京極の「道の駅ふきだし公園」は素晴らしい。巨大な湧水があり、水が汲み放題なのだ。おまけに近所には温泉があるし、ローソンもあるし、ベースキャンプとしては申し分ない場所だ。羊蹄山はコース途中に水場がないので、ここで車中泊用の水も含めてたっぷり頂く。

 7月26日午前4時、京極登山口の駐車場スタート。最近はコースタイムよりも早く動けているが、9時間半のコースタイムで、しかも山の形から登りが永遠に続くことが予想される。今日はいつものように早朝スタートが欠かせない。既に1台停まっているので先行している人がいるようだ。

駐車場からの羊蹄山
だんだん森に入っていく

 畑の中を20分ほど歩くと、車が入れない登山道が始まる。少しして1合目、先は長い。しかし、1合目から15分弱で2合目の看板が出てきた。この山は麓から山頂付近まで傾斜が変わらない感じだから、このペースだと残り2時間までかからない計算になる。ということは7時に山頂か。いや、そうそううまく事が運ぶはずもなし。あまり頑張らずに登ることにする。

 山そのものは遠目には美しいが、登り出せば森の中をひたすら歩くことになる。たまに木々の間から麓の街が見えることで高度を感じる以外は、単調な山と言える。(いや、そもそも登山という営みが単調なものかもしれない)

 残念ながら3合目から4合目までは17分、4合目から5合目までは27分と、少しずつ時間が伸びてきた。(歩いている途中は「ああ、少し時間かっかたな」くらいの感覚で、正確な時間は後日写真を見て確認したものです)登山道の雰囲気はまだ変わらない。

太陽の光で少しもやがでてきた(これはすぐに消えるやつ)

 太陽の光に照らされて、下界ではうっすらと霧が出てきた。6合目を過ぎたあたりでそれが雲海のように見える。その雲海もどきの上に、昨日登った余市岳が顔を出している。その霧ももう少し気温が上がれば消えてなくなるだろう。

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 7時ちょうどに8合目を通過。相変わらず森の中の登山道だが、このあたりから少しずつ空が大きくなってきた。ここからが楽しい登山だ。背の丈くらいに小さくなった木々はもはや視界を遮ることもなく、青空の下のガレ場を登る。斜面の角度はそれほど変化はない筈だが、それまで九十九折りだった道が直登に変わった。最後の最後にきつい登り。でもそれも30分足らずで終わり、噴火口の縁に着いた。時刻は7時45分。

 ここから、いわゆる「お鉢まわり」で最高点に向かう。とはいえ今回選んだコースは最高点に近いところに出るので、角度で表現すると30度くらいしか歩かない。(ニセコから登ってくる人は半周回らないと山頂につかない)

 8時、山頂到着。これで北海道の百名山は全て制覇したことになる。9山の中で山頂からの眺望が良かったのは4つ。天気予報を見ながら自由に計画を立てたにしてはかなり成績が悪い。思えば小さい頃から医者の順番を抜かされたり、注文した餃子定食が忘れられてたり、列車の中でお茶を買おうとしたら目の前で売り切れたり、なかなかに間の悪い人生を送ってきたので、自分としては平常運転である。特に悲しむ必要はない。

山頂で写真撮るの忘れたという失態(このすぐ上に標識)
さあ、下山(高度感あるなあ)

 思えば1ヶ月以上前の6月14日、お隣のニセコアンヌプリに登って、その後雷注意報が出たので羊蹄山をパスしたのだった。あれから早いもので40日が過ぎた。こんなに長く北海道でうろうろしながら山登りをしているのだから、気楽な立場だ。自分の中の間の悪い人生というのは、「順番を抜かされた」「雨だった」みたいな大勢には影響のないレベルの話で、普通に仕事をして、そこそこお金を貯めて、定年前に仕事をリタイアして遊んでいるのだから、全体としては十分成功した人生と言えよう。そう考えると、小さな不運ウェルカムである。

 11時45分、無事下山。再び道の駅のそばの温泉に入る。そういえば、旅をしている途中で同じ温泉に連続で入るというのも始めてかも。

 ゆっくり汗を流して、次に向かうのは狩場山。こちらも40日前に「熊が出てハンターが入ってるから入山禁止」と言われてパスした山だ。その後どうなっているだろうか。

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