現在、コロナウイルスによる自主的自粛措置継続中で、あまり遠くにお出かけできません。この期間を利用して、過去に行った世界遺産について書いてみようと思います。この旅は、かつてドイツに勤務していた2003年10月に行ったものです。

初日 ヘッセのふるさとを巡る 2003,10,25

 10月25日、秋休みのスタートと同時に、3泊4日の旅に出ました。前半のテーマは「ヘッセのふるさとをたずねて」です。外国の作家としては日本でも知らない人がいない「ヘルマン=ヘッセ」は、ドイツの生まれです。フランクフルトから南へ南へ、目指すはヘッセの生まれた町「カルフ」。でも、その前に、ヘッセも一時学んでいたという「マウルブロン修道院」に寄りました。

マウルブロン修道院(世界遺産1)

 マウルブロン修道院は、ヘッセの「知と愛」の舞台になったところ。中世の修道院としては最もよく保存されており、今でも全寮制神学校として使われています。中には、小説そのままの中庭や、きれいな噴泉があります。ヘッセはこの中庭で何を思ったのでしょうか。ちょっと感動です。ここはあまり日本人の観光スポットにはなっていないようで、他の観光客はほとんどドイツ人(のよう)でした。もちろん日本語の解説書もありませんでした。でも、広場の雰囲気も中世そのままで、とてもいい雰囲気。木枯らしが吹き、ちょっと寒かったけれど、まずは上々のスタートです。

マウルブロン修道院遠景。
ヘッセもここで学んだのね。
ヘッセ好きの父舞い上がる。

 マウルブロンの町を出ると、一路カルフへ向かいます。あまり車がきたないので、途中で洗車機にかけて(初めてなので、ちょっと緊張)、途中ひと休みしておにぎり(家から持参)を食べ、いよいよカルフの町に到着しました。この町は、ヘッセの自伝的小説「車輪の下」の舞台になったところでもあります。小説に出てくる風景がそこにありました。(でも、ちょっと残念なのは、町がずいぶん近代化していたこと。)ヘッセ博物館もしっかり見てきました。

こちら、「車輪の下」の舞台。
ヘッセ像の前で記念撮影。

 カルフを出て、次の目的地はチュービンゲン。ここは、大学の町と言えるところです。ヘッセがアルバイトしていた書店が教会広場の前にあります。(でも、行ってみると、その店は改装中みたいで閉まっており、店のショーウインドウにヘッセの写真だけ貼ってありました。)チュービンゲンでは、このほかにヘルダーリンの塔(詩人ヘルダーリンが下宿していたところ)を見て、ユースホステルに行きました。

 チュービンゲンのユースホステルは、なんと部屋にシャワートイレ付き。こんなところはじめて!!!ちょっと得した気分。夕食はもちろん部屋で簡単にすませました。(相変わらず、お金をかけない節約旅行。)部屋は、ネッカー川に面していてなかなかいい感じ。おまけに地下にはサッカーゲームがあり、がんがん遊びました。サッカーゲームは、ドイツのどのユースにも一台は置いてあり、我が家のミニブームになっています。

チュービンゲンのユース、いいじゃん!

2日目 ライヒェナウ

 チュービンゲンのユースを出発し、目指すはドイツでも有数の美しい城、ホーエンツォレルン城。車は快調に進み、1時間足らずで城が見えてきました。

 城は山の上にあり、駐車場からバスに乗って入り口まで移動。そして城の中に入ります。中の部屋はガイドツアー(娘2はこの言葉がきらいです。)で回りました。中の床を守るため、靴の上から大きなスリッパを履いてずるずると歩くのは、ちょっと大変で笑えます。名門ホーエンツォレルン家の直系の子孫が今でも住んでいる城は、とても立派でした。

昨日洗車したから、ピカピカの愛車。
ホーエンツォレルン 城。ノイシュバンシュタイン城よりかっこいいと思う。

ライヒェナウ島(世界遺産その2)

 城を後にし、記念の絵はがきを買って、今日の宿泊地、コンスタンツに向かいました。途中の大きなドライブインで昼食。そして、中世の修道院がたくさん残っている「ライヒェナウ島」に行きました。ライヒェナウ島は、ボーデン湖の中にある島で、細い砂州を通って車で入れます。大きな観光地ではないものの、ここも世界遺産に登録されている貴重な場所なのです。遠くにはスイスの山並みも見えて、ゆっくりのんびりできる場所です。

 最初に行った「セントゲオルグ教会」では、ちょうど、生まれたばかりの赤ちゃんに洗礼を受けさせる親族がいました。中は1100年前の壁画が残されており、現在修復作業中でした。次に行ったのが山の上の小さな小屋。地図には色付きでのっているものの、いったい何なのかよく分かりません。さらに修道院、そして島一番の聖堂を回りました。車を止めて修道院への道を歩くとき、町の人になったみたいな懐かしい感じがしました。日本語のガイドブックなどもなく、実を言うとよくわからなかった島でしたが、もう一度行ってもいいと思えたところです。
 ドイツ人の観光客もたくさん来ていましたが、彼らは一日かけてゆっくり歩いて回るみたいです。旅に対する考えが違うようです。

砂州にできた道を進み、ライヒェナウ島へ。
見学より、外遊びが好き!

