カムエクが2度目の中止になった。

 特に三百名山の全山踏破を目指しているわけではない。自分のレベルでは行ってはならない山もあるので、無理をしないで8割くらい行ければいいかなという漠とした目標だ。だから「カムイエクウチカウシ山」は抜かしてもいい山である。それは頭では理解している。それでも何とか辿り着きたい山だ。
 北海道には2021年の夏に渡り、車中泊をしながら三百名山をあちこち登った。羊蹄山や大雪山系の山々、羅臼など、思い出に残る夏になった。ひと夏で百名山は全て登り、二百、三百名山もかなりクリアした。2023年に再び北海道を訪れ、大千軒岳、神居岳、ペテカリ岳にも登り、いつの間にか道内の三百名山はカムエクを残すだけになっていたのだ。「残りひとつ」という状況は人間に少々の無理を強いるようで、ソロでは困難なカムエクだけはガイドツアーに申し込んだ。実は2023年も申し込んだが、雨により途中撤退という残念な結果に終わっている。今回が2度目の参加である。


 しかし、残念なことに今回も雨天による中止になった。中止と言っても完全中止というわけではなく、代替の山にみんなで登ることになる。とりあえず「カムエクのガイドツアーで2年連続雨天によって、約30万円払って一人でも行けそうな山に登ってきた男」の完成である。(泣) 因みに昨年一緒だった方もいらっしゃるので、自分だけが超絶可哀想というわけではない。
 自分は結構な雨男で、期日を決めて準備するとかなりの確率で残念な結果になる。それがわかっているから「ソロで、晴れた日を選んで登る」というスタイルになっている。そんな自分が参加したことで、他のメンバーにも迷惑をかけた罪悪感もあるのだ。(そんなの気のせいでしょ、と言われそう)
 でも、これはこれで仕方がないだろう。「雨で中止の場合は代替の山行もなく全額返金です」なら有り難い話だが、こうなるとガイドさんは正しい判断ができなくなる。収入がゼロになるよりはと無理をする可能性が高くなる。残念だが「正しい判断」にお金を払っている以上、これは仕方のないことだろう。ガイドさんを責める意図は1ミリもないことを付け加えておく。

集合場所のかつら旅館
かつら旅館の夕食

 8月18日、前泊で集合した旅館にガイドさんと参加者が集まり、「天候が思わしくないから代替の山にする可能性が極めて高い」という話を聞く。この時点でカムエクに行かないことはすでに決めていたのだと思う。夕食の秋刀魚定食にビールを少々いただきながら、旅館の主人とアルバイトの若者(どっかの国の方)とおしゃべりしてこの日は普通に終了。

 8月19日、結局カムエクは中止となり、代替の山として楽古岳に行くとアナウンス。うん、楽古岳ならまあいいか。行ったことのない山だし、この夏のスタートに登山口まで行って諦めた所だ。その時は初っ端の渡渉の水量が多くて、危険なのか大丈夫なのか判断がつかずに引き上げたのだった。
 1時間半ほど車を走らせ、楽古山荘に到着したのが7時半ごろ。すぐに準備をして7時50分登山開始。すぐに渡渉になるが、前回より水量はずいぶん少なく、普通の登山靴で対応可能だった。ここからしばらくは平坦な林間コースを歩く。途中数回の渡渉があるが、特に問題はない。

前半はこんな感じ

 9時、川沿いの道に別れを告げ、ここからは尾根伝いに高度を上げていく。ガイドさんは全体を見ながらゆっくり目のペースだ。周りに仲間がたくさんいるから気も紛れるしクマのリスクも軽減される。このあたりがグループ登山の良いとこだな。ガイドさんは植物やキノコの写真を撮りながら「これは◯◯」とつぶやき、それが伝言ゲームになる様もなかなか面白い。ほとんどソロの自分にはけっこうシュールな光景だが、きっとガイドツアーあるあるなんだろう。

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川沿いの道から本格的な登山道へ

 尾根といってもしばらくは木々の中、膝くらいまでの笹藪を進む。木々の間から見える遠景は霧がかかっていて、天気は最高というわけではない。おまけに少し風も出てきたようだ。考えてみれば、同じ日高山系のカムエクが中止になっているわけだから、50キロ南方の楽古岳が快晴のわけはないようなあと妙に納得して黙々と登る。でも、もはや「カムエクも行けたんじゃない?」という雑念は皆無だ。そのあたりの切り替えの良さは自分でも偉いと思う。
 10時近くになると木々はまばらになり、最後の20分は吹きさらしになった。雨は降っていないし思ったより風も強くはない。これなら大丈夫そうだ。そして11時30分、山頂に着いた。
 山頂にはよくわからん小さな虫が石の上や看板にびっしりついてて気持ち悪い。おまけに寒い。ポットのお湯でカフェオーレを飲みパンをかじり、記念撮影をして早々に下山となった。山頂の滞在時間は20分である。(この状況で一人だったら、写真撮ったらすぐ下りただろう。)

虫くっついてて気持ち悪し

 14時、尾根を下り切って川沿いの道になる。再びいくつかの渡渉を経て15時30分、楽古山荘に戻った。天気は生憎だったが大きなトラブルや怪我もなく、無事下山だ。特に危険な山ではなかったが、なかなか一人では行かない山であり、ちょっとマニアックな日高の山ということで、これはこれで良い経験になったと思う。
 この日の夜は楽古山荘。

お約束の「下山したら晴天」

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