3月13日、午後5時に高千穂峯の駐車場を出て尾鈴山に向かう。山同士は遠くないものの、登山口は一度海沿いに出てから再び山の麓に入り込む形になる。なんとなく山の位置関係から計画を立ててしまったが、登山口を基準にすると順番が違っていたかもしれない。地図のポイントを最短で一筆書きするソフトがあればいいなあと思う。(実際にあるのかな?)

 途中、気になっていた「TRIAL」という大型スーパーに入ってみた。安い! 行動食になりそうなクッキーが60円台で売っている。こんな店が山形にもあればいいのにと思いながら、久々に寿司なども買ってしまった。そしてガソリンスタンドで給油と洗車。鹿児島で泥雨の洗礼を受けた車がようやく元の状態に戻った。そんなことをしていれば登山口に着くのは当然遅くなる。真っ暗な中、とても行き違えない細い道を縫うように走り、8時を過ぎて「おそらくここだろう」と思われる駐車スペースに着いた。他に車はない。山に囲まれた小さな駐車場にひとりぽつんと夜を明かすのも慣れてしまった。車という頑丈な箱があるだけで安心なのだ。

前泊は一人だけ。車がきれいでうれしい。

 3月14日、6時30分に出発。天気も良い。今日はほとんど林の中で、眺望は期待できない山だという。でも、いろいろな顔の山があるからいいのだ。いつもいつも「壮大な景色を見ながらの岩場、縦走」なら逆に飽きてしまうだろう。(とにかく飽きっぽい私・・・)
 スタートは舗装された林道を歩く。地図を見るとそれが異常に長い。コースタイムおよそ2時間の林道を歩いた先に、やっと登山口が現れるのだ。見た所車で行けそうではあるが、通行禁止と書いてあるのだから従うしかない。でも、沢沿いの林道には「○○の滝」という看板が立ち並び、見どころも多い。立ち止まっては写真を撮り、いつものように最初は焦らずゆっくり進む。歩いて早々の場所にauの中継アンテナを見つけた。自分はドコモ関連企業の電話攻勢(「このたび、お安くなるプランができましたので、そのご連絡です。」という知らんぷりして自社に誘導する、あれです。)に嫌気がさして全てauに切り替えたが、山では圧倒的にdocomoが強い。auには頑張ってほしいところだ。(でも、最近auの客への販売誘導が問題にもなっていて、docomoに戻そうかとも・・・。)

右はキャンプ場。左の林道は車両進入禁止。
いろんな滝があって、それなりに楽しめる。
滝で有名な場所のようだ。
林道は一部未舗装の場所も。

 7時30分、林道を歩ききり登山口に着いた。あれ?コースタイム2時間ではなかったの?まだ1時間だよ。最近こんな事が増えてきたのは、自分の歩力がアップしたと考えていいのか。それともコースタイムが間違っているのか。このあたりは検証の仕様もないが、考えられるのは「ほぼ平坦で普通に(時速4キロ程度で)歩ける林道に、登山道と同じ感覚でコースタイムを設定した。」あたりだろうか。

ここで林道をはずれ、登山口に向かう。
なんか、荒れ果てた感じ。

 登山口からはけっこうな斜度の山道になる。道はきれいに整備されてるとは言い難く、角ばった岩が転がっていたり、木の根が階段になっている場所も多い。若干歩きにくい場所もあるが自然のままといえばその通りだ。単調な林間の登りが続くが、1合ごとに設置された新しい看板が気持ちを後押ししてくれる。

わりと自然のままの雰囲気。
登っても雰囲気は変わらない。
登っても雰囲気は変わらない。

 ここまで人の気配はなかったが、5合目付近で後ろから近づいてくる声が聞こえた。声は少しずつ迫ってきて、6合目を過ぎたあたりで追いつかれた。30代と思われる若いペアは宮崎在住で、職場の関係で県外に出ることを固く禁じられているという。勝手にあちこちを登り回っている私を羨ましいと言い、早くコロナが収まって県外の山にも行きたいと語った。
 若いペアに抜かれたので、ソーシャルディスタンスを取るために少し休憩。再び人の気配がなくなった。今日は日曜日。おそらく「日本百名山」の山は多くの登山客で賑わっているだろう。それが「二百名山」になると人が激減する。人気のある百名山の山は平日にして、土日はこんな山に登るというのが良いサイクルだと改めて思う。もっとも、こっちはただ順番に回っているだけであり、天気が悪ければ躊躇なく休むので、そうそううまく調整はできない。

登っても雰囲気は変わらない。
登っても、やっぱり雰囲気は変わらない。(看板拭いてあげたい。)
牧水、神武天皇・・・由緒ある場所らしい。
牧水が初めて見た海・・・今日は霞んでる。

