大平山の登山を終えて車を走らせ、3時過ぎに白神岳の登山口付近まで来た。明日も天気が持ちそうなので頑張って登るつもりだ。まずは登山口まで行ってみようと国道101号を北上し、右に・・・あれ? 曲がれないぞ。通行止めになってる。車で登山口まで行くことはできず、港の駐車場から歩いて登れと書いてある。白神岳はただでさえ往復9時間近いロングコースである。それだけでかなりのプレッシャーなのに、コースタイムで1時間半以上追加されてしまった。なんだようと文句を言ってみたものの、他に方法はなさそうだ。諦めて明日は10時間半のコースに挑戦しようと覚悟を決めて、「道の駅 はちもり お殿水」まで戻って寝る。

あれ? この先通行止めだ

 翌7月8日朝、かなり早く起きて黒崎漁港に移動し、4時半に歩き始めた。かなり早いスタートだが、こちらはまだまだへなちょこの初心者である。とにかく早く出発して日暮までの時間をたっぷり確保するのが常套手段だ。

黒崎港からスタート(距離が伸びちゃった泣)
たしかにこれじゃ通せないか

 国道を横切り、大きな登山口の看板を過ぎると舗装道は通行止めになり、登山者用に急遽こしらえたような小道を進む。少し歩くと再び舗装道に戻り、あとは自動車が通れたはずの道をとぼとぼ歩くしかない。途中、アスファルトが一部流れた場所もあり、この道が開通するまでしばらくかかりそうだ。

 5時20分、登山口駐車場到着。ここで朝食をとる。本来ならここが宿泊地でありスタート地点だった場所。幸い時間のゆとりはある。少ししてもう一人やってきて、先に登って行った。これは素敵だ。今日は蜘蛛の巣払いが先に歩いてくれる。

やっとホントの登山口

 5時30分、出発。前を歩く男性は結構早いのだろうか。歩いても歩いても姿が見えない。それでも先に誰かがいるというのは安心感がある。道は山を巻きながら少しずつ高度を上げていくので厳しい場所はない。

 6時10分、二股分岐。まっすぐ白神岳に登る二股コースは上級者向きと書いてある。コンパス(ヤマップ派が多いけど、僕は無料でいくらでも登山計画と届が出せるコンパスを愛用している)によれば迂回する蟶山コースの方がコースタイムが短い。かなり悩んだがここは無理をしないで蟶山コースにする。こちらのコースに入ってから蜘蛛の巣が目立つようになってきた。これは前の人が別のコースを選んだということだな。ここからは自分が今日の歩き初めになる。クマさん出ませんように。

二股分岐からマテ山コースへ
突然現れた名もなき水場
地図の場所がズレてて無駄に時間を使っちまったぜ

 こちらの蟶山コースには「最後の水場」という水場があると地図にある。これを見越して空のボトルを準備してきたが、地図の地点よりも前に水場が出てきた。ここでは一口飲むだけにして進む。しかし、地図の場所に水場はない。少し歩いたらそれっぽいものがあったが水を汲めるほどではない。これはしくじった、さっきの水場で満タンにすべきだった。仕方ないので引き返して水を汲む。ロングコースなのにこういうロスは大きい。
 それなら最初から水をたくさん持ってくればいいじゃん、と思うかもしれないし、実際そうしてる人が多いだろう。しかしこちらはへなちょこである。先に水場があるのなら、できるだけ軽くして登りたいのだ。とくにロングコースは。
 水を汲んで気を取り直して再スタートし、しばらく進んだらまた水場が出てきた。「最後の水場」としっかり書いてあるじゃないか。くそっ、つまらないミスをした。でもこれは自分の失敗とは言えないなあ。どう考えても地図の記載が間違っている。

スポンサードリンク

 最後の水場を過ぎると、東に向かっていた道は北に向きを変えて厳しい登りになる。しばらく頑張ると蟶山の肩に出る。蟶山そのものに向かう道もあるようだが、ここは先に進む。尾根伝いの道は比較的歩きやすい。稜線に出る手前に急なところがあるが、特に問題はない。森林が開けて山の全貌が見えてくると、ニッコウキスゲの花も見えてくる。曇り空だが風もなく良いコンディションだ。
 8時30分、稜線に出て十二湖からのコースと合流した。ここはもはや山頂に来たと言える場所で。白神岳山頂まで少し歩くものの、高低差はほとんどない。実際、標高だけで見ると途中のなだらかなピークの方が2m少々高いことになっている。ニッコウキスゲの群落を楽しみながら避難小屋を通過し、最後にちょっとだけ登って山頂だ。時刻は8時55分、思ったより早く到着してホッとした。これなら無事に明るいうちに戻れそうだ。(大袈裟ですが結構なビビりです)

尾根に向かって登る
そして尾根
山頂見えてきた
避難小屋を通過し

 山頂で昼食をとりながら休んでいると、同じ方向から男性が登ってきた。しばらく二人で話をしていたら、なんとオコジョがきた。しばらく山頂の砂利の上であちこち走り回り、置いていたリュックの匂いを嗅ぎ、ぴょんぴょん跳ね回っていった。実は本日7月8日は僕の誕生日。きっとお祝いに来てくれたのだろう。

 山頂では電波が入るのでスマホを開いたら、誕生日おめでとうのメッセージが来てる。SNSにお祝いのお礼と山頂の写真を投稿する。でも、すぐにアプリそのものを切る。スマホはほんの少しの写真撮影と登山アプリのGPSで位置確認しか使わない。写真も大部分はデジカメだ。

きゃわいいのがいた

 遅れて反対側から、二股コースを来た男性が到着した。かなり大変だったという話を聞き、元の蟶山コースを戻ることにする。9時40分、山頂出発。帰りは「最後の水場」まで一気に下りて、ここで少し長めの休憩をとり、あとはほぼノンストップで下山した。最後の水場から二股分岐までの道で、地元の関係者らしい人とすれ違ったが、「長袖を着て登山してくださいね」と指導を受けた。確かにその通りですね。暑いと半袖で動いてますが、気をつけます。(でも、ホントは半袖が好き)
 12時15分、登山口到着。来れない筈の駐車場に軽トラックやワゴン車が停まっていたが、きっとさっきの関係者のものだろう。一般登山者である自分はさらに港までの舗装道を歩き、13時ちょうど、港の駐車場に着いた。全行程8時間半で、予定よりもかなり早く終わったが、かなりのロングコースで少々疲れた。

まるまるしとるな 何食った?
もうすぐ終わりのタイミングで夏の青空(暑くならなくて良かったのかも)

 これで東北の山は終了。予想以上にサクサクと進み、青函フェリー搭乗日の7月10日まで2日のゆとりが出てしまった。まあ、誕生日だし少しゆっくり贅沢するかと、青森の東横インに2泊して市内観光することにした。(これはこれで楽しかったが、この判断がミスだったと気づくのは函館に渡ってから)

スポンサードリンク