現在、コロナウイルスによる自主的自粛措置継続中で、あまり遠くにお出かけできません。この期間を利用して、過去に行った世界遺産について書いてみようと思います。この旅は、かつてドイツに勤務していた2004年8月に行ったものです。
目次
ロマンチック街道の旅
夏休みを利用して、親戚の一家がやってきました。日本からお客さんが来ると、連れて行くのは大抵の場合「ロマンチック街道」「ケルンの大聖堂」と相場が決まっています。今回はレンタカーを借りて、ロマンチック街道を南下してヒュッセン(ノイシュバンシュタイン城のある町)まで行ってきます。
ローテンブルグ 2004,8,19
この日のために、たどたどしいドイツ語で何とか借りてきたレンタカー。それは、フォルクスワーゲンのT5というワゴン車である。ステップワゴンに乗っていた父である。こんな車なぞ簡単簡単・・・いや・・・ステップワゴンより少し大きいみたい・・・。おまけにディーゼル車。ちょっと緊張するぞ。しかし、運転手が緊張感をみなぎらせると、他の7人は不安に苛まれることになる。ここは明るく出発だ!(でも、慣れるまで心配なので、車の少ない朝早く出発なのさっ!)
車はカラカラグロローっとディーゼル特有のエンジン音を響かせ、快調に走ります。慣れてしまえば座席は高く、景色は良く、すばらしい車です。(ちょっと欲しくなっちゃうね。)慣れた高速道路をいつもどおり走り、いつものサービスエリアでおにぎりの朝食。そして集団トイレ。また走り、またトイレ。車もおなかも快調快調。10時すぎには目的地のローテンブルグに到着しました。(今日はもう車の運転ないぞ、ホッと一息じゃ。)
ローテンブルグは、ロマンッチック街道上にあるドイツでも有数の観光地。さらに南に鎮座する「ノイシュバンシュタイン城」へ行く途中の絶好の観光ポイントです。我が家は一度来たことがあるので、娘1も娘2もちょっと偉そうに説明しながら歩きます。まずは城壁の上をしばらく歩き、途中「鍛冶屋の家」というめずらしい建物、そして城壁上の塔へ。(上に登るとおじいさんがいて、大人1ユーロ、子供0.5ユーロを支払うのです。)しばらく塔から町の景色を楽しむと、いよいよ町の中心に突入!途中、全員がおもちゃ屋にひっかかり、しばらくお買い物。さあ、いよいよ町の中心へ!と思ったら布とレース編みの店で、女子軍団がまたひっかかった。仕方なく男3人+いとこ2は先に中心へ歩きます。
時間はちょうど12時。有名なマイスタートゥルンクの仕掛け時計を見ることができました。(仕掛けといっても、窓が開いて市長の人形が杯を一気飲みする動作がゆっくり行なわれ、また窓が閉まっておしまいです。それでも有名なものは見ておくべきなのです。「大したことなかったよ。」と実感こめて言えるのですから。)その後、女子軍団と合流し、トルコ名物ケバブの昼食。(ケバブは、パンに焼肉と野菜をはさんだもの、栄養満点で安い!ドイツにはトルコから来て住んでいる人がすごく多いので、トルコ人経営のケバブ屋さんは、どの町にもあるのです。)飲みものも入れて全員で28ユーロの昼食終了。(O家のみなさんごめんなさい。せっかくのドイツ、もっといいもの食べたかったでしょう。)
一行は市庁舎の塔を経由し、クリスマスの店へ。ここは一年中クリスマス商品を売っている一年中ハッピーなお店です。きらびやかな飾りを見て、ちょっとハッピーになりました。もちろんちょっとだけ買い物もしました。
カフェで休んだ後は、ヤコブ教会へ。ここには有名なリーメンシュナイダーの彫像などもあるけれど、いとこ1といとこ2はそろそろ疲れが出てきたのでイスに座ってひと休み。娘2の「ほら、よく見てね。もう二度と来ないんだからね。」の言葉が涙を誘う。いや、くすっと笑ってしまう。(いつもは娘2が言われ続けている言葉なのでした。)
教会の後はまた買い物をして、馬車に乗り、馬車を途中下車して今日の宿泊地、ユースホステルへ向かいました。
