陸前高田にある「奇跡の一本松」は、震災で生き残った唯一の松の木です。残念ながらその後枯れてしまいましたが、今もその姿は「震災に負けずにがんばろう」という人々のシンボルとして生きています。今回初めて「奇跡の一本松」を見てきました。その様子をお知らせします。

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 奇跡の一本松はどこにあるのか

 奇跡の一本松の住所は、「岩手県陸前高田市気仙町字砂盛176-6」です。岩手県の一番南側にある陸前高田市の高田松原に生えていた松の木です。当時の写真を見ると、一帯でもひときわ大きな木だったようです。

なぜ一本松は残ったのか

 奇跡の一本松は、海岸沿いの松林の中の一本ではなく、陸前高田ユースホステルの前にありました。この立地が幸いし、津波の勢いをユースホステルが壁になって弱めてくれたこと。そもそも群を抜く巨木で、他の松の木よりも幹が太く強かったこと。以前の津波で下の枝がなくなっていたので、水の抵抗が少なく漂流物も絡みつきにくかったことなどがあげられます。実際に行ってみると、確かにユースホステルに守られたのだということを実感します。

昔の一本松の写真。ひときわ大きな木だったことがわかります。

一本松の保存

 せっかく生き残った一本松でしたが、残念ながら枯れてしまいました。10時間以上海水に浸かったことや、地盤沈下で根元の土に海水がしみ込んだことが原因ということです。根元の海水をポンプで出しながら真水を注入するなど、懸命の手当てをしましたが、木の勢いを取り戻すには至りませんでした。

 枯れてしまった本体は樹脂で固定したり芯棒を入れて補強し、枝も樹脂などで作り、元の場所に立っています。1億5000万の経費や維持費など反対意見もあったという話ですが、それ以上の経済効果を期待したいところです。

 一本松から採取した松かさからは、いくつかの発芽が見られ、数本の苗木が育っているそうです。これらをどう生かすかは、今後の話なのでしょう。

駐車場から一本松へのルート

 4月とは言え、この日は晴れていて気温も高く、しっかり歩くと汗がでてきました。駐車場から一本松まではおよそ1キロあります。
急いで往復すれば20分
普通に歩いて説明を読んでくれば30分
あちこち写真を撮りながらだと40分
これくらい時間がかかります。途中にトイレと簡単な休憩スペースがありますが、ほとんど日陰もありません。平坦で苦しいコースではありませんが、飲み物は必ず持って歩きましょう。

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一本松茶屋という施設の駐車場に入ります。
駐車場の端から道路に出て
国道沿いの道路をおよそ150m
ここから専用の歩道です。付近は工事をしているので、歩道から出ないようにしましょう。
長い直線はおよそ300m
途中、避難指示の表示があります。ここがほぼ中間地点。
トイレと休憩スペースがあります。でも、自動販売機や売店はありません。飲み物の準備を忘れないようにしましょう。
建設中の高架橋。写真の上部に赤い線が見えます。説明はありませんが、浸水した高さかもしれません。
突き当りを左に
150mの直線。右手に一本松が見えてきた。
最後の直線です、看板の説明を読んだら橋を渡るとゴールです。
橋の上から見た一本松。ユースホステルの建物に守られたという話が実感できます。
駐車場からここまで約1キロ。急げば10分ですが、写真を撮りながらゆっくり歩くと15分以上かかります。飲み物は不可欠。

おわりに

 奇跡の一本松は、これを残すことに反対する意見も多かったという話です。一本の木に1憶以上かけるより、被災して苦しんでいる人にお金を使うべきという声も、まさに正論です。

 でも、もし一本松がなければ私は陸前高田に行かなかったかもしれません。せっかく残したのですから、有効に活用して町の経済を活性化させて欲しいものです。一本松を見に来る人が多ければ、町としても何らかの恩恵はあるはずですから。

 実際に一本松を見て、津波の瞬間に松が何を感じたのか想像しました。(松の気持ちになるって、ちょっと難しいですが、あくまでも絵本風に擬人化してです。)
「うわー、津波で仲間が倒されていく・・くっそー負けないぞー。耐えてやる!うおおおおおお!」
そんな気持ちだったのかなあと思うと、
「がんばったね、立派だったよ。」
と、声をかけたくなります。

 いつの日か、一本松の周りに新しい若木が植えられて、美しい松林になることを祈ります。さすがにその景色を見ることはできないでしょうが。

高田旅ナビ 一本松茶屋の飲食店

一本松茶屋 たがだ屋さんのページ

陸前高田市 一本松の情報

 

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