今日で4日連続になるが、よくよく考えれば北アルプスの奥地に分け入って黒部五郎岳あたりを回るならこれくらいの日数は普通なわけで、これも修行と思って頑張りましょ。(もっとも日帰り連続は、麓からからの登り返しが続くわけだから縦走よりもキツイ筈)

 午前4時に「道の駅びえい」を出発し、4時20分に美瑛岳登山口駐車場に到着。(この駐車場は林道のゲートを自分で開けて侵入します)今日の行程はコースタイムで10~11時間の長い長いコース。昨日(十勝岳)の反省もあり、なるべく早く出発だ。とはいえ暗い中を歩くのは嫌だし、クマを考えるとトップバッターにはなりたくないという思いもあり、この時間を選んだということ。駐車場には既に車が3台とバイクが1台あり、先にクマ払いをして下さっているようだ。ありがたい。

美瑛登山口駐車場

 登山靴に履き替えてすぐにスタート。駐車場から200mほど林道を戻ると登山口があり、スタートは林の中を歩く。同じ大雪山系でありながら旭岳とは雰囲気が違う。それもそのはず、ここは標高がまだ800mそこそこ。1600mからスタートした旭岳と同じの筈がない。

 地図上では緩やかな登りの林間コースは、何ヶ所か小さな登り返しがあり、しかも木の根が張り出して歩きにくい場所も多い。疲れる道ではないが、思いの外時間がかかる。これは結構コースタイム通りになりそうだ。

 5時40分、「天然公園」到着。ここまで4キロ歩き、美瑛小屋まで残り2キロだ。巨石と松が巨大な盆栽のような雰囲気で、日本人の好きそうな風景ではある。えいやっと石を踏み越えて歩くのだから少々疲れるが、いい感じに体も温まってきたので調子良く通過する。そこからは木々が視界を遮ることはなく、笹藪を抜けいくつかの雪渓をを越えて進む。

クマ出るなよ
でかい雪渓が残ってる

 最初の雪渓で最初の登山者発見。ここまで彼がクマ払いをしてくれたわけだ。(でも「クマ払いありがとう」とは言わず普通に挨拶する)標高が上がるにつれ雪も増え、登山道がほとんど雪の中という場所が続く。一番大きな谷を覆う雪渓では足元からゴウゴウと流れる水の音がする。まだまだ頑丈な雪の塊もいつか薄くなって人を支え切れなくなるだろう。それが今でない事を祈り、ビビりながら越える。そして7時15分、避難小屋に到着。

小屋見えてきた
テン泊の人も

 避難小屋は小さなもので、きちんとしたトイレや水場もなく。当然自分が出した糞尿の類はお持ち帰りが基本だ。でも近年、その辺で用をたす登山者も多く、ティッシュなどが散乱しているという記事も読んだ。山を愛する登山者は肝に銘じてルールを守ってほしい。そんな自分はスタートから下山まで何も出さずに戻ることがほとんどなので、廃棄物を遺棄したことも持ち帰ったこともない。このあたりが切実な人の苦労がわかっていないのである。

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 小屋で一休みしたらすぐに出発。まだ中間地点、目的地のオプタテシケ山はまだ先だ。まずはすぐ目の前にある石垣山まで200mを登る。コースのマークがやや不明瞭で、高山植物を踏まないように岩の上を歩く必要もあって意外に手こずった。でも花がたくさん咲いていてとても良い。あまり溶けかけの残雪の上を歩きたくないなあと思っていたが、景色と花を見るなら北海道は初夏が良い。

道がわかりにくい
石垣山を登るとゴールが見えた
尾根に来ると歩くの楽です
近いぞ

 石垣山頂を迂回するように進むと、ようやくオプタテシケ山が見えてきた。ここからはしばらく尾根沿の道を進むから苦しくないし、とにかく花が素晴らしい。パチパチ写真を撮りながら進む。8時20分、ベベツ岳到着。ここから一旦100mほど下り、再び300m上り返せばゴールだ。ピラミッド型の端正な山容なので、最後は岩の間を縫うようにして急登を登ることになる。

 9時20分、ゴール。ここまでしっかり5時間かかった。一足先に登頂した3人組と写真を取り合い。帰っていく彼らを見送りしばし山頂で過ごす。この山塊の中で、オプタテシケ山も最深部のひとつと言えそうだ。遠くまで来たなあという達成感と花畑の美しさで、ここが今までのナンバー1ではなかろうかとも思えてくる。

最後の急登
山頂

 そんな風に山頂を楽しんでいたら、反対側から一人登ってきた。天人峡からトムラウシを経由して来たという。とても自分には真似のできないコース。すごいなあ。でも自分は自分。身の丈に合ったお手軽な登山を続けていこう。

 40分ほど山頂で過ごし、元来た道を戻る。花が綺麗で帰りたくないという気持ちになったのも久々だ。帰りも止まっては写真を撮りながら歩くので時間がかかる。結局避難小屋に着いたのはお昼だった。少々風で体が冷えたので、小屋の中でお湯を沸かしてコーヒーとパンの昼食。同じく小屋で休んでいた人とお喋りしながら楽しく過ごす。一人は十勝から美瑛と縦走してきた人。途中で足を痛めたので今日はここに泊まってゆっくりして明日下山するとのこと。下山したら十勝岳口の駐車場まで歩くそうだ。どうも山で人と話すと、感覚がおかしくなる。

 12時30分、避難小屋出発。あとは雪渓を越え、天然公園の巨石の上を歩き、そして森の中を4キロ歩けばゴールだ。ここからは眺望も良いわけではなく、花も咲いてないので淡々と歩く、そして15時10分、登山口到着。全行程11時間ほどの登山になった。昨日は雷に遭いビビったが、今日はそんなこともなく落ち着いた1日だった。

 近くには美瑛岳、富良野岳と、まだ登っていない山もあるが、ひとまずこの付近から離れて、次は芦別岳に行こうと思う。

新年の年賀状に使った写真
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