ユースホステルは、今や全世界に施設が点在しているけれど、ドイツが発祥の地なのです。さすが家元、大きな町には必ずユースがあるのです。しかも一人15ユーロくらいなので、安いものです。本当はホテルといきたいところですが、ここは我が家の日常も体験してもらおうとユースを予約したのでした。フロントで受付を済ませると、自分のシーツを自分で持って部屋へ。今回は、残念ながら眺めの良くない別館でしたが、台所とシャワー、冷蔵庫が独占で使える部屋構成。炊き込みごはんを炊いて夕食。みんなおいしくいただきました。それからちょっとだけ大人はビールを飲んで本日は終了。
クマ、レゴ 2004,8,20
ローテンブルグの朝。空はどんより。でも、みんな元気に起きだして、まずは朝食。ユースホステルの朝食を初体験。自分で皿を持ってパンやおかずを取ります。ドイツの朝食はパンにハム、チーズくらいのもの。でも、ここのユースはゆで卵も出るのでまあ良い方でしょう。しっかり食べて出発です。
今日の最初の訪問地はギーンゲン。「テディベア」で有名なシュタイフ社があるところです。今や日本全国女子中学高校生あこがれの「テディベア」のふるさとなのです。有名なテディベアも、もともとはシュタイフおばさん手作りのものでした。その家が今も残されている工場には博物館がありました。でも、残念ながら博物館は午後1時開館。あきらめて直営店でお買い物。ここは製造過程ではじかれたものが耳のタグなしで売られています。でも、不良品といっても値段もそれほど安くないので、何となく正規のタグつきを買ってしまいます。
ぬいぐるみを買って気を良くした一行は、次の目的地レゴランドへ向かいます。(レゴランドでは普通に遊んだので特記事項なし)
いつの間にか5時になりました。レゴランドを後にし、高速で一路フュッセンへ向かいます。途中で高速はなくなり、一般道で小さな村を通過しながら車は進みます。間近に迫る山々、そして山小屋風の家に見事な花飾り。ひとつひとつの風景がカレンダーやポスターみたいです。いい気持ちで無事にフュッセンに到着したのは7時すぎ。ユースホステルもすぐに見つかりました。なかなかきれいなユースです。
しかし、到着してからチェックインして部屋に入るまで、およそ1時間。受付のお兄さんの芸術的な手際の悪さに、並んでいる客は苦笑するしかありませんでした。(少々ムカムカしましたが、これもまた勉強ですね。世の中うまくばかりはいかないものです。)すぐにピラフの素を入れてご飯を炊いて、お稲荷用のあぶらげをおかずにして食べました。夕食は9時でした・・・。
ノイシュバンシュタイン城 2004,8,21
フュッセンのユースホステルを8時すぎに出発。(なんとここはチェックアウトが8:45である。)すぐにシュバンガウに到着し、さっそくホーエンシュバンガウ城とノイシュバンシュタイン城の切符を購入。おしっこをして、すぐにホーエンシュバンガウ城に行きます。ここはルートヴィヒ2世のお父さんの城です。中はツアー形式で、団体で歩くものの電話みたいな音声ガイドを耳にあてて説明を聞きながら回ります。同時に違う国の人が自分の言葉で説明を聞いています。みんな黙って歩くツアーもちょっと不気味です。中の絵や調度品は、新品のようによく保存されていました。
ツアーを終えてちょっと買い物。そして街に戻ると、今度はノイシュバンシュタイン城へ。ここはちょっと遠いことと、旅の記念に馬車で行きました。ブリブリおならをする馬のしりを見ながら馬車に揺られること15分、ようやく上についてさらに歩くこと5分、いよいよ城のそばに来ました。寒さのためホットココアでホッとして、中のツアーに参加しました。ツアーは言語ごとに集まったら出発という形式で、十数人の日本人が一緒に周ります。日本語の音声がスピーカーから流れてくるのでらくちんです。30分ほどのツアーはあっという間でした。城の中はとにかく立派で豪華。でも、歴史を感じさせるものではなく、ルートヴィヒ2世のわがままで作った城というイメージ通りでした。
城に別れをつげ、今回はじめてのレストランで昼食。「ホーフブロイハウス」というミュンヘンのレストランの支店みたいです。ちょっと寒かったけど中の席はいっぱいで、外のテラスで花に囲まれての食事になりました。お値段も手ごろで、なかなかの味でした。「ちゃんと食べると元気がでるねえ。」と話しながら、雨の中を傘さして下山。そして下の街で買い物して、シュバンガウを後にしました。