 ライヒェナウ島を出ると、いよいよ車はコンスタンツへ。次の日は車ごとフェリーに乗るので、その下見をしてからユースホステルに到着しました。コンスタンツのユースホステルは、びっくり仰天のすばらしさ!部屋はきれい!シャワートイレもついている!建物も新しく、食事もおいしい!言うことなしのユースです。ユースホステルでは、ボールを借りて外でサッカーをやり、はじめて夕食をユースの食堂で食べて、ゆっくり眠りました。

スポンサードリンク
コンスタンツのユースホステル。給水塔も部屋に改装されている。
コンスタンツ、ユースホステルの夕食。

3日目 コンスタンツの街

 コンスタンツ。ユースの食堂。朝食中、突然となりのテーブルから日本語の単語がきこえた。ぎょっとして振り向く我が家。昔、日本に行ったことがあるというドイツ人の旅行者がいたのでした。ドイツ人のフランツ&ハイケとしばし話をして、さあ出発です。(ドイツ語英語を駆使した会話で、父は既にくたくた。)スイスとの国境沿いにあるコンスタンツは、他のドイツの町と雰囲気が違います。あと数百メートルで違う国かと思うと、ちょっと行ってみたい気持ちになります。でも、今はがまんがまん。それは、「赴任一年目はドイツ国内から出ない。」という意味がわからない職場ルールがあるからです。(その後、このルールはなくなりました。)

水族館到着。
クイズカード持って、頑張ってます。
コンスタンツの街。

 街中にあった水族館は、ちょっと値段は高かったものの、中の展示も工夫されていて、ところどころにクイズなどもあり、なかなか楽しめるところでした。水族館を出て、街の散策。ちょっとだけ買い物をして、昼はまたまたマクドナルド。(ドイツに来て、20回は入っただろうか。)安く早く済ませて、ウルムに向かいます。コンスタンツから対岸のメーアスブルグまではフェリーで移動。船が到着すると、係員の誘導で車を入れます。すぐに切符係りがやってきてお金を払えばOKという手軽なものです。昨日下見したこともあり、順調です。ポテトを食べながらしばしの船旅。寒いけどいいものです。さようなら、美しい町、コンスタンツ。

 フェリーがメーアスブルグに着くと、また車の旅。途中でりんごを買ったりしながらおよそ2時間。最後の目的地、ウルムに到着しました。(でも、途中の小さな町も、いいところがたくさんあったみたいです。日本人はせっかちでいかんな。)ウルムでは、まず町に入り、夕食のおかず(エビフライなど)を買って、ちょっとだけ店を見てユースに向かいました。

ウルム大聖堂。うーん、これ以上入らない。

 暗くなり、場所も良く分からずちょっと不安でしたが、ユースホステルのありがたいところは道路標識があることです。標識さえ見つかればあとはほとんど迷いません。今日もなんとか到着しました。
 ウルムのユースは古い病院のような廊下で、部屋も殺風景で、暗い感じがしました。客も他にいるのかどうかもわからず、おまけに外装は工事中。ちょっと残念。でも、前の日が良すぎたわけで、「これが本来のユースの姿」と気持ちを切り替えて、卓球やサッカーゲーム、そして食堂でドイツのゲーム(ドイツ語は読めないので勝手にルールを作ってやってたら、隣にいた男の子が不思議そうに見ていま した。)。そのうちに客も少し増えて、淋しい雰囲気はなくなりました。

 ウルムのユースで「レゴランド」という遊園地のパンフレットを見ていたら、ウルムからそう遠くないことが判明。明日はレゴランドにも寄って行こうと決めて、今日はシャワーもあびずに寝ました。

最終日 ウルム レゴランド

 最終日、ウルムのユースを出て再び町へ。途中BMWのキャンペーンで何故かパンを4つもらい。まずは「猟師の一角」という昔の町並みを見に行きます。小川が流れる小さな道は、ちょっといい感じ。「傾いた家」という有名なホテルも見てきました。ドナウ川沿いも散策し、美しい市庁舎を通り、そしていよいよウルムの大聖堂。なんとケルンの大聖堂よりも高い聖堂です。もちろん上まで登ります。 らせん階段をぐるぐるぐるぐる・・・途中、下の風景が見えるところもぶるぶるしながら通過し、一番上まで行ったのは娘たちだけ。泣く思いだったそうです。父と母は、最後の階段はパスして待ってました。
 ウルムは、幸運を呼ぶすずめがシンボルだそうで、すずめの置物を買って、「レゴランド」に向かいました。

奥の「傾いた家」は、内部がホテルだそうな。
ウルム市庁舎。
ウルム大聖堂、もうすぐ塔の先端。

 「レゴランド」は、世界一有名なブロック『レゴ』のテーマパーク。乗り物全てがブロックでできているような世界です。いろいろな乗り物に乗り、レゴでできたすばらしい建物を見て、長かった旅行もおしまい。あとは家に帰るだけです。(といっても、家までおよそ300キロ。日本なら大変な距離です。)

わーい、レゴランド!
どこまでものどかで平和な遊園地です。

 最初の1時間は順調に進み、「これなら、7時には 着くかな。」と行っていたのが、次の1時間は大渋滞。歩く方が早いようなノロノロ、ストップ、またノロノロの繰り返しです。1時間たっても10キロも進んでいない有様でした。でも、何とか1時間少々で渋滞も解消し、途中のドライブインで夕食を食べて、フランクフルトに到着したのは、もう夜の10時でした。              (秋休みの旅行おしまい)

スポンサードリンク