だ!落ちたら誰が責任取るんだ!」の一言で、すでに引退でしょう。(このデッキがまた気持ちいいんです。)ゆっくりゆっくり走ること1時間半。ようやく着いたブロッケン山はやはり霧でした。

汽車、うれしい。
進めーっ!
デッキに出られます。
ブロッケン山頂は、霧でした。

 ブロッケン山は1年の3分の2以上が霧という魔の山です。古くは、魔女や鬼たちが4月30日の夜に集まり踊る という伝説があります。(同じ伝説の場所が、この地方には数箇所あるらしい。)霧の中に自分の影が映る「ブロッケン現象」の名前の由来でもあります。また、東西ドイツ時代は、ソビエトの通信施設が建てられた要所でもありました。今は麓の町から汽車も出ていて、有名な観光地のひとつです。
 風も強く寒いので、まずは博物館に入って風をしのぎ、見学。そして食堂で昼ごはん。焼いた鶏とマカロニです。となりの席の酔っ払いじいさん達とちょっとだけ会話して、全部残さず食べました。(それにしても、年寄りばかりなのはなぜだろう。)山の頂上付近をぶらぶら歩くと、下山の汽車の時間です。1時ちょうど、汽車はまたヴェロニゲローデに向かって走り出しました。

スポンサードリンク
シュロスバーン。

 ヴェロニゲローデの町も、木組みの家が残る歴史の町です。とんがり屋根の市庁舎が有名です。また、特徴ある木組みの家が観光名所となっています。(でも、旧東ドイツだったこともあり、壊れた家も目立ちました。)まずはシュロスバーンという汽車の形をしたバス?で山の上の城に登りました。城の中をひと回り、そして中庭にカフェでコーヒーを飲みながら休憩。貴族になった気分です。城からの眺めも最高でした。
 5時すぎ、城を出てまたシュロスバーンに乗り、再び町へ。町をぶらぶらしてヴェロニゲローデを後にしました。

ここの市庁舎も、かっこいいな。
おーい、傾いてるぞー。
なんか、苦しそうな家だな。
相変わらず、街は美しい。

 今日の宿泊は、ブランケンブルグという町にあるホテル。観光地として有名な町は値段も高いので、あまり知られていないこの町に宿をとりました。着いてみると立派な建物であるものの、外装はややくたびれています。駐車場も、廃墟の裏側みたいな感じ。でも、ロビーはとてもきれいで、おまけに部屋も広く清潔で、すばらしいところでした。きれいな部屋から外を見ると、もはや人が住んでいない廃墟が見えます。フランクフルト周辺ではあまり見られない光景です。「東ドイツだねえ・・・」と思わず口にでてしまいます。もちろん、この感覚が正しいのかどうかは、まだわかりません。

 今日も、早々と寝ます。最近は日没が午後10時。日が出ているうちに眠るのにも慣れました。我が家にとって、サマータイム(時間を1時間早めること)はあまり意味をなさないようです。

クヴェトリンブルク  2004,6,12

 6月12日、ブランケンブルクのホテルで優雅な朝食。(でも、メニューはユースと変わらず。)すぐに出発。目的はクヴェトリンブルクです。30分ほどで到着し、すぐに町に出ます。

クヴェトリンブルク旧市街(世界遺産その3)

 クヴェトリンブルクの町は、街並みが中世以来ほとんど何も変わっていないそうで、世界遺産になっています。木組みの家が美しい町です。ドイツの町はどこでもそうですが、マルクト広場(市場の広場)が町の中心にあり、広場に面して市庁舎が建っています。市庁舎といえばいわゆる役場なのですが、どの町も古い建物をそのまま使っています。古いものを大切にするドイツ人気質がうかがえます。クヴェトリンブルクの市庁舎はそれほど奇抜な形ではないものの、緑の蔦がすばらしく、それだけでも歴史を感じさせます。また、広場周辺や城の近くにも、歴史的な家がたくさん建っています。同僚のOさんが「クヴェトリンブルクの町は、いいですよ。」と言っていたのがわかります。風情のある町です。(車にカサを持ってきたのに、歩いてる途中で雨が降り、また買うはめになっちまった。)1時間ほどぶらぶらして、トイレに行って、城に向かいました。(ドイツのトイレはほとんど有料です。でも、管理人がお金を取ってそれで清潔に保っているので、なかなか良いシステムです。管理人がいない公衆トイレもあるけれど、ほとんどがすごい状態なので、あえて有料のトイレに入ることが多いです。料金は20から30セントくらいが相場。)

