4日の乳頭山が午前中で終わり、隣の秋田駒ケ岳には十分に行ける余裕がある。しかし、既に黒湯の露天風呂でまったりと汗を流し、売店でコーヒー牛乳まで飲んでしまっては、これからまた山で汗をかこうという気にならない。(これが普通の感覚だよね)

 12時少し過ぎに「アルパこまくさ(八合目へのバス発着所)」の駐車場に到着。午後は施設の展示を見たりワープロをパチパチやってりして過ごす。既に午後なので八合目からのバスが到着すると多くの登山客がゾロゾロと駐車場にやってきては自分の車で帰って行く。中には2時過ぎのバスで八合目に向かう人もちらほら。確かに秋田駒ケ岳は山頂往復だけなら3時間かからない。最終のバスには十分間に合う筈。実際、2時過ぎに出た若いカップルは5時頃のバスでしっかり下山してきた。まあ良い、明日も晴天の予報が出ている。

 夕方にかなり激しい雨が降ったが、それも1時間ほどで止んだ。明日の天気の心配はないものの、また草の水滴でズボンがぐちゃぐちゃになるのかと少しアンニュイな気分。

 5日、早朝4時に起床し準備を進める。バスは6時1分発なので時間にゆとりがあり過ぎるが、直前にバタバタと慌てたくない性がこういう場面で出てしまうのだ。(関係ないが、人との待ち合わせに遅れた経験はほとんどない。)

 そうそう、説明しておこう。秋田駒ケ岳の八合目に向かう道路は狭く、しかも行った先の駐車場も30台そこそこしか停められないので、夏場は一般車両の乗り入れが制限させる。朝5時半より前なら大丈夫だが戻りは夕方の5時半過ぎになる。流石にそれは動きがとりにくいのでバスを使うことにする。料金は片道630円。

 バスは定刻にスタートし、6時25分には八合目駐車場に到着した。大した準備運動もせずにスタート。バスを降りた人の多くが同じルートになるので、数メートルの間隔を取ってゆっくり進む。今日は急ぐ必要などないのだ。それに、今回の目的は花なので、山頂にも行かない予定。ますます楽ちんな1日である。

八合目でバスを降りて出発
田沢湖もしっかり見える

 道は少し登ると直登する旧道と山を大きく巻く新道に分かれるが、予定通り新道を進む。草木は昨日の雨で濡れているが道にかかるような場所もなく濡れない。これは良い。

 少し登ったところで、道端の低木にトトロのハンカチが載せてあった。さわると乾いている。昨日の雨からすると今日の登山者に違いない。しかも自分たちのバスが始発なので、まだ近くにいるだろうと判断し、ハンカチを手に速度を上げた。先行する人達を追い抜きながら、「これ、違いますか?」と声をかけながら進む。かなりの人に声をかけたが阿弥陀池まで来てもダメだった。池の先にある避難小屋にもうすぐ着こうかという女性を追いかけ、彼女らが外れだったら諦めよう。そう思って声をかけたら当たりだった。うん、今日は良い日だ。

 ちなみに、登山道ではよくタオルや手ぶくろなどの小物が木にかけられている。拾った人は少しでも目立つように置いてくれたのだろう。そんな落とし物を本人が見つけて回収する確率はどうなんだろう。自分の場合は往復コースなら下山時に回収して届けるか、どうみても落としたばかりのようなら拾って追いかけることが多い。それが持ち主に戻る確率は今のところ50%。

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男岳への登り 遠くに岩手山

 ハンカチは解決したが、思いの外足を使ってしまった。ここからはゆっくり進もう。今日は最高峰の男女岳にも2番目の男岳にも登らない。前回は通らなかった通称ムーミン谷を通って花を楽しむのだ。一旦男岳に向かって少し登る。阿弥陀池に至る道沿いからここまではミヤマキンバイの黄色い群落が美しい。そして鞍部に出たところで下り。凄まじい斜面だがジグサグに道が切れているので実際にはそれほどの恐怖感はない。しかし落石注意の看板がここでは説得力がある。実際に斜面が崩落して道が流れている場所もあった。

 下り切った先の谷は、表側(阿弥陀池側)とは別世界のような荒々しい風景に圧倒される。前回は足を踏み入れなかったが、こっちの方が良いんじゃないかと思えてくる。湿地帯を通る木道の脇にはチングルマの群生。時期は少し過ぎていたが、1箇所だけ見事な場所があった。きっと遅くまで雪が残り、その分春が遅れた場所なのだろう。

駒池から男岳を見る

 緑と花の湿地帯を抜けると火山製の砂礫の山になり、雰囲気は一変する。ここからは駒草が顔を出す。まだ季節の初めで株も小さく花も少ないが、あちこちにピンクの可憐な花が見える。ここまで見ることができれば今日は満点をあげよう。

 大焼砂という火山砂の丘陵を尾根伝いに登り(これがけっこう大変で、逆回りが良かったかも)、横岳からまっすぐ八合目に下って今日の山登りは終了。時計は10時30分になるところだった。帰りのバス時刻を見ると、10時40分となっている。これはラッキーだ。5分で靴を洗い、水場で冷たい水を満タンにしてバスにん乗り込んだ。

 今日は天気にも恵まれ、花もたくさん見ることができ、来て良かったと心から思える山だった。秋田駒ケ岳は日本百名山に入っていないが、そのためにスルーされるとしたら勿体無いことだ。百名山は確かに良い山が多いが、それ以外にも素晴らしい山があることを再認識できる山のひとつだろう。

ここで汗を流し、今夜は「道の駅 あに・マタギの里」で宿泊
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