ヴィース教会(世界遺産)
今日のもうひとつの見学地は、有名な「ヴィース教会」です。昔、修道士が彫った木の像「むちを受けるキリスト像」が、ヴィースの農夫の家で涙を流したという奇跡が起こり、そのキリスト像を拝みに世界から巡礼者が訪れるようになり、その受け入れのために建てたのが「ヴィース教会」です。当時ドイツでも有数の建築家、ツィンマーマンの作品で、世界遺産に登録されています。緑の丘にひっそりと、というには大きな教会です。外観は自然と調和させるようなすっきりしたデザイン。でも、中は光あふれるロココスタイルの装飾が見事です。すばらしい教会にただ感心するばかりでした。さすがに世界遺産になっただけのことはあります。教会のそばの店では、「バイエルンミュンヘン」のシールを売っていて、それもたくさん買いました。
今日の見学はこれでおしまい。(昨日の反省から)途中のスーパーで食料品をたくさん買い込み、マクドナルドで野菜サラダとチキンも買って、今日の宿泊地、オットーボイレンのユースに到着。今日のユースはとっても新しく、なによりフロントのおじさんの手際の良さが魅力です。気持ちよくごはんを炊いていただきました。何となく中継地点としていいかなあと決めたオットーボイレンですが、ユースもなかなかで、しかも立派な教会もあるみたいです。もちろん日本のガイドブックには載っていないところ。ちょっと得した気分で一日が終りました。
オットーボイレン 2004,8,22
子ども会の少年たちと一緒に朝食。そして、すぐに出発です。ここオットーボイレンのユースは、とっても快適でした。チャンスがあればまた来たいところです。でも、もう2度と来ることはないでしょう。(人生の出会いの99パーセントは1度きりなのだ。)
昨日来るときに見つけた大きな教会。パンフレットにも立派な写真が載っています。昨日行ったヴィース教会のガイドブックにも、比較の対象としてオットーボイレンの名前がありました。きっと名のある教会なのでしょう。日曜日はミサがあり、一般人は入れないことが多いけれど、とにかく行ってみることにしました。車を走らせること2分。あっという間に教会の駐車場へ。しかし、予想通りミサの最中でした。ちらりと入り口付近から中を見た後、マルクト広場で時間をつぶし、ミサ終了を待ちます。子供は水に花を流して喜んでいます。これなら少し持ちそうです。
10時近くになってミサが終了し、中の見学開始。ロココ調の素晴らしい内装ですが、なぜかたくさんガラスに収められているミイラが不気味ですが、きっと素晴らしい聖人なのでしょう。とにかく美しい教会をじっくり見学できました。後日、日本人学校のドイツ語の先生(元牧師)に聞いたところ、オットーボイレンはドイツ国内でも有名な教会だそうです。
教会を見た後は、およそ400キロの道のりをひたすらフランクフルトへ走ります。途中ちょっとだけ渋滞があったものの2時にはビュルツブルグに到着。ここからフランクフルトまでは120キロ。ここまでくればあとは何とかなるだろうと、レジデンツに寄っていく事に決定。高速を降りてビュルツブルグの街に突入しました。レジデンツのまん前に車を停め、どこに連れてこられたかわからないO家を引っぱり、レジデンツの中を見学しました。レジデンツはドイツで一番規模が大きい宮殿で、世界遺産に登録されている立派な建物です。特に、ロビー階段天井のフレスコ画は、その大きさと素晴らしさで有名です。(でも、残念ながら絵は修復中で一部しか見えません。)一通り中を見学した後、レジデンツでもうひとつ有名な庭園をしばらく散歩して来ました。遊ぶようなスペースはないので、小さい子供はちょっと物足りないけれど、美しい庭園を歩くだけで良しとしましょう。今は「見学」しているのですから。
ビュルツブルグに別れをつげ、渋滞の中をちょっともたもたしながらサービスエリアに入り、ワインを買っていよいよフランクフルトに戻りました。最後はちょっとだけ渋滞に入ったものの、全体としては順調に到着しました。(やれやれ、ほっと一息だな。)