秋田、山形の両県にまたがる鳥海山は、出羽富士とも呼ばれ、その稜線はどちらの県から見ても絵になる美しさです。標高が高く日帰りにしては長距離になりますが。比較的緩い斜面が多く、技術的には難易度が高い山ではありません。そんな鳥海山に、今回初挑戦です。
快晴の鳥海山
雨男の自分にしては珍しく晴天の1日です。その理由は単純に「明日は天気が良いと予報に出ているから、行ってみよう。」ということだからです。
少々遠い山やツアーの参加だと、少々の雨でも行ってしまいますが、これが一人の身軽さです。(でも、単独行は基本ダメという人が多いのも知ってます。)
前日の午後に突然思い立ったので、車で「鉾立登山口」に到着したのが夜の9時過ぎ。真っ暗な上に視界がぎりぎり10m程度という霧に包まれ、現地に着いたものの駐車場の入り口すらわからず、結構怖い思いをしました。前泊の場合は明るいうちに現地入りすべきですね。
そこから車中泊のセッティングをして、結局寝たのは10時過ぎ。うーん、睡眠時間6時間か・・・。しっかり8時間欲しい人間としては少々心配です。
そして当日の朝、4時半に起床し朝食を摂って、車を「登山客はこっちに停めなさい。」という指示に従って移動し、5時10分に登山口からスタート。
最初は舗装された道と緩やかな石段が続き、しばらくすると火山岩をきれいに敷いた登山道が続きます。大人3人が横になって歩ける広い道です。鳥海山は坂道が緩やかなので助かります。
賽の河原で最初の休憩、そして御浜小山ではスムーズに進みました。ここではまだまだ元気で、飴をなめるくらいで次に進みます。その後もなだらかな登り下りを快適に歩き、七五三掛に到着。ここから道は狭くなり、登山道っぽくなってきます。
往きは雪渓を通る最短コースを選択。せっかく稼いだ高度を吐き出すような下りの後、小さな雪渓を渡り、そこからダラダラとした登りになります。遠くには尾根のコースを選んだ人が小さく見え、「あっちの方が楽だったかな。」と少し残念に思いながらも無感動に高度を稼ぎます。
9時30分、頂上直下の御室小屋に到着。リュックを置いてポケットにペットボトルを突っこみ、手ぶらで山頂アタック。これが正解でした。ところどころで岩にしがみついて登る必要があり、リュックの重さがないだけ楽チンでした。
山頂は数人が精一杯の狭い場所で、あまり長居すると次の人が登れなくなるので、写真を撮って5分くらいで下山。御室小屋に戻りました。
「小屋の売店でコーラを買おう。」と心に決めていたのに、売り切れでオレンジジュースしかなく、それを500円で求めて一気飲み。山で飲むソフトドリンクの味は格別です。コーラは御浜小屋で飲むことにします。
帰りは尾根周りのコースを選択。小屋のおじさんに「今日は天気がいいからゆっくり歩くにはいいと思いますよ。」と言われ、そちらを選びました。実際苦しいところはほとんどなく、快適な山行になりました。(でも、基本的に飛ばすことはしません。いくら抜かれても気にしないでゆっくり進みます。)
後半は少しずつ足に疲労がたまり、何でもないところでつまづいたりしましたが、大きなトラブルもなく順調に進みます。「御浜小屋でコーラを飲む。」ということだけを楽しみに。
しかし、御浜小屋に到着したところで衝撃の事実を知ることになります。なんとソフトドリンク類がすべて売り切れなのでした。「何だか今年は売れちゃって、いつもより早くなくなっちゃいました。」という管理人さんのお話。でも、一部地図には「水(有料)」と書いてあるのですから、買える状態にしていて欲しいと心から思いました。「コーラ飲みたーい!」くらいの人はともかく、本気で水の補充を考えている人からすれば、これは死活問題です。(まあ、そんな人はほとんどいないとは思いますが。)
その代わり、小屋で作った麦茶を売っていました。空のペットボトルにやかんから麦茶を注いで400円です。」私も空のペットボトルを差し出し、詰めてもらいました。2リットルしか持たずに登山を始めてしまったミスです。反省。
よく見ると、同じように400円麦茶を買う人がちらほらいて、結構みなさん同じなのね、と安心します。
小屋のおばちゃんから「少しずつ飲んで行って下さいね。下りたら何でも好きなもの飲めるからね。」と、注意・激励を受けて御浜小屋を出発。コーラを飲めなかったショックで足取りも重く、でも「ここを乗り切れば冷たいコカコーラが待っている。」と自分に言い聞かせ、やや早足になって進みます。
そして午後3時40分、登山口に到着。すぐに着替えをして店に駆け込むと、コーラを手にした、いかにも登山者と見られる人々が数人、コーラを飲んでいました。中には手にしたコーラの写真を撮っている人もいます。インスタに「下山して至福のひととき」とかコメントして上げているに違いありません。私もコーラを170円で買い求め、一気飲み。まさに至福です。
車のエアコンをマックスにして走らせ、麓の「あぽん西浜」で入浴。(料金400円)そこでは「3.7無調整牛乳」を飲み、帰りに入ったレストランでドリンクバーを頼んでソーダを飲み、体が震えるほど冷却して帰路につきました。
鳥海山について
自分にとっては距離が長いのが難点です。(15キロくらい)でも、急勾配の場所はほとんどなく、(ゼロではないよ。)ゆっくり歩いて山頂で一泊すれば、少々体力に不安がある人でも大丈夫と思われます。
所々に見られる火山活動の跡や、かろうじて残っているU字谷(氷食地形)も見られ、また「チョウカイフスマ」や「チョウカイアザミ」など固有の植物もあり、見どころ多い山です。
注意したいのが、水場がないということです。賽の河原では雪渓の残りがあって給水できるそうですが、自分が行った時(8/18)は無理でした。2つの小屋で飲み物の販売はしていますが、今回はこれも「売り切れ」という信じられない事件が起きてしまいました。「水分は自分でしっかり確保して登る」という当たり前の基本を再認識する登山となりました。
それにしても、地図に書いてある「水(有料)」という表記はこれでいいのでしょうか。自分は「水が湧いている、又は引いてある。又は宿泊用の水タンクがあるけどそれは有料。」という理解をしてしまいました。単に「ペットボトル販売してます。」だとは思わなかった自分が理解不足だったのでしょうか。
いずれにしても勉強になりました。これから新しい山に登る時は、水情報の細かな内容までチェックしようと思います。
今回は久々の「ずーっと青空、眺望を遮る霧の発生なし。」を経験しました。山の神様、ありがとうございます。
5:10 鉾立登山口
6:10 賽の河原
7:00 御浜小屋
7:30 御田ヶ原
7:55 七五三掛
9:30 御室小屋
10:10 山頂
11:10 御室小屋
11:30 七高山
12:10 伏拝岳
13:00 七五三掛
14:10 御浜小屋
15:40 鉾立登山口