3月8日、開聞岳を午前中に登り、昼に天気予報をチェックすると「3日ほど良い天気が続く」と書いてある。屋久島はすぐそこにある。このチャンスを逃したら今度はいつになるかわからない。でも、やはりコロナは心配だ。特にフェリーの中がどのような状態なのか見当がつかない。自分は心配しすぎだろうか。何も気にせず島に渡り、トラブルなく楽しんでいる人がほとんどではないのか。そう思いながらも、いや、心配性の人というのは本能でリスクを感じているから(つまり、隙を見せると何かしらのトラブルに遭い易い個体だから)、心配性なのだ。何も感じない人(つまり、リスクに遭わない強運またはリスクをはね返す精神と肉体の保有者)と同じように行動してはならない。

お世話になった鹿児島港第4駐車場。桜島が噴火しとる。

 などと終わりのない哲学問答を繰り返しながら、鹿児島にあるジェット船トッピーの発着所に向かった。窓口で「明日一番の船の混雑はどうですか?」と聞くと「まだまだゆとりがあります。」と言う返事。全国的な自粛ムードのため島に渡る人も少ないのだろう。だから、指宿発着の便が欠航になってるわけだ。そんなに気にするほどの問題でもないか。よし、行こう!

リンク 高速船トッピー・ロケット

 往復で16600円。これに3日分の駐車料金4200円が加算される。指宿便があれば13600円(駐車料金は無料)で済んだのに・・・。

 この日は、「最初の1時間は無料」の第4駐車場と第5駐車場に入ったり出たりしながら時間をつぶし、夜9時に第4駐車場で眠りについた。(これで、鹿児島に戻って来た時に3日以内になるはず。)

 3月9日、朝6時には準備を終えて、第4駐車場から徒歩5分の発着所に向かう。よしよし、思ったよりも人が少ないぞ。これなら密を回避できそうだ。久々に缶コーヒーを自販機で買い求め、前日に買ったパンをかじりながら受付を待つ。
 6時半、窓口のシャッターが開き受付開始。乗船券を座席指定券にする必要があるのだ。迷わず右舷窓側をチョイスする。開聞岳がきれいに見えるに違いない。ひと息ついてベンチで乗船を待っていると、徐々に人が増えてきた。あれれ、予想よりも人が多いぞ。そのうちに待合室はほぼ満員状態に。あっけにとられているうちに乗船案内のアナウンスが響き、乗客が動き始めた。密を避けて最後尾に並び、検温センサーも無事通過して船内に入ると、そこは完全な満員状態。せめて左右の席くらい空けているのかと思ったらそれもなく、本当の満員である。「絶対にマスクを外さない。水も飲まない。ずっと窓の方を向いてる。呼吸も冬眠状態のように浅く小さくする。」と決意する。幸い船内は静かで、見える範囲では全員がしっかりマスクをして、おしゃべりする人もいなかった。
 7時30分出航。天気は悪くないが開聞岳はややぼんやりとシルエットだけが見えた。昨日はあそこにいたんだなあ。今は屋久島に向かっているんだなあ。ほんとに九州まで来たんだなあと、突然感動する。9時過ぎに種子島に寄港し、何十人かの客の入れ替えの後に再び出航。10時30分に宮之浦港に着いた。

 本日は、午後から少しだけ歩いて淀川小屋までの行程になる。バスの接続の関係で13時近くまでは暇なので、「屋久島観光協会 宮浦案内所」に立ち寄り、登山道の情報を収集する。山頂付近には雪が残っていて、踏み抜き注意という話を聞く。ここで「避難小屋宿泊協力金2000円」を払い、屋久杉の端材と思われるタグをもらう。これをリュックにつけておけば「2000円払ってますよ。」の証拠となる。(これは次回も使えるかもと不届きなことを想像するが、小心者なので決行はしないだろう。)それから、500円の地図を見つけてこちらも購入。開いていたお土産物屋の2階食堂でカツ丼とコーヒーを注文し、時間をつぶす。

リンク 屋久島観光協会HP

2000の協力金証明タグ。
購入した地図(500円)や資料など。

 12時51分、土産物屋の前のバス停「宮之浦港入り口」でバスに乗り込む。バスの中には始発の「宮之浦港」から乗った人が数人だけ。空いていてほっとする。その中の一人、若い女の子が会釈をしたのでこちらもペコリと頭を下げた。その時は随分礼儀正しいお嬢さんだなあと思っただけで、3日間一緒に行動することになることなど知る由もない。
 13時25分、「合庁前」乗り換え。ここまでのバス賃は850円。予想以上に高かった。(それくらい事前に調べておけっ!)乗り換えたのは自分と女の子の2人だけ。さっきの会釈はそういう意味だったのかと合点がいき、乗り換えのバスで「これから一緒ですね、よろしくお願いします。」と挨拶をする。でも、無人の山小屋で若い女性と二人きりというのも別に邪な考えを持っているわけではないが妙に緊張する。13時30分、バスはたった二人を乗せて出発したが、途中の「安房」でリュックを背負ったおじさんが乗り込んできた。おじさんありがとうと心の中で叫ぶ。乗り換えたバスも相当な距離を走り、ほぼ1時間後に終点の「紀元杉」に到着した。料金は990円。バス賃なんてあわせて500円くらいなもんだろうという根拠のない予想が見事に崩れた。(だから、ちゃんと調べておけっていうの!)

スポンサードリンク

リンク 屋久島交通バス時刻表

リンク 屋久島交通バス運賃表

紀元杉駐車場
「紀元杉」 写ってるのは一緒に行動したお嬢さん。

 せっかくなので「紀元杉」というものを見学してから、登山口までの舗装道(1.6キロ)を歩く。ゆっくり時間をかけて30分ほどで「淀川登山口」に到着。ここから登山道が始まる。目的地の淀川古屋までは1.5キロ、コースタイムは50分。焦らなくても大丈夫。しっかりトイレを済ませ、3人の最後尾を歩く。残念なことに霧雨状態で、レインウエアを着込んでのスタートとなった。おいおい、天気がいいっていうから来たのに・・・。今日はともかく、明日は大丈夫だろうか。

途中にあった「川上杉」。こちらも立派。
淀川登山口。写っているのは一緒に行動したおじさん(左)とお嬢さん(右)
登山届けはここで出します。(でも、すでにコンパスで届けを出してるから使いません。)
いよいよ屋久島トレッキングのスタート。わーい!
ふむふむ、世界遺産の地域に来たのね。

 緑色に苔むした森の中をゆっくりゆっくり歩き、それでも40分で淀川古屋に着いてしまった。先行した二人は既に小屋の中で荷物を広げている。(二人ともかなり早いなあ。)それから、逆コースを歩いて来た年配の男性が一人、早めに小屋に着いたようで、大量の濡れた衣類を乾かしていた。今夜は4人で小屋を使うことになる。混雑の時のために持ってきたテントを使わずに済んだ。というか、持ってこなくても良かったような。
 夕食は「西尾の松茸こはん」と味噌汁。4人で自己紹介やこれまでの経験などを語りながら夕べのひとときを過ごした。3人とも山の経験が豊富で、ビギナーの自分とは実力がまったく違うようだ。頑張ってついて行ったりしないぞと決意する。(2日目に続く)

淀川小屋。テントスペースも広いが、4人しかいないのでゆったりと小屋泊。
予想外の水場。川から直接汲むのね。
松茸ごはん、解!
本日の行程(コンパスアプリ)
スポンサードリンク