富良野岳は日本三百名山にも含まれていないが、有名な山でもあるし出来たら登ってみたい山のひとつだ。今年の北海道ツアーは4つの山しか予定がなくほとんどノープランでもあるので、チャンスがあるだろうと思っていた。ところが今年の北海道は天候が悪く、なかなかタイミングがつかめない。登山口で待機しては雨で断念することを繰り返し、ようやく8月22日に決行となった。

この先が安政火口
天気良し

 十勝岳温泉駐車場を5時にスタート。まずはまっすぐ富良野岳に向かう。最初はコンクリートの広い道が噴煙をあげる安政火口に向かって整備されている。コンクリートはやがて砂利道となり、谷を越えると大きく方向を変え、山体を巻きながら少しずつ高度を上げる。ほとんど急登のない歩き易い道だ。途中、若いソロのお姉さんに抜かれてので少し速度を下げた。特に下心を持っているわけではないが、知らないジジイに同じペースで追いかけられると恐怖だろう。人が多ければどうってことないが、広大な山の中でお姉さんと自分以外の人がいないとなれば、気を遣うものだ。どんどん離れて行くお姉さんを確認しながら、青空の中にそびえる富良野岳に向かって進む。昨夜は雨が降ったが、よくぞ晴れてくれた。

 7時過ぎに領線に出ると急な階段になる。手前のピークを越えれば山頂はすぐそこで、最後にやや急な坂を登り、7時50分、山頂に到着した。

稜線出た
山頂、ここから若いお姉さんと一緒に歩く

 山頂で先行していたお姉さんと周囲の山の同定などをしながら少し休む。ほどなくもう一人の若いお姉さんがやってきた。彼女はまっすぐ十勝岳まで行くとのことで、山頂で写真撮影したらすぐに出発して行った。半袖短パンで軽装の彼女は、走りこそしないがトレラン系の人なのだろう。

 残ったお姉さんとこの後の行程を話し、どういうわけか一緒に行動することになった。若いお姉さんがジジイに「ご一緒してもいいですか?」と聞いてくるシチュエーションは想定外で狼狽えたが、断る理由もないので「遅かったらいつでも千切ってください」と確認して上富良野岳に向かう。お姉さんは、カナダでスノボのインストラクターをした経験もあるとかで、かなり個性的な人生を歩んでる自由人のようだ。いろいろな話が聞けて、これはこれで面白い。

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 稜線歩きはそれぞれのピーク前後に急登はあるが、高度差は大したことないので楽に進める。9時30分三峰山、10時10分上富良野岳とクリアし、10時20分には上ホロカメットク山まで来た。ここから急登を下ると避難小屋がある。ここでしばし休憩し、先の大砲岩まで行ってみる。地図によれば大砲岩からまっすぐ三段山に降りるルートがあり、そこを通れるなら短縮コースになる。しかし、登山口の案内標識には登山道の線は引いていない。どちらが正しいのだろうかと大砲岩の先を見たが、とても通れるような雰囲気ではないので引き返すことにした。

 大砲岩から、帰りは上ホロカメットク山に登らず巻道を通り、上富良野岳からの短縮ルートを降りる。上ホロ分岐を過ぎたあたりで、十勝岳まで行ったお姉さんが追いついてきた。自分たちより1時間半余計にかかる筈だが、さすがである。もっとも今日はこちらもお姉さんとお喋りしながらゆっくり歩いているのでほぼコースタイムで歩いている。いつものスピードなら自分も十勝岳は十分行ける場所なのかもしれない。

上富良野岳からまっすぐ下ります(モデルはお姉さんに撮られた私)
少し雲出てきた

 13時半過ぎ、もうすぐ駐車場というところで小雨が降ってきた。駐車場で挨拶して別れ、車に乗った直後から本降りになり、絶妙のタイミングで行ってきたことになる。今日みたいに運の良い日もあるなあと安心しながら、これはきっと2人のお姉さんのどちらかが強運の持ち主なのだろうと雨男の自分は確信する。

 7月10日に上陸した北海道を離れたのは8月25日。実に45日間滞在したことになるが、これだけ居たのに6座に登るだけで終わってしまった。比較的雨には祟られる人生であったが、これくらい天気が悪いのも珍しい。

 何はともあれ、北海道にある日本三百名山は残すところあとひとつ(カムイエクウチカウシ山)だけになった。来年の夏に再びこの山に挑戦したら、北海道はひとまず卒業しようと思ったりもする。少々早いが今年の山は終了だ。来春までは家で大人しく別の活動をする。

45日いて6座しか登れなったなんて、コレだよね
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