現在、コロナウイルスによる自主的自粛措置継続中で、あまり遠くにお出かけできません。この期間を利用して、過去に行った世界遺産について書いてみようと思います。この旅は、かつてドイツに勤務していた2004年5月に行ったものです。

小さなベニス バンベルク 2004,5,20

 5月20日(木)は、昇天祭という休日です。4連休になるので、ちょっとおでかけです。1泊の予定でバンベルクに出発しました。

朝ごはんです。

 朝6時起床。準備をして6時45分出発。途中のサービスエリアで給油、そして朝食。朝食は家から持ってきたハムチーズサンド。(これが結構いけるのよ。でも、せっかく作ったコーヒーを忘れてしまって、コーヒーとショコラーテを購入。)そして気持ちよく車は進みます。9時30分、順調にバンベルクに到着。一番中心に近い駐車場にうまく車を入れて、市内観光です。まず、ツーリストインフォメーションでガイドブックを購入。そこで「ホテルの予約ができるか?」と聞いたら、「それはできるのだが、あいにく今日は満杯で部屋がない。」とのこと。「仕方ないな、バンベルク近辺の町でホテル探そう。」と話し合い、観光を始めます。

バンベルク着いた。
有名な・・何だっけな・・
おーい、何てことするんだ!
ドイツも南に来ると、壁に絵が出てくる。

 バンベルクは、小ベニスと称される水の都です。街の中央を2つの川と運河が走り、橋の上から見る風景は風情があります。また、この街は2度の大戦でも破壊されることなく、中世の街並みがそのまま残る街ということで「ユネスコ世界遺産」に登録されています。

 いくつかの橋を渡り、古いけれどきれいな建物や水辺の民家を眺めながら、丘の上の大聖堂目指して登ります。大聖堂はミサのため午前中観光客は入場禁止。まずはドーム併設の博物館(みんなで6ユーロ)を見学し、次にドームの隣りにあるノイエシュロス(新しい城)に移 動。40分ほどのツアー(同8ユーロ)で、大広間や生活していた部屋を見学しました。ツアーと聞くとアレルギーが出る娘2も、なぜか今回はしっかり見学しています。きっと大人になっているのでしょう。それとも、度重なるツアーに耐える力がついただけなのでしょうか。

大聖堂。

 城を出て、街を見下ろすバラ庭園で昼食。炊き込みごはんのおにぎりに、のりを巻いていただきます!「ここで食べて大丈夫かな?」と心配しながらも、誰にも注意されることなく食事完了。そしていよいよ大聖堂です。4本の塔が印象的な大聖堂は、ロマネスクからゴシックへの過渡期の建築とか。中には「理想の騎士像」という彫刻がありました。(理想にしては、ひ弱な感じがする・・・)この大聖堂を建てたのはハインリッヒ2世。彼の墓もこの中にあります。

昼ごはん。ここで食べていいですか?
赤い屋根がお洒落ね。

 大聖堂を後にして、再び街の散策。そしてレグニッツ川の遊覧船乗り場に向かいました。(朝、船を見つけて「乗りたいねえ。」と言っていたのでした。)船着場に行くと、1時の船はまさに出港寸前。すでに入り口を閉じていたのを又開いてもらい、ぎりぎりで乗船(20ユーロ)。すぐにデッキに登りました。(ドイツ人は外が大好きで、デッキは満杯でも下の船室は一人もいません。)船は川沿いのきれいな民家の前を通り、途中水門で3mほど下に下がり、また走ります。しばらく走った後引き返すと、また水門で3m登ります。ところが、なぜか水門の電気が止まってしまったようで、係のおじさんが手動で水門を開いていました。なかなかの力仕事で、船が無事通過したときは、拍手がおきました。途中2ヶ所、橋をくぐる時に「座ってください。」というアナウンスが入ります。頭の上ぎりぎりを橋が通過します。 「これは日本なら危険だということで、認可されないだろうな。」と思えるギリギリ状態です。。

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川だ!観光船だ!
橋、ぎりぎり。
立ち上がったら命を落とすなこりゃ。
水門故障につき、手動で対応します。
船上からバンベルクの街。

 船を降りると、バンベルク市内観光はおしまい。次に向かったのが「バジリカ・フィアツェーンハイリゲン」、日本語訳は「14聖人教会」。この教会は、ビュルツブルグのレジデンツを手がけたノイマンという建築家の最高傑作といわれています。2~3日前に本に載っていたのを発見し、「バンベルクに近いじゃないの。行ってみよう。」と急遽決まった所です。時間にゆとりもあるので、「14聖人教会に行ってみて、今日見学できたら節約してまっすぐ帰ろう。見学できなかったら、近くのホテルに泊まって明日見て帰ろう。」ということになり、バンベルクの北東30キロほどの町「シュタッフェルシュタイン」に向かいました。途中、移動遊園地を見つけて「行きたーい!」と叫ぶ娘2を無視して、とにかく目的地へ向かいます。3時半すぎ、目指す「14聖人教会」に到着しました。

 1.5ユーロの駐車代を払い、丘を登ること10分少々。こんな田舎の山の中に、よく建てたものです。この教会は、キリスト教の巡礼地にもなっている教会ということで、たくさんの巡礼者が観光客と入り混じって訪ねてきます。教会の周囲には「ガストホフ」という宿屋が数軒。そして御土産物屋がずらりと並ぶ参道?何となく羽黒山を思い出しました。巡礼に来るキリスト教信者と、羽黒山の宿坊に泊まって参拝する日本のじいさんばあさんとの間には、なんの違いもないのかもしれません。(ちなみに、巡礼地になっている教会は、ドイツ各地に点在しています。)

バジリカ・フィアツェーンハイリゲン 。さすがに日本人は見ない。
撮影禁止なので、後から手に入れたものです。

 教会の内部は、息をのむ素晴らしさでした。写真撮影禁止なのが残念です。バロック建築の秀作であり、ノイマン最高の作品というのがよくわかります。柱と天井が一体化したような、流れる曲線が見事です。娘たちも、ここはしっかり感動していたようでした。教会の真ん中に鎮座する14聖人の像も立派でした。

 ひんやりとした教会を出ると、外は明るく、素晴らしい景色が広がっています。ゆるやかな緑の丘が幾重にも重なり、アクセントとして町の赤い屋根がバランスよく配置されています。オーバーマインと呼ばれるこの地方は、日本の観光ガイドにもほとんど載っていないところです。「もう二度とここには来ないかもしれないなあ。」と思うと、どこかに泊まっていきたくもなります。でも、見るものは見たから帰ることにしましょう。教会を出ると、おみやげ物屋を見ます。父はまったく興味がないけれど、特に娘2は「全部きちんと見る!」のだそうです。こんな客ばかりだと店も楽でしょう。おみやげ物屋には、木彫りの十字架やローソク(教会へのお供え用)、キーホルダーや教会の絵入りの小物、絵はがきなど日本と変わらない雰囲気でした。

お土産屋さん大盛況。

 あとはまっすぐ家へ戻ります。娘2は「さっきの遊園地に行って、それで泊まって行こうよ。」などと最後の抵抗をしていますが、娘1の「今日まっすぐ帰ると100ユーロ以上の節約になるんだから!」という子供らしからぬ説明をエネルギーに、車はフランクフルトへ走ります。途中、ビュルツブルグ付近のサービスエリアで軽い夕食をとり、8時半には無事家に戻りました。バンベルクの町も美しかったけれど、娘たちの印象に残ったのは最後の教会だったようです。ノイマンさん、ありがとう!

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