市庁舎、シックでいいじゃん。
街は若干落ち着いてる。
うん、雰囲気よし。

聖セルヴァティウス教会 (世界遺産その4)

 城は、ハインリッヒ1世が建てた後、修道院になっていたものです。10時の開場に合わせて到着し、まずは教会の見学。「ガイドツアーには入るか?」「ナイン、ダンケ(いいえけっこうです。ありがとう)」日本語の説明を貸してもらってひと回り。シンプルな作りです。次に博物館。「中世の洋服を着て城の中を歩くツアーはどうですか?」「うーんどうしよう・・」「説明はドイツ語ですが・・」「ナイン、ダンケ」次の見学地の時間が気になるので、10分足らずでひと回りし、博物館を出ました。きっと受付のおねえさんは、「こんな短時間でいったい何見てきたんだ。日本人はわからない・・」と思ったことでしょう。(ここまで早く出てくるのも、ちょっと恥ずかしいものです。)

さっさと見て、すぐに退散。

 なぜ城を早く出たかったかというと、11時にターレという町の野外ホールで「ラプンツェル」の劇をやるからです。ターレの町には岩山があり、そこに魔女が集まって踊ったという広場もあります。そこそこの観光地になっているところです。クヴェトリンブルクを出発し、30分車を走らせ、何とか10分遅れで劇場に到着。すぐに券を買って入りました。劇場は、ローマ時代の円形劇場のようになっていて、舞台の後ろにはドイツの平原が広がっています。すばらしい眺めです。(夜はモーツァルトの「魔笛」をやる予定でした。でも、今日は家に帰るので残念ながらパス。)「ラプンツェル」の劇は、オリジナルの話をかなり脚色して現代風にアレンジしています。子供用の劇なので、娘たちも大丈夫でした。山の上にある劇場なので天気が変わりやすく、途中暗雲が立ち、雷が鳴りましたが、劇は無事最後までやり通しました。劇が終わるとタイミングよく雨。カフェであたたかい飲み物と簡単な食事をして、ひと休み。ソーセージとグラタンは、普通の味ですが、値段も安かったので満足です。
 雨があがり、バルプルギスホールという博物館へ行ってみました。名前からして、魔女のお祭りの展示があるはずです。なんとなく建物の雰囲気から「入っても、きっと大したことないよね。」と話しながらも、入らなければ本当に大したことないことも確認できないので、6ユーロ払って入りました。中は、こちらの予想をはるかに超えた「すごく大したことない」展示でした。これくらい大したことないと、あっぱれです。もちろん受付のおばちゃんを責めたりしないで、笑顔で「ダンケシェーン!」とあいさつして出ました。所要時間は3分というところでしょうか。過密スケジュールで動き回る日本人観光ツアー向きとも言えるでしょう。

ラプンツェルの劇。

 車で頂上まで来ちゃったけど、ここは山の上。ゴンドラが運行しています。岩山を登り降りするゴンドラに乗らない手はありません。往復券を買って山を降りました。ゴンドラは、かなりの高さです。古いものを大切にするドイツ人ですが、このゴンドラだけは新しいことを祈りました。下でちょっとだけ遊園地の乗り物に乗って、また上がってきました。登りは、下りよりも怖い感じがしました。おまけに途中一回止まって、ゴンドラはグーラグラ。手に汗握る体験です。

 無事ゴンドラの試練を乗り越え、いよいよ家に帰る時間です。その前に最後のイベント。それは「スライダー」。最初はターレに来ることなど考えてもいなかったのが、途中で手に入れたパンフレットで「山を降りるスライダーがある」ことを娘2が見つけ、併せて野外劇がちょうどやってることを確認し、それで来てみることにしたのでした。天気も回復し、スライダーは動いています。1回1.5ユーロ払い、娘たちは2度乗りました。帰りの車の中で、娘2曰く「パパ、日本に帰ったら蔵王でスライダーしようね。」彼女にとってドイツとはいったい何なのでしょう。

スリルがあったゴンドラ。
結局、こういうのが好きなのね。

 ターレを出発したのは午後3時。ハルツ山地の町を転々としながら帰ります。途中けしの花畑を見たり、湖のそばを通ったり(でも子供は知らない・・)、美しい景色を見ながら4時半にはゲッティンゲンへ到着。ここからは高速道路。無事フランクフルトに到着したのは午後7時でした。もちろんまだ日は高く、明るいうちの到着です。

 今回の見学は、トロッコ、汽車、シュロスバーン、ゴンドラ、そしてスライダーと、いろいろな乗り物に乗りました。娘2が「今回はおもしろかったねー。」というのも、この辺が原因のようです。

スポンサードリンク