6月8日、医王山から移動して白木峰の8合目駐車場に到着したのが午後2時過ぎ。ここから山頂までなら往復2時間なので、今から行けなくもない。しかも明日は「天くらC」となっている。山頂では15m近い強風になるらしい。今はまだ無風状態で、降りてくる登山者が「良かったねえ、いい山だったねえ」などと話している。普通なら行ってしまうところだろう。しかし、自分は「11時過ぎたら進まない」と基本にしているし、「膝の調子が完全でない」というハンデがあるし、何より「すでに温泉に入って来ちゃった」という再び汗をかく気になれない状態なので、おとなしく車中泊する。(おそらく正解は「医王山からまっすぐこちらに来ればまだ12時過ぎだったろう。そこから山頂往復だけする」あたりだったのだろう)
 誰もいない駐車場は寂しくも何ともないが、夜半から風が出てきて車が揺れた。明日はきっとダメだろう。

今夜も一人で寝るよー

 6月9日、午前6時くらいから少しずつ車が上がってきて、強風の中登って行った。凄いなあと思いつつ、自分は行かない事にする。スタート時点で大丈夫だったのに途中で雨風がというのなら頑張って乗り切っちゃうが、最初から状態の悪い中で突っ込みたくない。
 そう思って車内でお茶をしながらワープロパチパチやってたら、8時半くらいから雨も降ってきた。早くに登った皆さんは少しずつ下山してきている。こんな天気なのにまだ上がってくる車もああり、中には小さな子ども連れの家族もいたりする。遭難しそうな山とも思えないが、強風と寒さで変な事にならないことを祈る。

 8合目のトイレがまだ閉鎖中で、流石に2泊は苦しいので一度麓に下る。麓の「21世紀の森」という施設の展示物を見て、トイレを済ませて、夕方5時に再び8合目に移動。既に車は一台もない。これはみなさん無事に下山したことを意味し、喜ばしい。風は朝と変わらず強く、時々車が揺れるが、特に睡眠に支障もないので、このまま一人ぼっちで寝ることにする。

 6月10日、夜中にいきなり雨が降って肝を冷やしたが、朝は風もなく登山日和と言える。青空は見えないが逆に涼しくて良いと考えよう。

 6時スタート。いきなりの急登で少々大変ではあるが、15分ほど頑張ると一度林道に出る。そこから再び登山道をまっすぐ登ると20分ほどでまた林道に出る。ここまでくると空の大部分が開け、山頂間近なのを感じる。さらに登山道をほんの数分で林道の終点に出ると、気持ち良い天空の木道が山頂まで伸びている。スタートから50分で山頂に到着してしまった。

最初は急です(でも道は良いです)
たまに林道を横切る
林道の終点
山頂まで木道が続く
山頂

天気は今ひとつで、「うーむ、やはり8日に登ってしまうべきだったか」と少し後悔するが、曇り空ながらも遠く御嶽と乗鞍も見えているし、誰もいない静かな山頂というのも悪くはない。汗が吹き出すような暑さでもないし、これはこれで正解であろう。

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 一度太子堂まで行って写真を一枚撮って山頂に戻り長めの休憩。本来の計画は小白木までの稜線を往復だが雨がパラついてきたこともあり、浮島の池までの往復に切り替える。浮島までは下りになるので楽々歩ける。しかも木道が整備されていて雰囲気が良い。所々に池塘があるのも素敵だ。この山も楽園に指定しよう。浮島の池はワタスゲが雰囲気を出していて、これも良き。

浮島への路
浮島の池 ワタスゲが良き

 再び山頂に向かって木道を歩くと、ようやく登山者とすれ違った。地元の方で、もう少しすると一帯がニッコウキスゲに覆われて素晴らしいという。(今日は一輪だけ見つけた) もしも北陸の山を終えて帰る時に条件が合えば、もう一度来ても良いかなと思う。

避難小屋も見学してきました
避難小屋からすぐ林道へ

 帰りは山頂まで戻らずに避難小屋を経由する。避難小屋からは長い林道を戻ることにする。二王子岳で痛めた膝はだいぶ復活したが、念の為である。
 林道を歩いている最中に、少し遠くから「ゴロロロロ」と音がした。ひょっとしたら熊さんだったかもしれないが、音もそれほど近くないので特に恐怖感はなかった。一昨日の夕方に下山してきたソロのおじさんが「熊の声しましたよ。自分はそんな時は『通りますよー』と声をかけていきます。そうするとなぜか唸り声止むんですよね。」と言ってたことを思い出した。ちょっと真似して「通りまぁーす」と言ってみる。その効果があったのかどうかは定かでないが、少なくとも生きて戻ってきたところをみると、マイナスの影響はなかったと言えよう。

長い林道と言っても直登する登山道より長いというだけで、ゆっくり歩いて50分で駐車場に戻った。時計は午前10時少し前、ずいぶんとゆっくりしたので4時間かかったが、単に往復するだけなら2時間かからないだろう。
 登山道で話をした方によれば、8合目までの林道は長らく通行止めになっていて、それが開通したのが昨年のことだという。小さな子ども連れの家族がひょいと山頂に行けてしまう山も、麓からとなるとハードルは高い。きっと地元の人にとっても待ちに待った林道復活だったのだろう。

今日の温泉はココ
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