前日
前日の午後1時半に鉾立登山口に到着。今日は男鹿半島をひと回りしてから日本海沿いを南下してきたので、少々疲れています。駐車場では、おじさんがビールを飲みながらスマホ相手にボリュームマックスで話し続けています。登山仲間でしょうか。それにしてもすごい音量です。他にはバズーカ砲のようなレンズで鳥を追うカメラマンがいたりして、賑やかです。そんな中、一人車のカーテンを閉めてお昼寝。
目が覚めたのは午後5時。スマホおじさんは相変わらず最大ボリュームで話している。いったい誰と話してるんだろうか。それに、バッテリーよく持つなあ。トイレに行く時におじさんの脇を通ったら、少女の電子音声が聞こえる。スマホの向こう側はリアルな人間ではないみたい。
「今、鉾立にいるんだよ、ほ・こ・だ・てえぃ! 1500mくらい。」(おじさん)
「ホコダテトザングチハ、センヒャクゴジュウ・・・」(電脳少女)
「ああそうかそうか、ごめんごめん」(おじさん)
いえ、特に悪いことをしているわけではありません。ボリュームがマックスなだけです。
暗くなった時点での車中泊は、スマホおじさん(10時過ぎまでは間違いなく喋り続けた)、京都のマダム、そして私の3人なりました。
当日
登山当日の朝、天気は上々です。「これなら、鳥海山頂まで行けちゃうな。」とも思いましたが、今回の目的は「笙ガ岳」です。それに、できるだけ早く下山して、麓の食堂で美味しい魚を食べなければなりません。京都マダムは鳥海湖往復にすると言ってたので、まだ車の中でしょう。スマホおじさんは昨夜「明日は山頂まで行っちゃよー。」と電脳少女に言ってたので、どうやら出発したようです。私も準備をして、パンを2個かじってスタートします。
5:55に登山口を出発。(特にゴーゴーゴーを狙ったわけではありません。)しばらくはコンクリートの階段と遊歩道といえる道が続きます。このままの道なら簡単に登れそうと思えるのですが、鳥海は甘くありません。山頂までの往復は結構な歯応えです。(でも、今回は山頂まで行かないので、きっと楽勝)
水場(と言っても、水を汲んだことは一度もない)のある「賽の河原」から、普通は鳥海湖に向かって行くのですが、今回は別ルート。一見すると道があるのかないのかわからないような所を歩きます。しばらく歩いて「河原宿」という吹浦口からの分岐に来ると、ようやく道も整備されていて、ほっとします。でも、登山者は誰もいません。途中、吹浦口から来たお姉さんに挨拶したものの、彼女はまっすぐ鳥海に向かい、笙ガ岳に行くのは完全に私ひとり。そうですよね、鳥海山に来て、本山に登らずオマケのようにくっついてる小ピークに行く人、いませんよね。でも、いいんです。立派な「やまがた百名山」ですから。それに、魚も待ってるし。
しばらく歩くと登山道はT字路になり、左は鳥海山、右は笙ガ岳。目の前に小高い山があります。そうか、あれが目的地なのね。でも、頑張って登ると、目的の笙ガ岳はまだ先です。ここでリュックをデポ。デポするほどのものでもないんです。でも、誰もいないし盗難の恐れもなさそうなので、ちょっと「デポ」を経験したかっただけの話。
8時5分、笙ガ岳に到着。天気も良く、庄内平野と日本海がよく見えます。よしっ、またひとつピークを制覇したぞっ。でもって、すぐに引き返します。15分ほどでデポしたリュックを確保。記念にアンパンをひとついただきます。
ここから、鳥海湖が見える「御浜」に向かいます。小さま登り返しはありますが、大したことはありません。それにしても、今日は鳥海山頂まできれいに見えます。山頂まで行った人はラッキーですね。
9:10、御浜に到着。あとは下るのみなので、気持ちが緩んで少し長居をしました。(と言っても、20分くらい)ここからはお馴染みの道をゆっくり下りていきましょう。
途中、ペットボトル(500)を一本だけ持った若いカップルが、「湖の見える場所まで遠いですか?」と聞いてきた。「天気もいいし、御浜までならまあ大丈夫だと思います。危ないところはありません。でも、ここからだと1時間はかかりますよ。」しかし、水が足りないだろ。「良かったら、手付かずの水がありますよ。1リットルのボトルですけどお持ちになりますか?」と聞いてみたら、「いえ、体力ないんで1リットルの水重くて無理だと思います。」(なにーっ!?!? 1リットルの水が重くて持てないのに山に登るだとぉー!?!?)「ほんとに大丈夫ですか?」「はい、いけるとこまで行ってみます。」「でも、無理なさらないように。」装備も何もない人なのでちょっと心配。でも、「おらあ、山を舐めるな!」と檄をとばすほど自分が何でも知ってるかというと、そうでもないし、「気をつけてね。」としか言えない私。まあ午前中には下りてこれるだろうから、この良い天気もすぐに崩れたりはしないだろう。万が一へたばったら、きっと山頂から下りてくる人たちが何とかしてくれるに違いない。それに、魚食べに行きたいし・・・。彼らが無事であることを祈る。
10:30、めでたく鉾立登山口に戻りました。さあ、おいしい魚を食べに行こうっと!