芦別岳登山口の駐車スペースに車を停めて一泊する。ここで寝るのも2回目だが、遭難慰霊碑のすぐそばで寝るというのも微妙な感覚である。なんとなく霊魂がふわふわ飛んでいそうで怖いが、逆に守られてる感もある。いずれにしても慰霊碑というのは「ここで命を落としたあなたを忘れない」という関係者の思いとともに「もう一度引き締めよう、気をつけよう」という注意喚起の役割も果たしていて有り難いと言える。慰霊碑の文面によると、昭和31年に19歳の定時制高校生2人が亡くなり、その同級生が45歳の時に建立したようだ。近年の登山ブームの負の側面として高齢者の遭難を多く聞くが、若者の犠牲は悲しみが大きい。(命に軽重をつけて申し訳ない)
8月15日午前5時に起床。生憎の雨模様で、芦別岳も雲と霧の中に隠れている。へなちょこのソロ登山者が雨の中を強行する理由などあろうはずもない。しかも車の横の慰霊碑が「無理するなよ~」と念を送ってくる。もちろん登山は中止だ。
さて、今日は何をしようかなと少し考えて、雨竜沼湿原が閃いた。てんくらによれば暑寒別岳方面の天気は悪くない。少々スタートは遅れるが、暑寒別岳や南暑寒別岳の山頂に行くのでなければ問題はないだろう。思えば雨竜沼湿原は数年前に行こうとしたが、大雨か何かの影響で通行止めのため断念したのだ。その後開通したという情報もあったし、今がチャンスかもしれない。よし、移動だ。
100キロの道のりを2時間かけて移動し、8時少し前に「雨竜沼湿原ゲートパークキャンプ場」に到着。(途中でCompassに「芦別岳登山中止」と「雨竜沼湿原計画」も登録。これ忘れると登山口で電波が入らず焦ったりするんだよね。)すぐに荷物をまとめて登山開始。

キャンプ場の管理棟とトイレの間を抜けると未舗装の林道がしばらく続く。15分ほどで吊り橋を渡ると登山道らしくなる。道はペンケペタン川というなんとも愛らしい名前の川沿いに少しずつ高度を上げていく。途中に白竜の滝という滝があるが、そこそこの水量で見応えがある。途中でやや急な場所もあるが、そもそもキャンプ場から湿原までの標高差は300mくらいなので、それほど負荷が高い道ではない。



9時10分、ようやく登りもひと段落し、湿原の端に着いた。まだ湿原は見えないが道はほとんど平らで歩きやすい。若干怖いのが、道の脇が激しく掘り返されていることだ。しかも、所々にクマさんのおおきなうんちもある。(しっかりうんち踏んだ跡もあったw)どう見てもこの道は人間専用ではないらしい。
ちょっとした支流を渡るところに「靴底洗い場」という看板があり、ここから先に変な種を入れないように浅瀬でじゃぶじゃぶする。そして湿原の木道に入る。雲も多いが青空も見えて雰囲気が良い。一部雲の中ではあるが、南暑寒別岳とさらに奥に暑寒別岳も見える。
まだ早いがイスのある展望スペースでちょっとだけパンを食べて、湿原を一周する。木道はかなり痛んでいるが、まあ問題はない。花の写真などを撮りながらゆっくり歩く。山登りを趣味にしていろんな所に行くけど、基本的に苦しいのがイヤなのだ。木道歩き大好き。





湿原を半周するとメインルートに合流し、ここから先の道は4時間のコースタイムで暑寒別岳に至る。もちろん今日の目的は湿原だし、そもそもこの先のルートは草刈りされていないと聞く。こちらを歩くことは一生ないだろう。とはいえ、少し登ったところに展望台があるらしいので、そこまで行ってみる。
ほんの10分ほどで展望台に到着。確かに湿原がよく見える。でも、この景色よりも湿原のど真ん中にいる方が気分が良いので、この展望台は必須とは言えないかな。しかもこちらも道のあちこちにクマさんの掘り返し跡があって、湿原に比べれば木々の間から突然出てくる恐怖もある。おまけに何やらいろんな虫がぶんぶん飛んでて落ち着かないので、写真だけ撮って早々に湿原に戻った。
再び湿原の木道をしばらく歩くが、遠くに先行していたソロの男性の姿はなく、完全貸切状態になっている。雨が降る心配もなく風が心地よい。思い切ってここまで移動して正解だった。


11時、湿原の入り口に戻って30分ほど休憩しながら余韻を楽しむ。あとは再び川沿いの林間コースだ。クマに襲われるとすればこの区間だろうから、クマスプレー取り出しの練習などをしながら慎重に進む。そして13時前にキャンプ場に戻った。登りと下りの時間が同じくらいなので、自分としては十分落ち着いてゆっくり戻ったといえよう。
今日のお風呂は「雨竜沼高齢者健康福祉センター・いきいき館」。温泉ではないが良い施設であった。






