ホメロスの有名な叙事詩である「イーリアス」と「オデュッセイア」。
その内容を知る人は少なくありませんよね。

ピンとこない人も
「トロイの木馬」や「魔女セイレーン」の話は、何となく聞き覚えがあるはず。

今回、わけあって「オデュッセイア」に挑戦しました。

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オデュッセイアとはどんな作品か

 

紀元前8世紀頃から、吟遊詩人の口頭伝承として語り継がれてきた物語で、紀元前6世紀頃には文字になり、24編に編纂されました。もともとの作者はホメロスということになっていますが、ホメロスが実在の人物かどうかも定かではありません。

ちなみにホメロスは紀元前8世紀の人物と言われ、そこから「イーリアス」「オデュッセイア」も同時期の作品と言われています。

2つの作品が編纂された古代ギリシャ時代は、現代にも大きな影響を与えた偉人、哲学者が多数排出された黄金の時代とも言えましょう。

ソクラテス プラトン アリストテレス ピタゴラス タレス ヒポクラテス・・・
すごい時代だったのですね。

オデュッセイアの概要

若干のネタバレがありますが、まあ有名な話なので、大丈夫ですよね。
(もし、まっさらの状態で読みたい人は、ここはパスしましょう。)

「オデュッセウス」の前編ともいえる「イーリアス」では、
難攻不落のトロイアを攻めあぐねていたオデュッセウス。
あの有名なトロイの木馬の奇襲作戦で大勝利を収める。

ここから「オデュッセウス」の物語。

オデュッセウスの妻のペネロペは、帰らぬ夫を待ち続けていた。
絶世の美貌を持つペネロペのところには、近隣の有力者が再婚相手として名乗りを上げ、
オデュッセウスの屋敷に居座り、贅沢の限りを尽くしていた。
オデュッセウスの息子のテレマコスは、多勢に無勢で口出しもできない。
ついにペネロペは求婚者の中から一人を選び、夫にすると約束してしまう。

テレマコスは、父オデュッセウスを探しに旅に出る。

一方、オデュッセウスは海の神ポセイドンの子供であるポリフェモス(ひとつ目の巨人)の目をつぶす。
ポセイドンはこれに怒りを覚え、帰路に数々の困難をもたらす。
帰路の途中、魔女キルケの元で夫婦のような生活をしたり、
セイレーンの歌声(船を難破させる魔の歌)も切り抜け、
ようやくスケリア島にたどり着いた。

ハーバート・ジェイムズ・ドレイパー「ユリシーズとセイレーンたち」

スケリアの王女ナウシカアに恋心を抱かれ、
王も娘の婿になってくれれば財産と国を譲るとまで言ってくれたが、
オデュッセウスは自分の正体とこれまでの冒険を打ち明け、
国に戻してくれと願う。

ようやく故郷についたオデュッセウスは、
息子のテレマコスと共に、
求婚者たちを成敗し、めでたくペネロペの元に戻る。

 

感じたこと

紀元前の叙事詩とはこんな表現をするのか

「朝のまだきに生れ指ばら色の曙の女神が姿を現わすと、」

これ、何の意味でしょう。

答えは、「朝日が昇ると、」つまり「夜が明けて」くらいの意味です。

この言葉が、1ページに1回くらい連続で出てきます。

最初は意味が分からず、
何回か繰り返しているうちに「単に朝のことね。」と気がつき、
そのくどさにちょっとイライラし、
でも、最後にはその儀式にも慣れてくる。

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こんな感じで、少しずつ馴染んできます。

古代ギリシア時代の様式美というやつなのでしょう。

主人公のオデュッセウスについても、
ストレートに名前だけ書かれることは少なく

知略に富むオデュッセウスは
堅忍不抜のオデュッセウスは
機略縦横の智将、オデュッセウスは
ゼウスの裔なるオデュッセウスは

もういいから、わかったから!(笑)

 

この時代に人権という言葉は、たぶんない!

スケリアの王は、オデュッセウスの話を聞くと、
集まって来た近隣の王やら有力者たちに話をします。

「こんな素晴らしい働きをしたオデュッセウスに、
私たちは最高の贈り物をあげようじゃないか。
一番良い財宝と、たくさんの羊や食べ物を持たせよう。

どうせ、そのうちに国の民から巻き上げればいいんだから。

おーい!
それが正義の側の発言か?

 

帰ってきて全ての求婚者を打ち倒したオデュッセウスを見て、
ペネロペは言います。

「ああ神様、感謝します。
オデュッセウスが戻ってきて、
忌々しい求婚者を皆殺しにしてくれました。
こんなにうれしいことはありません。

ペネロペ、こわ・・

現代に生まれた幸せをかみしめるわたし・・・

 

せっかくだから、映画も見ました。

1954年、イタリア映画。

主演は、カークダグラスですよ。(かっこいい!)

物語のすべてを網羅しているわけではありませんが、だいたいの概要はつかめます。

ところで、映画の題名、「ユリシーズ」となってますよね。

オデュッセウスとユリシーズは、同じ名前です。

ギリシア語とラテン語と英語の表記がどーたらこーたらで、
違う人みたいだけど、元は同じらしい。
ここは、深入りしないでいこう。

 

1997年アメリカ。(テレビ作品)
見てないけど、こっちは新しい作品なので、迫力はあると思われます。

フランシスコッポラ総指揮。期待できそう。

2008年、イギリス&ルーマニア。

こちらも見ていませんが、ストーリーが原作から少し飛んでるようです。
「オデュッセウス外伝」として見るべきかもしれません。

 

こちらはブラッドピットの主演で話題になった「トロイ」。

ホメロスの「イーリアス」(オデュッセウスの前の話)を題材にしています。

主役のブラピは、「アキレス」を演じています。

 

まとめ

ホメロスの「オデュッセウス」は、世界に知らない人がいないくらいの有名な作品です。

でも、読んだ人は少ないのではないでしょうか。

実際に読んでみると、文章表現もややこしく、はじめは苦戦しますが、
ストーリーそのものは単純なので、慣れれば一気に読めます。

紀元前6世紀と言われる古代ギリシア時代にできた作品を、
一度は味わってみませんか。

 

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