 尾鈴山の特徴は、最初から最後まで同じ斜度の登りが続くこと。もちろんきついところと楽な所が交互にやっていうるが、1合目も9合目もそれほどの違いはない。若干上の方が緩いかなと感じるくらい。だから、8合目、9合目の標識が見えると嬉しくなる。焦らず疲れない歩きを心がけてはいるものの、元気が出てきて足取りも若干速くなる。9時35分、山頂に到着。広い平坦地で、周りの木が邪魔で何も見えない。でも、いいんだ。今日は森林浴の日なのだ。

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山頂は学年の遠足でお弁当にできるスペース。

 先に登頂していたペアは、「天気もいいので一番大きく回っていく。」と言って早々に出発していった。昼食のパンを食べ、いくつかのグループに山頂の写真をLINEで送る。電波の届かない山でも、山頂に来ると不思議とつながることが多い。(auも結構つながる)尾鈴山も大丈夫だ。

 下りは、大きく回るコースにしようか、それとも小さく回って林道を戻るコースにしようか迷うところだ。とりあえず、先の分岐地点まで言って判断することにして、ペアの後を追うように別のコースを下る。ここから次のピークの「長崎尾」までは尾根道なので高低差は少ない。木々の間を縫うように進む道は、登山というよりハイキングという言葉が似合う。赤ずきんちゃんが森を抜ける、あの森のイメージである。こういう道は大好きだ。汗もかかず気持ちよく歩ける。
 長崎尾を通り、分岐点に到着したのが11時。時間的にはゆとりだが、大回りのコースは失筈山の斜面が見える。あの登り返しは嫌だなと思い、林道に下るルートを選択した。このあたりが自分の軟弱なところ。(帰宅してこの文章を書きながら、地図を再確認すると、ルートは急峻な山頂ではなく30m下を巻いていることに気づいた。これなら行けたじゃん。)
 下りに入っても「赤ずきんちゃんの森」のイメージはそのままで、軽快に歩ける。長年の落ち葉が積もり、ふかふかになった道も気持ちいい。

ここから緩やかな尾根道。
長崎尾という小ピーク。
どこでも歩けるので、ピンクのリボンが逆に重要。
分岐点から林道に下る。
ふかふかの気持ち良い道。
高級ジャムパンで更に気持ちよく。

 今日はいい日だったなあと思いながらすんずん下り、12時に林道に出た。これで今日の登山も終了だなと若干寂しくなりながら林道を下る。それにしても、林道がずいぶん長いなあ。なかなか朝に通過した登山口が見えてこないなあ。地図を見直してミスに気がついた。最初の林道はそのまま横切り、さらに登山道を降りるのが正解だった。林道を選んだために、かえって遠回りになっている。でも、気づいたのはかなり歩いてから。ここは諦めて林道を歩くしかない。30分ほど歩いて、ようやく登山口に戻ってきた。ここから駐車場まで、さらに林道を歩いて戻る。

林道きた。(実はその先に登山道があったが気づかず)
林道、長いな。

 林道を歩く途中、3台の車を見かけた。1台は登山口にあったので、尾鈴山の登山者に違いない。もう2台は林道の途中に停めてあった。釣り人だろうか。確かに「進入禁止」の看板を無視して進めば通れる道ではある。日曜日にも関わらず登山客も少なく、車登ってきても影響は少ないだろう。しかし、多くの山は私有地である。登山愛好者に好意で道を作り通らせてあげているところも多い。「車はここまでよ」と言われたら、素直に従ってほしい。理由がわからんとか大丈夫だとか自己責任だという問題ではなく、他人の敷地に入るのだから管理者がダメといったらダメなのだ。勝手な行動をする少数のため、最悪「この道は立ち入り禁止」となる可能性だってある。気をつけたいものだ。

ここ、停めちゃだめだよ!(ナンバーだけモザイクかけたが、公表したい気持ち満々)
帰りも滝を見ながらゆっくり歩く。

 13時20分、やっと駐車場に戻ってきた。結局林道を1時間20分歩いたことになる。登山道は快適だったが林道の長さがネックになる山ではあった。これなら大きく回って駐車場近くに下山した方がいいかなと、少し後悔した。それでも、穏やかな天気で快適なハイキングができたことに感謝しよう。

駐車場着いた。晴れの日曜なのに登山客は少ない。
本日のコース。

 帰り道、道路沿いに素敵な水場を見つけた。行く時は真っ暗で気づかなかった場所だ。無料の水場があると非常に助かる。

こういう水場は、ほんとにありがたい。
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